PwC Japanでは、毎年、多様なバックグラウンドや専門性を持つ多くのプロフェッショナルを迎えています。2024年度も年間で1,000人超の純増員を達成し、グループ全体で約12,700人の規模に成長しました。
変化が速く一層複雑化する社会課題を解決するためには、多様なプロフェッショナルの専門性を総合力として結集することが重要です。
PwC Japanでは、プロフェッショナル一人一人が社会課題の本質を捉える洞察力を持ち、異なる専門性を持つ人々と協働できること、変化に即した専門性やスキルを磨き続けること、そして、心理的安全性が担保され、個々の力を最大限に発揮できる環境を整えることを重要なアジェンダとし、人材やカルチャーに関する取り組みを続けています。
プロフェッショナル一人一人の価値観と行動は、組織全体の価値創造に直結します。PwCはこれまでも大切にすべき価値観として「PwC Values」を掲げてきましたが、一層の行動変容を促すため、職階や役割に関係なく全ての人に求められる共通の行動として、「Evolved PwC Professional(以下、EPP)」を定めました。
EPPは、複雑化する社会課題やニーズの変化を的確に捉え、異なる専門性を持つ人々と協働し、価値を出すための行動を示しています。「Trusted Leadership(信頼し、信頼されるリーダーシップ)」「Distinctive Outcomes(比類なき成果)」という2つの側面で構成され、とりわけ重要な主軸行動として「Inspire(惹きつける)」「Empower(力づける)」「Evolve(進化する)」「Champion(守る)」「Build(築く)」「Deliver(届ける)」の6つが定義されています。パートナーからスタッフまで全員がこれらの主軸行動と自らの振る舞いを照らし合わせ、重要な課題の解決と自らの成長に向けた行動を発揮することが求められています。
EPP導入初年度となる2024年度は、リーダーによるメッセージ発信や、各部門での対話セッションなどを通じて、EPPへの理解を深め、自らの日常と紐づけるための浸透活動を全社的に進めてきました。今後は、一層の行動変容を促すため、評価などの仕組みにもEPPを取り入れ、人事制度そのものを進化させていく予定です。
多様なメンバーが協働する環境を整えることは、イノベーションと価値創造を促進するうえで不可欠です。社会がつくり出すさまざまな障害(バリア)を取り除き、インクルーシブな環境を実現することが、多様性が持つ本来の力の発揮につながります。PwCはこの「Inclusion First」の考え方のもと、I&Dを推進しています。
インクルーシブなマインドセットや知識を体系的に学ぶプログラム「Inclusive Mindset Badge」はその一例です。10時間近い学習や対話を経て、誰もが異なるバックグラウンドを持っていることや、アンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)が自分の言動に及ぼす影響などを学びます。2024年度の完了者数は10,000人を超え、全体の92%に達しました。
ジェンダーの領域では、2030年までのできるだけ早い段階で女性管理職比率を30%に引き上げることを引き続き目指し、採用応募者・採用者の女性比率や、昇進・退職の女性比率などをモニタリングし、継続的に取り組みを改善しています。
ジェンダー平等の推進には男性の働き方の見直しも欠かせません。その一例として、男性社員の育休取得率・平均取得日数をモニタリングしています。誰もが家庭やプライベートを大事にしながら仕事に最大限の力を発揮できる仕組みづくりを推進しています。
LGBT+の領域では、性別、性自認、性表現、性的指向などの違いに先入観を持たず、あらゆるハラスメントや差別、不平等のない組織づくりを目指しています。work with Pride(企業等において性的マイノリティに関するダイバーシティ・マネジメントの促進と定着を支援する任意団体)が策定するLGBT+インクルージョンに関する取り組み評価「PRIDE指標2023」において、PwC Japanとして2018年から6年連続で最高位の「ゴールド」を受賞したほか、PwC健康保険組合による「トランスジェンダー対応のある健診機関」該当基準の策定・拡散と契約機関への対応促進、普及活動などが評価され、3年連続で「レインボー」にも認定されました。
障がいの領域においては、障がいを持つメンバーがPwC Japanグループ内の業務サポートを担う「オフィスサポートチーム(OST)」や、障がい者アスリートが競技と業務の比重を調整して働く「チャレンジドアスリート」を拡充しています。OSTでは、障がいの種類にかかわらず無理なく仕事に取り組めるよう、業務を可能な限り分解し定型化することで対応可能な仕事の幅を広げ、現在手掛ける業務は200種類以上に上ります。
また国籍・使用言語によらずPwCでの生活をサポートするコミュニティとして、グループ内の公式イベント「X-Culture Network Cafe」を定期的に開催しています。国籍や人種、年齢、役職に関係なく、メンバー同士で近況報告や困りごと、異なる文化や慣習などを共有する場になっており、当初8人で始まった交流の輪は、現在770人を超えて広がっています。
継続的な学びと成長は、プロフェッショナルとしての価値を高めるための基本です。
海外のPwCネットワークファームへの出向機会も、希望者のキャリア形成を後押しするため拡充しています。グローバルモビリティプログラムを通じ、PwC Japanのプロフェッショナル155人が日本国外に、50人が海外からPwC Japanに赴任しています(2024年度末時点)。また、PwC Japanで働くプロフェッショナルの出身国数は、約40カ国に上ります。
加えて、自らの意思で法人や部門間の転籍・出向に応募できる、公募異動制度OEP(Open Entry Program)も拡充しており、キャリア志向の変化やライフイベントへの対応などの場面で多く活用されています。
これらは、ありたい姿を自ら定め、成長するプロフェッショナルの背中を押す仕組みです。
2022年に整備した制度「Design Your Workstyle」では、メンバーの「自律」と「規律」への信頼をベースにした柔軟な働き方の選択肢を示しています。PwC Japanでは、働く場所、時間、就業形態の柔軟性を高めるため、皆に同じ働き方を求めることはしていません。一人一人が最大のパフォーマンスを発揮できる働き方を自律的に選択し、実践することが期待されているからです。柔軟な働き方の実現を通じて、より多くのプロフェッショナルが集い、存分に価値を発揮できる環境を整えています。
アルムナイを公式に組織化して定期交流を促していることも特長の1つです。「PwC Japan Alumni」は、国内外のPwCネットワークにおいて日本に関わる形で働いたことのある方で構成されています。
PwC出身者がPwCで培ったスキルや人脈を生かし社会で活躍することは、大局的な意味でPwCのパーパスである社会課題の解決につながります。また、PwCのメンバーファームに再入社し、社外で得たスキル・経験をもとに違った形でキャリアを築く方も増えています。
プロフェッショナル一人一人の「自律」と「規律」を両立させ、それぞれの多様な選択を尊重し、門戸を広く開いていくことで、より大きな社会課題を解決するためのプラットフォームとして、PwC Japanという組織を今後も発展させていきたいと考えています。