私たちはプロフェッショナルファームとして常にサービスの品質を追求しています。クライアントからの期待に着実に応えることでファームのビジネス規模は成長を続けていますが、それに伴って社会的な影響と責任もまた大きくなっています。
私たちがクライアントの期待に応え、社会にとって良き存在であり続けるためにも、自らを律することでまず社会から広く信頼される存在であらねばなりません。
PwCは「社会における信頼を構築し、重要な課題を解決する」というパーパスを掲げており、社会的な期待が高まる中でそのパーパスを達成していくために、PwC Japanのチーフ・リスク・オフィサーとして果たすべき3つの役割があります。
1つ目の役割は「PwC Japanの運営を健全に保つこと」です。クライアントや社会、監督当局から求められているルールが遵守され、ファームの各部門がさまざまなリスクに適切に対応できているのかを確認することを通じて、社会において良き存在であり続けたいと考えています。
2つ目は「提供するサービスの品質を担保すること」です。ビジネス規模が拡大するだけでなく、AIやデータなどテクノロジーを活用した新規ビジネスが増加しています。そのような状況下で、テクノロジーの進化に伴って複雑化が進むルールを常に遵守しながら、クライアントを含む関係者に満足いただけるサービス品質を担保する仕組みを構築することが重要になります。
そして3つ目は、「Ethics(倫理)に関する健全な文化構築に責任を持つこと」です。職業倫理にとどまらず、他者や社会との信頼の基盤となるような誠実で健全な風土を醸成することで、社内外の利害関係者が安心して業務を行うことができる環境を提供していく。これもチーフ・リスク・オフィサーとしての重要な役割となります。
多くのクライアントに多様なサービスを提供し、社会における重要な課題を解決していくため、PwCでは行動規範に加え、5つの倫理原則を定めています。具体的には、「誠実さ」「客観性」「プロフェッショナルとしての能力と十分な注意」「守秘義務」「プロフェッショナルらしい振る舞い」について規定しており、パートナーからスタッフまで全ての関係者がその遵守を求められています。
この行動規範と倫理原則は私たちに期待されるさまざまな事項について定めたものであり、私たちにとっての基本原則と言い換えることができます。この原則をもとに、どのように行動するべきかを省み、常に最善を尽くす責任が私たちに課されています。
PwCのサービスや組織としてのあり方についてご説明するうえで、独立性維持の観点は欠かすことができません。
PwC Japanにおいて、アシュアランス業務を提供するPwC Japan有限責任監査法人は独立した第三者である専門家として、企業の財務諸表などを保証する業務を提供しています。保証業務は特定のテーマに関して信頼を与えるという極めて重要な役割を持っており、特定のテーマに責任を持つ、クライアントから独立した立場にある専門家が実施することがその本質となります。そのため、私たちは規制当局を含む社会から、独立性に関するルールの遵守を強く求められています。
PwCが「社会における信頼を構築し、重要な課題を解決する」というパーパスを掲げていることは先ほども述べましたが、私たちは保証業務がサービスに含まれることで、社会における信頼を構築するための多様なサービスを提供できると考えています。このように保証業務をサービスとして提供する以上、PwCは独立性に関するルールを遵守することで社会からの信頼に応える必要があります。
独立性に関するルールは程度に違いはありますが、監査法人だけでなく、コンサルティング、ディールアドバイザリー、税務・法務などPwCが提供する全てのサービス分野に及びます。つまり、独立性の維持はPwCブランドの価値の基盤であり、それを維持するためにさまざまな取り組みを行っています。
具体的には、独立性のリスク管理を専門に取り扱う部門が社内からの問い合わせに対応するほか、ルールの啓蒙に努めるなど、独立性維持のための取り組みをリードしています。また、グループ代表を含むリーダーシップは、定期的に独立性の重要性に関して社内にメッセージを発するなど、その先頭に立った取り組みを実施しています。加えて、独立性に関するルールを遵守するためにPwCのグローバルネットワークで利用するシステムの活用が進んでいます。
このように、独立性を専門に扱う部門の取り組み、リーダーシップのコミットメント、システムによる支援により、今後も強化が予想される独立性に関連するルールを遵守できるように取り組みを継続していきます。
最後に、PwC Japanの経営メンバーがどのように自らの行動を律し、経営の健全性を保つ仕組みを設けているのかについてお話ししたいと思います。
社会・経済におけるプロフェッショナル・サービス・ファームの存在感が高まる一方、その挙動に対する注目も高まっています。このような社会からの期待に適切に応えるためには、経営メンバーが自らを律するとともに、経営を監視するガバナンスの役割が非常に重要になります。
PwC Japanでは経営から独立した監視機関として、PwC Japanの各領域を代表するパートナーにより構成された合議体であるGeneral Oversight Committeeを設けています。
チームメンバーは経営経験を有するなど多様なバックグラウンドを持つパートナーで構成され、グループ代表の選任を含むマネジメントの選定プロセスに関与するとともに、マネジメントから定期的に報告を受け議論を行うことで、経営が健全な状況か、また、経営活動が社会的な期待に即しているかについて監視を行っています。
また、PwCグローバルネットワークに所属する各国・地域のメンバーファームには、そのブランドを維持し、ビジネスにおいて協働するためのルールを守ることが求められます。PwC Japanも当該ルールを遵守することで、PwCグローバルネットワークとしての必要なガバナンスを整備しています。
さらに、PwC Japanの経営メンバーは、PwCグローバルネットワークにおいて定められている「Tone at the top(経営者の姿勢)」を実践することが求められています。「Tone at the top」の実践のために、グループ代表が自らカルチャーや倫理について広くパートナーやスタッフに伝える機会を設けるなど、自ら行動規範等に基づいた行動をすること、他者の正しい行動を賞賛すること、PwCのパーパスをパートナーやスタッフに伝えていくことなどが求められ、常にネットワークを含む他者からのフィードバックに耳を傾けることが期待されています。
このような取り組みを通じて、自らを律することで、PwC Japanはクライアントの期待に応え、社会にとって良き存在であり続けたいと考えています。