企業の垣根を越えたコレクティブインパクトへの第一歩 「ソーシャルな視野が広がる1Dayプロボノワークショップ」を開催

2024-03-08

PwC Japanグループは企業の垣根を越えたコレクティブインパクトの創出を目指し、株式会社三井住友フィナンシャルグループと共同で「ソーシャルな視野が広がる1Dayプロボノワークショップ」を2024年2月に開催しました。

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当日は、異なる組織の共創により社会の持続的な変革の体現を目指すという趣旨に賛同した企業12社から約130名が参加。社会課題に関心がありつつも自分にできることを模索しているビジネスパーソンに対し、日頃の業務を通じて培ったスキルや専門性が社会課題の解決に活用できることを実感してもらおうと、7つの NPO団体が抱えるさまざまな課題に対する解決策を提案してもらいました。

課題設定から、解決へのアプローチまでのステップを整理

参加者の約7割の方がプロボノ初体験だったこともあり、今回のイベントでは課題の言語化、解決策の検討、最終提案における期待事項、成功のためのヒントを詳しく説明し、ステップバイステップで進めることにしました。特に対話を重視し、NPO団体から提示された課題の理解に時間を掛け、解決策の実行可能性を確認することを各チームに求めました。

図表 1 課題の言語化
図表 2 解決策の検討
図表 3 提案資料の準備

ステークホルダーとのコミュニケーションや、情報・リレーション管理の改善策提案

参加NPOの1つであるNPO法人グリーンウッド自然体験教育センターには2つの課題がありました。1つは「寄付者、キャンプ事業の参加者、ボランティアなど、グリーンウッドに関わるステークホルダーの情報管理」。38年にわたる活動の中で関係人口が増え、関わり方も複雑なため、名簿が整理できず情報が散在していたのです。

しかし、情報管理の実現によって寄付金の増加や人材の確保が見込まれる一方で、情報管理に工数を割くことはできません。そこで、コンサルティングにおける戦略部門や、事業会社のカスタマーサービス経験者などが上記の問題点を踏まえ、寄付者などユーザーの立場にたち、目的別の情報管理が可能な会員システムを提案しました。

もう1つの課題は「山村留学が子どもに与える価値を、どれだけわかりやすく伝えることができるのか」というものでした。このテーマに対する支援を担当したチームは、NPO法人の理念が「ミッション」「ビジョン」「アクション」の3本柱でウェブサイトに掲げられているにも関わらず、どれも同じことを言っていてぼやけた印象となっていることを指摘。こうなった理由として現状スタッフ同士、目指す姿にズレがある可能性を指摘し、上からミッション、ビジョン、アクションとなる三角形構造にして整理し、可視化することを提案しました。まずはグリーンウッドが何者なのか、コンセプトを組み直すところからスタート。さらに個別の項目の整理としてミッションに掲げる「安全な社会」については、「安全な社会」が具体的に何なのか、明確に表現するために内部で議論して設定することを提案しました。

コンセプトを固めなおすことで、自分たちが何者なのか、何がやりたいのかを明確に伝える広報活動ができるようになります。そして伝えるツールとして動画や画像を共有可能なSNSを活用することや、低コストで動画を作成することを提案するなど、具体的な提案も交えながら説明しました。

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グリーンウッド事務局長の齋藤新氏は、「1日だけのプロボノワークではなかなか難しいのではないかと不安も感じていましたが、参加されている方一人ひとりが積極的かつ真剣に取り組む姿に『社会も変わりつつあるのだ』と素直に感動しました。参加されている方の質問が鋭く、それだけでも私たちの抱えている課題が浮き彫りとなり、成果物だけでない非常に収穫が多い時間となりました」と語りました。

PwC Japanグループの参加メンバーからも「NPOの方から『質問をいただき、答えるという最初のやりとりをする中で課題と打ち手がクリアになり、ヒントが多くもらえました』とのコメントをいただけました。具体的なアウトプットの作成を支援するだけではなく、継続的な壁打ち相手となることもプロボノとしての存在価値ですね」と手応えが感じられたようです。

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コレクティブインパクトの創出に向けて企業ができること

今回の企画をリードしたPwC Japan有限責任監査法人パートナーの辻信行は、以下のように述べています。

「今回のイベントは、企業の垣根を越えたコレクティブインパクトの第一歩となるべく企画したものでした。明確な成果は見えないものの、複数の企業の従業員が一堂に会し、NPOのリアルな課題に向き合うことで何かが起こるのではないか、という仮説からスタートしましたが、蓋を開けてみると予想をはるかに上回る結果となりました。

私たちは通常、所属する会社の枠組みの中で活動しています。それが今回のイベントでは、組織で決められた役割やポジションから解放され、いつもとは異なるメンバーと刺激し合いながら、普段の業務で設定している制限を解除し、全力で課題に向き合っている参加者の姿がありました。そしてこの姿を目の当たりにしたNPOの方々からは『本当に社会が変わろうとしていると感じました』との声もあり、当初の予想とは異なる次元の“お土産”を受け取っていただくことができました。

私たちのコレクティブインパクトへの挑戦は始まったばかりですが、本イベントに参加された方々には、そのポテンシャルを実感いただくことができたと確信しています。今回のイベントがそうであったように、深く考え過ぎず、真剣でありつつも楽しく、同じ思いでつながれる場を提供することが、企業が担うべき役割なのかもしれません。

私たちは社会課題解決のアプローチの1つとして、社会課題軸でコミュニティが組成できる『Collective Impact Base』という場をPwC Japanグループ内に展開しています。今後、さまざまな領域でのコレクティブインパクトの創出を目指し、外部との連携を強化する予定です。

引き続き、試行錯誤を重ね、コレクティブインパクトによる社会変革の実現に挑戦し、そこから得られた情報や事例を共有したく考えていますので、期待してお待ちいただけますと幸いです」

PwC Japanグループはこれからも、社会における信頼を構築し、重要な課題を解決する社会変革の担い手として、さまざまなステークホルダーとの協働を推進してまいります。

【参考資料】参加者アンケートの結果より(n=89)

図表 4 イベント全体の満足度とその理由
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図表6 これまでのプロボノ経験回数

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