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セキュリティ業界の女性支援活動に貢献したとして、PwCコンサルティング合同会社トラストコンサルティング部門マネージャーの愛甲 日路親(あいこう ひろみ)が、セキュリティ業界における女性育成推進を担う国際団体United Cybersecurity Allianceより2023年11月8日に「The Cybersecurity Women Supporter of Japan 2023」として表彰されました。
受賞者の愛甲にこれまでの支援活動の内容や、今後の抱負について語ってもらいました。
「The Cybersecurity Women Supporter of Japan 2023」授賞式の様子
―今回、国際団体からセキュリティ業界の女性支援活動に貢献した日本人として表彰されましたが、どのような活動が評価されたのでしょうか。
愛甲:
今回、評価された活動は大きく2つあると理解しています。
1つは、PwC Japanグループにおいて「セキュリティ業界の女性のキャリアパス可視化プロジェクト」の一環として2022年から行っている「セキュリティ業界で働く女性の実態調査」です。この活動は国内セキュリティ業界で働く男女の傾向・ギャップを明らかにすることを目的に、どのようなキャリアを築き、将来を描いているかを可視化する、日本で初めてのアンケート調査です。この調査により、国内のセキュリティ業界に携わる女性の多くが「文系出身者(最終学歴の専攻)」であることが明らかになり、文系出身の学生が目指せる職業であることが明らかになりました。日本の女子学生には文系の専攻者が多いことから、多くの女子学生にとって新たな就職先として視野が広がったのではないかと推察します。
もう1つは、セキュリティ業界の女性を支援する国際団体であるLCL-Tokyo(Leading Cyber Ladies in Tokyo)でCybersecurity Women Brandingワーキンググループを立ち上げたことです。
賛同いただいた社外の方々とともに、セキュリティ業界の若い女性たちが真に求めるロールモデルについて議論して情報発信を行ったり、彼女たち自身をブランディングする機会を創出するためのパネルディスカッションやワークショップ、インサイトの執筆などの活動を行ったりしています。
―これらの活動を始めたきっかけは何だったのでしょうか。
愛甲:
きっかけは、本業界における多くの若い女性がロールモデルを探していることを知ったからです。
もともと私は文系出身で、2011年に他業界からセキュリティ業界に転身しました。周りの多くがセキュリティ技術者のなかで、ハッキング技術もなく、プログラミングもネットワーク解析もできない私がこのままこの業界でキャリアを築いていけるのか、ずっと不安を感じていました。そして「いつか子どもを産むタイミングでこの業界を辞めるのだろうな」とも。
そんな中、2021年に設立されたLCL-Tokyoのキックオフミーティングで6割以上の女性が同じように将来に不安を感じていたことを知ったのです。
「身近にロールモデルとなる女性がいない。特に、子育てしながら働く女性が先輩にいない」
「よく見かけるのは、いわゆるスーパーウーマン。仕事も家事も子育てもこなして睡眠時間や自分の時間を諦めないと働けないなら、私はこの業界から離れると思う」
今後のセキュリティ業界を担う20代の女性たちからこのような言葉を聞いて、ワークライフバランスを重視する女性が増えていること(これは男性にも言えることですが)を確信しました。そしてこれが多数派の意見であれば、せっかくこの業界を選んでくれた彼女たちがこの業界から離れるのではと危機感を抱いたのです。またこれが顕在化された場合、長らく指摘されている人材不足という社会課題がより一層深刻になることは想像に難くありません。
彼女たちの不安を解消するためには、サイバーセキュリティ業界にはさまざまな働き方があることをデータとして示し、また実際働く女性たちが経験談を発することが一番心に響くだろうと考え、「セキュリティ業界の女性のキャリアパス可視化プロジェクト」活動を開始しました。会社にも社内および社外チームメンバーにも協力・支援いただいたことを、この場を借りて改めて感謝申し上げます。
―最後に、今後の活動と抱負を教えてください。
愛甲:
直近では、日本特有の課題を明らかにすることを目的に、セキュリティ業界で働く女性の国内と国外の比較調査を予定しています。そして働く女性の声を聞きながら、本業界だけでなく、日本社会がどのように改善されるべきかを継続的に提言していきたいと考えています。
日本は世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数1が146カ国中125位。2023年6月に開催されたThe G7 Ministerial Meeting on Gender Equality and Women’s Empowermentでは、日本は唯一男性大臣が出席したということが海外で報じられたことからも分かるように、男性優位性が社会に色濃く根付く、異例の先進国といえるでしょう。
セキュリティ業界は歴史が浅く、男性が多い業界ではありますが、体力仕事ではないこと、働く場所が必ずしも固定されないことから、女性にとっても働きやすい業界で、社会的背景を受けづらい業界だと理解しています。
今後、より多くの女性がこの業界に夢を抱けるように、次世代の若者たちが男女の差を意識せず働ける業界となるように、今後も活動を続けてまいります。
「The Cybersecurity Women Supporter of Japan 2023」授賞式の様子
1 World Economic Forum, “Global Gender Gap Report 2023” (2023/6) https://www3.weforum.org/docs/WEF_GGGR_2023.pdf
愛甲 日路親
マネージャー, PwCコンサルティング合同会社