近年、企業のビジネス環境におけるDX化や提供サービス・製品のデジタル化が浸透し、世界各国で急速にサイバーセキュリティやプライバシー保護のための新しい技術の開発や法規制が整備されています1。これに伴い、企業リスクの1つの対策として「デジタルトラスト2」の重要性が高まるとともに国内外でデジタルトラスト専門家が強く求められるようになりました3。
一方で、デジタルトラスト業界は歴史が浅く、デジタル空間の在り方や考え方が目まぐるしく変化するため、デジタルトラストの業務範囲も多様に広がり、大学生や転職希望者より、デジタルトラスト専門家の業務内容やキャリアパスが想像しづらいという声があがっています。
これらを背景に、PwCコンサルティング合同会社は、2022年より国内デジタルトラスト専門家の実態を明らかにすることで、将来のデジタルトラスト業界の人材候補者である学生や転職活動者へ「仕事の不透明さ」を解消することを目的に実態調査を実施しています※。
2023年度調査では、PwCコンサルティングに焦点を当て、デリバリーサービスを担うPwCデジタルトラスト専門家(93名)を対象4にアンケート調査を実施しました。
本レポートが、近い将来、PwCデジタルトラスト専門家として共に働くであろう皆様にとって有益な情報となることを願っています。
※2022年度調査の詳細は「サイバーセキュリティおよびプライバシー業界で働く女性の実態調査2022」(以下、「昨年度調査」という)をご参照ください。
今回の調査では、PwCデジタルトラスト専門家5の10の傾向を確認することができました(図表1)。キャリアパスに沿って、各傾向を「過去」「現在」「将来」のタイムラインに分類して紹介します。各10項目の詳細情報は、以下レポート(PDF形式)を参照ください。
本調査の「過去の傾向」において特に注目したいのは、PwCデジタルトラスト専門家の最終学歴や前職の業種・所属部門についてです。
まず、最終学歴における専攻を見ると、PwCデジタルトラスト専門家の4割が「文系6」、6割が「理系7」でした(図表2)。このことから、PwCデジタルトラスト専門家は最終学歴の専攻において、理系・文系出身を問わず活躍できる業界であると言えます。
さらに、転職経験者に対して前職での業種や所属部門について質問したところ、職種については「IT・セキュリティベンダー」が最も多く7割、次いで「製造業」「学術研究、専門・技術サービス業」の順に多くなりました(図表3:左)。また、前職での所属部門について質問したところ、「IT部門」が6割、「非IT部門」は4割となり、昨年度調査の国内デジタルトラスト専門家よりも「IT部門」出身者の割合がやや高い傾向にあることが分かりました(図表4)。
これらのことから、PwCデジタルトラスト専門家は、理系だけでなく文系出身者にも開かれた職種であり、転職経験者においては特に「IT・セキュリティベンダー」や「IT部門」経験者の次のキャリアパスとして考えられていると言えます。
「現在の傾向」において注目したいのは、多くのPwCデジタルトラスト専門家が仕事に「やりがい」や「楽しさ」を感じていることです(図表5)。さらに、将来のキャリアパスとして、デジタルトラスト専門家がCISOなどのエクゼクティブクラスを目指す場合は、「コンサルティング業務経験」を有すると有利としています(図表6)。
これらのことから、「やりがい」や「楽しさ」を仕事に求める方にとって、PwCデジタルトラスト専門家は希望に沿った職種と言えます。さらには、CISOなどのエクゼクティブクラスを目指す方にとっても、PwCデジタルトラスト専門家としての経験は、キャリアパスの1つとして得ておくと今後望む役職につく際に大きなメリットとなると言えます。
その他、詳細情報は以下レポート(PDF形式)を参照ください。
PwCコンサルティングのDigital Trust Inclusion & Diversity(DT I&D)のリードパートナーである辻 大輔および実行リーダーである林 恵子からのメッセージです。
「セキュリティおよびプライバシーサービスにおける多様な人材の確保のために」
前回に引き続き、セキュリティおよびプライバシー(以下、「デジタルトラスト」という)業界において今最も重要である「人材」についての示唆を提供できることになりました。
昨今、デジタルトラスト専門家は、ITセキュリティのみではなく、OTや製品、プライバシー領域まで、広範囲の課題への対応が求められ、必然的に多くの専門家が協力しながら、クライアントの課題解決を目指すことが求められます。今回の調査により、PwCは、文理や出身会社等が異なるさまざまなバックグラウンドを持つデジタルトラスト専門家がお互いに協力し合い、より高い専門性の獲得やよりチャレンジングな業務に取り組むことができる「成長を期待できる職場」であることが示されました。
デジタルトラストサービスにおいて人材の確保は多くの企業や国家が抱える大きな課題です。今後も多くの専門家の成長に寄与し、デジタルトラストサービスの人材を排出していきたいと思います。
「社会的意義の大きな仕事における多様性の推進」
デジタルトラスト業界は今大きく急激に成長している分野です。それは、個人、企業、国家、社会全体のどの層であっても「セキュリティ」および「プライバシー保護」はその存続のために必ず必要とされる要素だからです。
今回の調査は、私たちPwCデジタルトラストコンサルタントが日々仕事に対して感じている、社会的意義の大きさややりがいを裏付ける結果となりました。また、Inclusion & Diversityを担当する者として、男女を問わず、多様な人々が自分自身の成長や専門性を高め、管理職・経営層を目指す等の「多様性の推進」につながるマインドを持ち続けられる仕事であることも大変嬉しく思いました。
これからも私たちは「多様な人々」がさまざまに描く「多様なキャリア」を実現できる環境であるようにInclusion & Diversityの推進に力を入れていきたいと思います。
PwCで活躍するデジタルトラスト専門家は、文系・理系出身かかわらず活躍しており、特に文系出身者はより多様な業務に配属される機会があることが分かりました。
また、転職経験者においては、ITベンダーやセキュリティベンダー出身者が7割と多数を占めることから、IT・セキュリティベンダーの次の転職先のキャリアパスとして「コンサルティング」を選んでいる傾向があることが分かりました。
デジタルトラスト業界は、世界中で急速にその重要性が認められている新しい専門領域です。その業務範囲は今後も、より複雑化し、目まぐるしく変化していくことでしょう。学ぶことも多い業界ではありますが、新しいもの好きな方や社会貢献をされたい方、またグローバルに活躍されたい方、CISOなど経営層を目指す方にとっては、刺激があり、楽しく、またやりがいを感じられる仕事です。
是非、あなたの就職先に『PwCデジタルトラストのお仕事』を検討してみてください。
直近の求人情報はこちらから
調査名 |
PwCデジタルトラスト領域で働く専門家の実態調査2023 |
調査対象 |
PwCコンサルティング合同会社においてサイバーセキュリティおよびプライバシー関連のデリバリー業務を担う者 |
調査期間 |
2022年12月5日(月)~2023年1月13日(金) |
調査方法 |
Webベースのアンケート調査 |
回答者数 |
国内93名(男性75名、女性18名) ※海外149名(男性83名、女性64名、性別未分類2名) |
1 PwC「各国プライバシー法の動向」https://www.pwc.com/jp/ja/services/assurance/governance-risk-management-compliance/digital-trust-service-platform/ciso-cyber-concierge.html#privacy
2 ここでいう「デジタルトラスト」とは、組織におけるサイバーセキュリティおよびプライバシー保護に関する業務全般を指します。
3 (ISC)2, “(ISC)2 CYBERSECURITY WORKFORCE STUDY, 2022”
https://www.isc2.org/-/media/ISC2/Research/2022-WorkForce-Study/ISC2-Cybersecurity-Workforce-Study.ashx?la=en&hash=144BC75D8AF9D00D943D20628862BF4E2D9BA61C
4 一部、海外PwCデジタルトラスト専門家(149名)のデータを含みます。
5 ここでいう「PwCデジタルトラスト専門家」とは、PwCコンサルティングにおいてサイバーセキュリティおよびプライバシーに関する業務領域で活躍する専門家を指します。
6 ここでいう「文系」とは、経済学、法学・政治学、社会学、文学、語学(外国語)、商学、芸術、経営学、教育学、体育・保健学を指します。
7 ここでいう「理系」とは、工学、理学、情報学・総合情報学、農学・水産学、看護・福祉・栄養学、医・歯・薬学、専門学校卒を指します。