
最近、クライアントから2050年の展望について質問される機会が多くなりました。2050年の未来を予測し、そこに対応する形で企業戦略を立てたいという意図があるのでしょうが、このような質問を受ける度に、失われた20年の延長線上にある日本の姿が透けて見えてきます。見過ごしがちですが、「自分」の将来あるべき姿というものを念頭に置いて社会の変革を目指したり、未来へのストーリーを描いていったりする方が、結果として、思い描いていたものとは異なる未来がやってきたとしても、レジリエントな自分なりのストーリーを紡ぐことができるようになるはずです。私たちが2020年12月に出版した書籍『「望ましい未来」をつくる技術戦略』では、12の未来のストーリーを描き出すとともに、延べ50人以上のコンサルタントがそこに紐づく105の技術との関わりを考え、そのシナリオを複層的に検討しました。ベースとなる世界観は同じですが、個々のコンサルタントが紡いだストーリーは、少しずつ異なっています。このような違いが、多様性に富む未来を創っていくことになるでしょう。
豊かな未来を創造するためには、イノベーションが不可欠です。PwCコンサルティングが提供している、知財をAIで解析するIntelligent Business Analyticsもその一つ。これは、クライアントが保有する知財と親和性の高いバリューチェーンを抽出・分析し、潜在アライアンス企業の事業性・技術評価を行うツールです。
これまでは、知的財産の数が多いことと、技術のみが注目されるという背景から、知財の市場性はあまり注目されていませんでした。実際にコンサルタントが既存の特許データや市場データを分析・加工してクライアントに提供してはいたのですが、この作業には多くの時間と労力を擁していたのです。そこで、私たちがクライアントにデータを提示するまでの通常のノウハウをAIに取り入れ、分析から評価までの一連の流れを高速で行い、例えばオープンクローズ戦略のような高度な戦略が立案できるようにしました。イノベーションは、知識やノウハウの連結により起こるとされていますが、それらはイノベーションのきっかけを作るツールとしての役割を果たすことも期待されています。
未来を見通し、最先端の科学領域を今ある現実のビジネスに取り込む。これが、私が所長を務めるTechnology Laboratoryで実践していることです。現在は、人やモノとのつながりを改めて意識するべく、さまざまな企業や研究機関と共同研究を進めています。人の社会を健全にアップデートしていくために必要とされるTechnologyを活用し、クライアントの未来づくりに貢献していきます。
三治 信一朗(Shinichiro Sanji)
日系シンクタンク、コンサルティングファームを経て現職。産官学のそれぞれの特徴を生かしたコンサルティングに強みを持つ。社会実装に向けた構想策定、コンソーシアム立ち上げ支援、技術戦略策定、技術ロードマップ策定支援コンサルティングに従事。
政策立案支援から、研究機関の技術力評価、企業の新規事業の実行支援など幅広く視座の高いコンサルティングを提供する。
自然を守ることで持続可能な社会構築に取り組む国際NGOコンサベーション・インターナショナルのジュール・アメリア氏に、サーキュラーエコノミーをテーマに製造業における企業の持続可能性に必要なアクションについて伺いました。
近年日本でも新たなマーケットプレイスとしてLife Settlement(保険の買取ビジネス)が期待を集めているといった動向も踏まえ、本レポートでは、改めてWeb3.0に着目し、Web3.0関連技術の活用による変革の機会を見据えた今後の論点などを解説します。
製造業界出身で、現在はPwCコンサルティングで製造業を対象としたERP導入を手掛けるディレクター佐田桂之介と、シニアマネージャー尾中隆喜が、基幹システムを導入する際のシステムの「標準化」の意義や克服すべき課題について語ります。
量子技術開発への公的な政策的投資の拡大により注目されている「責任ある研究とイノベーション(RRI)」という考え方についてその重要性を紹介するとともに、国際的なイノベーションガバナンスの変革に適応していくために政府機関、アカデミア機関、民間企業、およびエンドユーザーが実践すべき行動について「量子技術分野」を例に解きます。
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