
税制の複雑化、そしてコロナ禍における環境変化は税務行政に対応する納税者に大きな影響を与えています。各企業の税務部門の人員不足や、海外へ事業展開する企業の所得・財産流出なども相まって、この流れは今後ますます加速し、対応を迫られる企業側の負担も増していくと考えられます。
これらの課題を解決し、リスクの高い事案に対する国税当局による集中的な税務調査などに対応する1つの手段として、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が挙げられます。
私たちPwC税理士法人は、こうした企業の税務業務の対応負荷の軽減を図るため、テクノロジーを活用したソリューションを独自に開発・提供しています。その1つとして、税務リスクのデータ可視化・分析サービスである「Tax Risk Data Analyser」が挙げられます。本サービスでは、企業内の大量の取引データから特定の税務リスクに対応した税務データを抽出し、効率的かつ効果的な分析を実施することで、実際の税務調査での指摘が懸念される取引や課題を整理して報告します。私たちは、このソリューションを通じて国税当局・納税者の双方の税務調査の負荷の軽減に貢献できると考えています。
また、長期的には国税当局における税務行政の効率化だけでなく、優良納税者とされる企業の税務調査対応の実務負担を軽減し、より少ない社会コストでの適正な納税社会の実現という、国・納税者の双方にとって望ましい未来の実現に向けて貢献していきます。私たちは、それが、税理士法人ならではの専門性を生かした社会的意義の実現になると考えています。
私がリーダーを務める移転価格コンサルティンググループでは、日々の業務の中で経済分析や文書化業務などデジタルテクノロジーを使う場面が多く、大多数のメンバーはテクノロジーを活用したソリューションに関連する業務に抵抗感がありません。また、移転価格コンサルティンググループ内には税務テクノロジーを用いたソリューションの開発・導入を専門に担当するチームもあります。例えば、一定の規模の会社で作成が求められる国別報告書(CbCR)を、移転価格税制の観点だけでなくタックスヘイブン税制(CFC税制)など多角的な視点から分析できる「Country by Country Reporting Analyzer(CbCR Analyzer)」というソリューションを開発・提供してきました。
今後、グローバルでデジタル課税という新しい税制度が導入されることで、企業にとってグローバルな税務ガバナンスはより重要な課題となっていきます。私たちは、Tax Risk Data Analyser、CbCR Analyzerに続くテクノロジーを活用した新たなソリューションを開発し、税務領域を含め、企業のリスクへの対応を支援して、企業のガバナンス構築に貢献していきます。
◆略歴
2003年に入社。大阪事務所にて、法人税や個人所得税に関するコンプライアンス・コンサルティングサービスから、移転価格コンサルティングサービスまで幅広い業務を経験。2007年から移転価格コンサルティンググループに異動し東京事務所で勤務。
2008年7月には大阪事務所の移転価格コンサルティンググループ立ち上げと同時に大阪事務所に帰任。また、名古屋事務所の移転価格コンサルティンググループ立ち上げにも携わる。現在は、日本全国のクライアントに対して、移転価格調査、相互協議、事前確認、BEPS関係の文書化業務など数多くの移転価格コンサルティングサービスを中心に、事業再編や国際税務に対するサービスもワンストップで提供する。2020年7月から移転価格コンサルティンググループのリーダーを務める。
プロジェクト実績
移転価格調査、国内争訟手続、相互協議(MAP)、事前確認(APA)に関するアドバイザリーサービス
第10回は、慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科 教授 白坂成功氏を迎え、PwCコンサルティングのパートナー渡邊敏康とシニアマネージャー南政樹が、システムズエンジニアリングの発想に基づいた価値創出と課題解決の方法について議論しました。
自然を守ることで持続可能な社会構築に取り組む国際NGOコンサベーション・インターナショナルのジュール・アメリア氏に、サーキュラーエコノミーをテーマに製造業における企業の持続可能性に必要なアクションについて伺いました。
近年日本でも新たなマーケットプレイスとしてLife Settlement(保険の買取ビジネス)が期待を集めているといった動向も踏まえ、本レポートでは、改めてWeb3.0に着目し、Web3.0関連技術の活用による変革の機会を見据えた今後の論点などを解説します。
製造業界出身で、現在はPwCコンサルティングで製造業を対象としたERP導入を手掛けるディレクター佐田桂之介と、シニアマネージャー尾中隆喜が、基幹システムを導入する際のシステムの「標準化」の意義や克服すべき課題について語ります。