
現代の社会や企業が抱える課題はますます複雑化しており、これに対応できる人材のベーススキルや知識力の向上が求められています。今回はET-IS(Enterprise Transformation-Industry Solutions)においてL&D(Learning & Development)活動を促進している3名が、PwCコンサルティング合同会社(以下、PwCコンサルティング)のL&D環境の魅力や特長、そして人材育成にかける思いを語り合いました。
※法人名、役職、インタビューの内容などは掲載当時のものです。
左から佐藤 涼太、中山 裕之、細井 裕介
中山:
私は、新卒で外資系のコンサルティングファームに入社し、ERP、CRM、AIなどのテクノロジーを活用した企業の変革を支援するコンサルティングに従事してきました。20年以上在籍しましたが、デジタルテクノロジーを活用したユニコーン企業が続々誕生していた当時、その背景を知りたいと考え、クラウドベンダーに転職し、エンタープライズ領域の事業開発に携わりました。DXを支援するにはテクノロジーだけでなく、組織や人材も変革する必要性を再認識し、コンサルティング業界に戻ることを決意して、2020年にPwCコンサルティングに入社。現在は、日本企業の市場の変化に対応できる俊敏性と柔軟性を向上するために、アジャイルとクラウドを軸とした、ET-ISのAgile & Cloud transformation CoEをメインに各CoEの連携を担当しています。ET-ISのCoEは専門性が高いので、クライアントへより高い価値を提供すべく、ET-ISのL&D活動も推進しています。
細井:
私のキャリアや経歴はNew business CoEの紹介記事で紹介していますので、ここではL&Dに対する思いをお話ししたいと思います。現在CoEリーダーという立場でありチームを強化するためにもL&Dをライフワークとして促進することは当然ですが、人の成長を考えることは自分の成長にも繋がります。部下や後輩へ何を伝えるべきなのか、その試行錯誤の過程で自身のビジネス力や考え方が再整理されてくると思います。また私たちが直接的なインプットを与えるだけではなく、本人が気づきを得て自律的に成長するためにどのようなヒントを提供できるかを考えることで、マネジメントとして重要な経験を得ているのだと思います。PwCコンサルティングに入社された方は成長意欲にあふれて日々の業務に取り組んでいます。私自身も含めて全ての方が成長できる環境づくりを目指して活動しています。
佐藤:
私は大学卒業後、日系IT企業に入社し、主に製造業の設計開発領域における技術情報基盤システムのシステムエンジニアおよびプロジェクトマネージャーとして要件定義からシステム稼働までをサポートしてきました。経験を積む中で、コンサルタントと協業する案件があり、さまざまな刺激を受けたことでより広くクライアントの課題解決に取り組みたいと感じるようになったことから、2015年にPwCコンサルティングに転職しました。入社後は実際に自動車業界の設計・開発領域を中心とした業務変革やシステム改革、直近では法規適用など、幅広いプロジェクトに携わり、現在は自身のキャリアのスタートであるデジタル分野に再度向き合い、デジタルを活用した変革ソリューション開発・デリバリーをリードしています。L&D活動に取り組む背景として、私の入社当時、L&Dの環境は発展段階だったこともあり、現場で苦労したという経験があります。ET-ISはその特性上、専門性の高さを重視しているため、コンサルタント未経験者や異業種からの転職者も少なくありません。そうした方がプロジェクトに参加する前に必要な能力を身につけ、さらに参画後もしっかりとサポートされる体制を提供し続けたいと考えています。
中山:
ET-ISは、インダストリーの視点から、ソリューションを武器に社会や企業が抱える重要課題の解決支援をクライアントへ提供することを目的としています。一方で、社会情勢の変化や制度の複雑化が進む中、専門性を高めることがクライアントの期待に応えるために不可欠であり、その変革スピードも加速していると感じています。
所属メンバーの多くが、事業会社やソリューションベンダー出身の人材であり、組織の拡大に伴って人数規模も増加しています。そのため、新規メンバーには効率的・効果的にコンサルティングの専門スキルや知識を身に付けてもらう必要があり、L&D活動は非常に重要なテーマと位置付けています。
コンサルティングは「人」が資本であり、自分の持っている知識やスキルをアップデートし続けることがビジネスの根幹と言っても過言ではありません。しかし「学ばせる」形で強制するのではなく、自発的に「学ぶ」姿勢が重要です。成長は楽しいものであり、学ぶことには面白さがあります。こうした学習意欲を奨励し、学べる環境を整える仕組みづくりが一番大切だと考えています。
細井:
「学ぶ」姿勢は本当に大切です。例えば、会議をファシリテーションする能力は全員が備えていてほしいスキルですが、単に「習得してください」と伝えて研修を行うだけでは、その効果は限られると考えています。先達の姿を見て、自ら必要性や重要性に「気づき」、そして「学ぶ」姿勢を養うことこが、成長を促進する重要な要素だと思います。
この考え方は、PwCコンサルティングの自立性を重んじるカルチャーと一致しており、ET-ISにおけるL&Dの取り組みにもそのカルチャーを活かそうしています。
佐藤:
カルチャーに基づきながら、ET-ISのL&D活動では、2つの階層で施策を推進しています。
1つ目の階層では、ET-IS全体での取り組みとして、若手メンバーや中途メンバーが現場に出る前に身に付けておくべきスキルや知識の底上げを支援する環境(Development platform)を提供しています。特に、コンサルタント未経験で、異業種から転職された方の場合、どんなスキルや知識が必要かを見定めることは困難です。そのため、こうした体系的に整理された環境は非常に価値があると考えています。加えて、各CoEが連携するための共通言語化にもつながります。
また、2つ目の階層として、知的好奇心の高いメンバーに対して、専門性を高めていく環境(Learning platform)を提供しています。急速に変化する社会の中では、この専門性を磨くために、若手もベテランも関係なく学び続ける必要があります。PwCコンサルティングでは、自分がやりたいと思うことを率先して学び、そこで学んだことや情報を共有する文化が根付いているため、この文化を大切に守りつつ、さらに発展を促していくことが私たちの目標です。
佐藤:
1階層(Development platform)で行っているいくつかの取り組みのうち、「自動車開発基礎」を紹介します。これは、自動車メーカーの役員の方などを招き、その知識を活用して、自動車の設計者が関与する開発プロセスやサプライチェーンなど、自動車開発の広範な領域に関する資料を新入社員が作成する取り組みです。さらに、その過程で得た知見を実体験として深めるため、自動車工場の見学も実施しています。これらの研修は、新入社員が、クライアントと対等に会話できる水準に立つために最低限求められる知識レベルを提供するものと考えています。
特に自動車業界は、電動化や自動運転など、動きが激しく、設計や開発のあり方などが大きく変わる転換期を迎えています。「自動車開発基礎」のような研修を通じて、自動車業界の基礎知識を身に付けることは、クライアントに高い価値を提供するための重要な土台となります。
細井:
その他の取り組みとして、「xCoE学びの場」について紹介します。社会や企業が抱える課題が高度に複雑化している現在、自身が関わるジョブの情報以外にも広くアンテナを張り、業界の変化や技術トレンドなどをキャッチアップしていくことはコンサルティングにおいて必要不可欠です。これに対応するため、ET-IS全体の取り組みとして「xCoE学びの場」が設立されました。この取り組みでは、若手を中心とした発表者が、各CoEのプロジェクト事例や、社内取り組みを通じて得た知見や改善点を全体に向けて発表し、共有します。発表者にとってはプレゼン機会の創出や自身の名前を広める場となります。一方、聞き手にとっては、発表者からの刺激を得ることでモチベーションが向上し、専門分野の理解を深めことができます。また、CoE間の連携を促進するなどL&Dの枠を超えた効果をもたらしています。
中山:
「xCoE学びの場」の発表者は自主的に参加する方が多く、PwCコンサルティングの自主性の高さが際立っています。さらに発信することが、別のプロジェクトを進めているCoEから相談を受けるきっかけとなり、情報を受信する機会につながるのも面白い発見でした。
活動が活性化することで、この「学びの場」を利用せずに、自分たちで発表する場所や内容を準備して情報共有を行うメンバーも出てきています。若手からベテランまでが社会の変化に適応し、自分自身をアップデートし続けられる環境と文化が、PwCコンサルティングの強みであり、魅力です。
細井:
「専門性」を高めるための2階層目の環境(Learning platform)においては、各CoEがそれぞれの専門性を高める取り組みを推進しています。私がリードしているNew business CoEでは、例えば、変化の速いモビリティのGX(グリーントランスフォーメーション)の最新動向やプロジェクトで得た知識を毎週共有する場を設けています。一人では網羅しきれない情報も、チームで分担し合うことで常に最新の情報にアップデートしています。
中山:
Agile & cloud transformation CoEでは、例えば、プラットフォーム・エンジニアリングやSRE(Site Reliability Engineering)などテクノロジーのトレンドや、大規模アジャイルといったテーマの学習と情報共有に取り組んでいます。また、アジャイルでは、CoE内の初学者向けに、座学だけではなく、紙飛行機作成や仮想プロジェクトを実施するワークショップなどの体験重視の取り組みを実施 してみたところ、驚くべき学習効果を発揮しました。昨今の環境変化に柔軟に対応できるよう、CoE内のスキルだけではなく、ET-IS内のベーススキルとして、今後アジャイルを位置付けていくことも検討しています。
佐藤:
私の所属するR&D/PLM CoEでは、製造業の設計開発領域に必要となる製品知識、設計開発プロセス知識、関連法規知識、PLMに代表される技術情報基盤の知識などに加え、それを身に付けるための社内外コンテンツを体系化・可視化、ポータルで共有することにより、メンバー自身が主体的に学べる環境づくりを行っています。
佐藤:
学ぶことに対する姿勢や考え方が重要です。そのためには、学びを支える仕組みを醸成していくことが求められます。例えば、「xCoE学びの場」も活性化し広がりを見せているため、継続を目指すことに加えて、より自主的な学びのサポートをしていきたいです。
細井:
2階層で行っている取り組みでも、全体に共有した方が良いものは1階層にもっていくなど、L&Dの仕組みをアップデートしようと柔軟に取り組んでいます。私たちはあくまで、個々の成長意欲やチャレンジ精神を促進するコーディネートを行うことを重視しています。強制的な研修ではなく、学びたいと思える環境と学習できる仕組みを整えることが、今後の展望です。
中山:
L&Dの活動や仕組みづくりにも終わりはなく、日々アップデートを続けることが必要です。私たちが学びに対する姿勢を若手に示し、「学ぶ」姿勢のカルチャーを育むことを非常に大事にしています。
PwCコンサルティングは、コンサルティングに必要なベーススキルや知識が学べる環境が整い、個々人が今まで培ってきた知見を十分に発揮できる環境があります。なにより、ET-ISのメンバーは、事業会社やIT、製造など多種多様なバックグラウンドを積み重ねてきた人材が多く、多様性を尊重し受け入れる豊かな土壌は大きな強みです。
企業や社会の変革を支援するには、自らの能力向上に努める姿勢と、それを支える環境が大切だと考えています。この意識を持つ方に、ぜひPwCコンサルティングの扉をノックしていただきたいと思います。
PwCコンサルティング合同会社 ET-ISパートナー 中山 裕之
外資系コンサルティング会社、外資系ITコンサルティング会社、外資系クラウドベンダーを経て現職。コンサルティング会社においては10年以上にわたりCRM、ERP、コグニティブ領域での事業責任者を務める。外資系クラウドベンダーにおいては、エンタープライズ領域における事業開発責任者としてクラウドの普及に携わる。専門領域は、クラウド、コグニティブ/AI/機械学習、モバイル、ERP、CRMにわたり、これらのテクノロジーを活用した企業および業務変革に30年以上従事。
PwCコンサルティング合同会社 ET-ISディレクター 細井 裕介
自動車メーカー、日系コンサルティングファームなどを経て、現職。
2021年にNew business CoEを立ち上げ、CoEリーダーを務める。
PwCコンサルティング合同会社 ET-ISシニアマネージャー 佐藤 涼太
日系SIer(システムインテグレーター)での製造業を中心とした技術情報基盤の構想策定、要件定義、運用立ち上げなどの経験を経て現職。製造業のR&D領域、特に自動車OEM/サプライヤーを中心に、業務プロセス改革、デジタル改革、法規/国際規格導入など 幅広いプロジェクトに携わる。