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ここ数年、グローバルレベルでの子会社の再編、事業のカーブアウト、従業員の人員削減、私的整理といったリストラクチャリングを実施する企業が増えています。こうした課題に対応するため、PwC弁護士法人は、企業のヘルスチェックとインタビューによる問題点の把握から、組織体制の見直し・資金調達方法の検討などの「再評価」と、国内外のグループ会社再編、取引関係の再構築といった「再構築」を実施するリストラクチャリング関連法務プラクティスを有しています。
同プラクティスのメンバーに、主にリストラクチャリング(再構築)に関する取り組み状況や個々の仕事のやりがいなどを聞きました。
PwC弁護士法人
パートナー/岩崎康幸弁護士(59期)※写真中央
佐藤 寛之弁護士(63期)※写真右
David Thomas弁護士(ニューサウスウェールズ州最高裁判所およびオーストラリア連邦最高裁判所。*日本では未登録)※写真左
※法人名、役職、インタビューの内容などは掲載当時(2024年7月)のものです。
岩崎:「リストラクチャリング(再構築)」という言葉が意味する範囲は非常に幅広いのですが、主に当プラクティスが注力しているのは、国内外のリストラクチャリングのサポートとして子会社やグループ会社の再編、事業のカーブアウト、従業員の人員削減等によりクライアントの経営資源を成長分野や利益率の高い業務に集中するにあたって必要となる取引等の支援のほか、金融機関などの債権者に対するサポートとしてのリファイナンスやDIPファイナンスなどの支援が挙げられます。
岩崎:日本企業のクライアント・外資系企業のクライアント問わず、海外の子会社やグループの現地法人の再編、特に欧州やアジア地域での案件を多く取り扱っています。例えば、アジア・欧州に子会社を多数有する日本の企業からは、レポートラインの統一や拠点の集約等を目的として子会社の株式のグループ内での移管や合併・事業譲渡のほか、法人から支店化するケースがあります。
佐藤:日本企業が行う、海外子会社を含む再編手続などを多く担当しています。例えば、日本法人の欧州販売子会社の統廃合、日本法人の東南アジアにおける子会社売却案件などです。前者では、PwCアドバイザリーと協働し、アイデア出しの段階から案件にかかわりました。後者では、現地のアドバイザーと協働し、日本法と現地法の違いを踏まえてアドバイスを提供しています。両案件ともスケジュールがタイトかつ法制度や手続が複雑で、確実にスケジュールどおりに動かしていくことが難しくもありましたが、やりがいを感じる結果となりました。
Thomas:私はある外資系企業の日本子会社の組織再編案件に携わりました。親会社はドイツにあり、他国で行った買収によって新たな子会社が傘下に入ったため、小規模な子会社を清算し、組織ストラクチャーを簡潔にしていくといった案件でした。新たに傘下に入った子会社は、日本の子会社と合併させることになりました。この際には、PwCドイツのチームが主導し、各国で組織再編業務を調整しました。私自身は、ドイツチームと密にコミュニケーションを取りながら、取締役会資料の英訳・書類作成などを担当しました。そうした業務を通じて、日本法とドイツ法の双方について学べたことが貴重な経験となりました。
岩崎:私は、日本企業の複数社が当事者になる統合における海外子会社の再編に携わったことがありました。その際、日本における合併により消滅する複数の会社が保有する海外子会社の株式を合併のタイミングで存続会社に移管することになったのですが、対象国は十数カ国に及ぶとともに、対象となる海外の会社は数十社以上あり、各国の法令などにより必要となる株式移管の手続を各社において行う必要がありました。こうした案件の場合、PwCグローバルネットワークのLegalチームと連携し、案件の初期段階でまず法的実行可能性のチェック・必要手続やタイムラインの概要を確認するフィージビリティスタディを各国で行い、そのうえで、実行フェーズに移していきます。また、再編案件においては法務手続だけでなく、税務インパクトもクライアントの大きな関心事です。そのため、グローバルを含めたLegalチームだけではなく、PwC Japanグループ内の税理士法人やバリュエーションチームとも連携し、再編の実行フェーズにおいては、連日会議などで各状況を確認しながら対応しました。案件開始からすべての手続が完了するまで半年以上に及びましたが、PwCのネットワークの総力を結集し、クライアントにサービスが提供できたため、とても印象深い案件となりました。
岩崎:複数国・地域の法制度に則って、現地チームと連携し、目的とする取引実行のタイムラインにあわせて対応することが私たちの最大のミッションです。手続状況のアップデートやクライアントへの定期的な報告を怠らず、クライアントが望むタイムラインに対応していくことは、当たり前のようでいて、やはり難易度の高い業務です。
佐藤:岩崎弁護士がお話ししたように、法律に則って手続を確実に一歩ずつ進めていくことは、“企業法務に携わる弁護士”としての基礎力を鍛えてくれます。また、当プラクティスでは、英語で日本の会社法を説明する機会が頻繁にありますが、会社法の理解をあらためて深める機会にもなっていると思います。また、この分野では、PwCグローバルネットワークやPwC Japanグループの他法人との協働も非常に多いので、当プラクティスで培った知見やネットワークは、他のM&A・コーポレート案件に携わる時にも確実に役立っています。
Thomas:私も、当弁護士法人の特色である海外ネットワークとの連携は、大きな魅力であると感じています。常に、英語でのコミュニケーション力や外国法に関する知見といった自分自身の強みを生かして、自発的に前に出ていくように心がけています。当プラクティスで多様な組織再編に携わったことにより、日本の会社法はもとより、ドイツ法をはじめとする他国の法制度についても学ぶことができています。また、さまざまな日本のクライアントとのやりとりを通じて、クライアントごとに効果的な“伝わりやすい文章の書き方・対話の仕方”などを意識することにより、コミュニケーション力の向上にもつながっていると感じています。
Thomas:オーストラリアの外資規制法はわかりにくいと言われますが、そこに知見を持っていることが私の強みです。これを生かせるアジア・オセアニア地域が絡むような、クロスボーダーの大型案件に関与していきたいです。さらにはM&A関連を軸に、日本法や海外法について一層の知見を蓄え、PwC内から「Davidに協力してほしい」と指名される存在になることが目標です。案件ごとにしっかりと成果を出していくことで、当事務所の発展に貢献していきたいと思います。
佐藤:私自身が弁護士としてステップアップするとともに、当弁護士法人の拡大・成長にも貢献していきたいと考えます。特に大型案件にも広く対応できるよう、当弁護士法人内のチーム体制や、海外ネットワークとの連携も強化していきたいと考えています。
岩崎:リストラクチャリング関連法務分野においては、PwCグローバルネットワークの英国のチームと連携することが多いことから、英国の主要メンバーと定期ミーティングの機会を設け、法改正やマーケット状況などの情報交換を行っています。
さらに最近は、APAC(アジア太平洋)のPwCの各チームとも定期的な情報交換の場が増えました。実際、インドネシアやオーストラリアなどの案件で日本が絡む場合、PwC弁護士法人に相談が寄せられるようになってきています。今後は欧州の英国以外の国や、アジアの各国・地域のメンバーとも案件の場に限らず連携を深め、グローバル展開する日本のクライアントへ、最新かつ深い情報提供とアドバイスを行っていきたいと考えます。
特に、Thomasさんが入所してからは、海外チームとのコミュニケーションの円滑化に一役かってくれています。例えば海外における再編案件においては、日本法で考えていると、想定しなかった手続や法務上の留意点の整理が必要になる場合があります。そうした時、Thomasさんも内部の細かな打ち合わせに参加し、海外チームとの調整に関して的確な意見を述べてくれます。Thomasさんには、海外チームとの関係づくりやネットワーク強化の要として、とても期待しています。
佐藤:海外の組織再編案件では、日本と現地で法制度が異なるだけでなく、案件の進め方などの実務的な面で、想像がつかないこともよく起こり得ます。Thomasさんは、その経験値から海外案件の進め方や考えなどの“勘所”を持っているので、それを踏まえた意見が聞けるのはとてもありがたいですね。
岩崎:当プラクティスの最大の価値は、PwCのネットワークを生かした”One Team”でのサービス提供です。海外およびPwC Japanグループの各法人との協働案件は多数ありますので、クロスボーダー案件に興味があり、チーム一体で進めていくことに喜びを感じられる方でしたら、非常に有意義な経験ができる環境だと思います。日本の企業がアジアや欧州など海外にある複数の子会社を再編するケースであっても、私たちが中心となって現地のLegalチームと日本の企業の間に入ってクライアント対応を行います。
例えばストラクチャーを検討する際には、まず私たちがクライアントの要望を確認し、日本側でアイデアを出して、クライアントと協議した結果を海外チームに提案しています。海外チームからのレポートをクライアントにそのまま提出することはなく、私たちがクライアントサイドに立ってレポートを事前確認し、さらなる不明点や疑問を吸い上げて、現地チームと詰めていくといった形です。
佐藤弁護士やThomasさんも常日頃、「クライアントからの感謝の言葉が原動力である」と、話しています。当プラクティスならではのこととして時差がある海外とのやりとりが多いため、大変なことも少なからずありますが、若手・ベテランにかかわらずクライアントとの綿密なやりとりを主体的に行えるエキサイティングな仕事を提供できると思います。