PwCは、世界151カ国に364,000人以上のスタッフを擁しています。また、PwC Japanグループでは、PwC Japan有限責任監査法人、PwCコンサルティング合同会社、PwCアドバイザリー合同会社、PwC税理士法人、PwC弁護士法人などの各法人が、クライアントが直面するビジネス上の課題解決に取り組んでいます。PwC Japanグループがスピーディかつ適確に多面的なアドバイスができるのは、各法人、そして各部門がそれぞれのサービスラインを越えて連携・協働するクロス・ライン・オブ・サービス(Cross Line of Service)、通称「xLoS」(クロスロス)というカルチャーが根づいているから。法人や部門をまたいだxLoSでのサービス提供がビジネスの現場でどう生かされているのか、国内外のM&A、事業再生案件などで協働する機会の多い3名が、その実態について語り合います。
(左から)山田 裕貴、赤間 穏子、八木 淑恵
赤間 穏子(PwCアドバイザリー合同会社 パートナー) ※写真中央
PMIに係る計画策定から実行支援までをハンズオンで担う。また、近年増加傾向にある事業買収・事業売却に関しても、事業分離が買収後または売却後に及ぼす影響度についてのアセスメント(評価・分析)や、その後の分離実行支援に係る業務に従事。
八木 淑恵(PwC税理士法人 パートナー) ※写真右
M&Aにおけるストラクチャリングや税務デューデリジェンス、買収後のグループ内再編・統合などに関する税務アドバイザリーサービス、国際税務ストラクチャリングやプランニング、クロスボーダー取引に関する税務アドバイザリーサービスを提供。国際課税テーマにおける豊富な経験・知見を生かし社内外で講師も務めており、PwCのe-learning講座「Tax Academy」にも登壇。
山田 裕貴(PwC弁護士法人 パートナー) ※写真左
弁護士(第一東京弁護士会所属)、米国ニューヨーク州弁護士。一般的な企業法務をはじめとして、国内外のM&A、ウェルスマネジメント、役員報酬制度の設計、ESG/サステナビリティ関連法務、税務紛争対応、情報法制などの分野を取り扱う。
※法人名、役職、インタビューの内容などは掲載当時(2024年6月)のものです。
赤間:
私は、PwCアドバイザリー合同会社(以下、PwCアドバイザリー)に所属しています。当社の事業領域は、ディール戦略策定、M&A、事業再生、社会・公共インフラといった領域から構成され、私は買収後の統合効果を最大化させるために必要なPMI(Post Merger Integration)のマネジメントを主業務としています。昨今は、クライアントの課題を起点とし、買収の前後にかかわらず、多様なフェーズで事業領域をまたいだプロジェクトも多く、そのような案件に携わる機会も増えています。
赤間 穏子(PwCアドバイザリー合同会社 パートナー)
八木:
私はPwC税理士法人で、日本企業に対する税務コンサルティングサービスや税務コンプライアンスサービスに従事しています。M&Aにおけるストラクチャリングや税務デューデリジェンス(以下、DD)、買収後の国内外のグループ内再編・統合などに関する税務ストラクチャリングやプランニング、クロスボーダー取引に関する税務アドバイザリーサービスなどが主な業務になります。
八木 淑恵(PwC税理士法人 パートナー)
山田:
私はPwC弁護士法人で、M&Aや企業法務に携わるコーポレートチームに属しています。主にM&A、テクノロジー、紛争・危機管理に関連した法務に携わっています。さらにウェルスマネジメント、パブリックセクター、ESG/サステナビリティに関連する法務なども扱っています。
山田 裕貴(PwC弁護士法人 パートナー)
八木:
案件組成、ファイナンシャルアドバイス、DD、バリュエーション、ストラクチャリングなどM&Aの一連のプロセスについて、PwC Japanグループで連携してクライアントにサービスを提供しています。例えば、案件組成時はPwCアドバイザリーが主導し、クロージングまわりをPwC税理士法人とPwC弁護士法人が担い、クロージング後は再びPwCアドバイザリーのPMIチームが担当するといったケースが挙げられます。私自身は、主にストラクチャリングや税務DDなどのアドバイスを提供しています。
山田:
私たちPwC弁護士法人のメンバーは、法的ストラクチャーの立案から法務DDの実施、買収契約の作成・交渉・クロージング・PMIまで、M&Aの全プロセスを通じて、事案ごとの特性を踏まえた法務リスクの発見および対応策の検討・アドバイスを行っています。また、独占禁止法や外為法などの規制に関する対応を行い、買収実行に向けた適切な法的な手続きの実行、実務的な着地点を踏まえた交渉戦略の立案・実施も支援しています。
赤間:
PwCアドバイザリーがクライアントの中長期戦略に照らしたオリジネーションを行い、方向性を決定し、フェーズが進むと、財務、税務、法務、IT、人事など各領域のプロフェッショナルがチームを組んでDDなどのフェーズへ進みます。案件の規模にもよりますが、各チーム数名程度で構成されるケースもあれば、クロスボーダー案件の場合は、PwCグローバルネットワークの各国チームも加わり、例えば20カ国にまたがる案件なら、延べ100名以上が動くケースもあります。
実際に従事した案件では、買収先が世界各国に支社を展開している企業であり、会社法等の法律が異なる各国ごとに“最適化”されたゴールを目指さねばなりません。M&Aにおけるプレディールからポストディールといった一連のフェーズを通じて、それぞれのフェーズごとに焦点が当たる領域は変わります。税務や法務の課題に焦点が当たることもあれば、財務やビジネスオペレーションに焦点が当たるときもあります。ディールフェーズ全体を通じて関与するフィナンシャルアドバイザーの役割を担うチームとともに、その都度焦点の当たるチームが議論の中心となり、ディールの目的を考えたうえで、総合的にクライアントにとって最もフィージブルな解決策を生み出していきます。
八木:
PwCは世界151カ国に広がるグローバルネットワークを有しているので、特にさまざまなクロスボーダー案件において、ネットワークの連携効果を発揮できていると感じています。日系企業のM&Aやグループ再編では海外子会社が対象となるケースが多く、日本税務だけでなく、各国税務も総合的に勘案のうえアドバイスしています。
また、税務だけでなく、税務と法務を総合的に勘案するケースもあります。例えば、「日本税務上はこの方法がよいと思うが、各国法務上の制約があって難しい」といったケースでは、法人・部門を越えたxLoSのチームメンバー同士でさまざまな論点について事前に多角的に検討し、クライアントに複数の選択肢を提示しています。このように、スピーディにクライアントの課題に対して提案ができることは、x LoS連携の醍醐味と言えるのではないでしょうか。
赤間:
近年は、社会課題や地域情勢なども踏まえ、案件が非常に複雑化しています。クライアントにとっても、M&Aのプロセス全体を通じて、各領域の専門家を配するPwCにお任せいただくことができ、各課題に税務や法務、財務を含む複合的・総合的な観点から対処策の提案を得ることができるのは、1つの魅力となっているのではないでしょうか。
八木:
税務を担当していると、グローバルに事業展開している企業の組織再編などを支援する機会があり、そこから発展して、多数の海外子会社の株式移転をxLoSで支援することがあります。そのようなケースでは、最初は各国における税務の取り扱いを検討するのですが、いざ実行するとなると、各国の法務手続きも踏まえ、計画・実行する必要があります。そこでPwC弁護士法人に相談し、各国の法務の観点から必要な手続きは何か検討してもらい、さらにPwCアドバイザリーのバリュエーションチームには、海外子会社の株式価値の評価を行ってもらうなどして、進捗を丁寧に管理しながらクロージングに至ることとなります。
八木:
大規模な案件ですと、日本・海外含め、延べ100名以上のスタッフがかかわり、PwCグローバルネットワークの“横の連携”の強さを実感しました。もちろんグループ外のファームと組んでプロジェクトを進める機会もたくさんあるのですが、内部で連携すると、より密に情報を共有できるため高いシナジー効果が発揮できます。また、潜在的な問題が検出された場合であっても、事前に調整・解決することも可能です。クロージングまで非常に時間が限られている案件も珍しくないのですが、そういったケースでも無事にクロージングを迎えることができるのは、やはり海外も含めたPwCネットワーク内の連携の力だと思います。
赤間:
PwC Japanグループのメンバー同士なので、例えば「こういうことはできますか」とか、「こんなことは考えられませんか」といったことを、税理士や弁護士といった専門的な知見を持つ方に気軽に相談できることも大きいと感じています。八木さんが「シナジー」と言いましたが、グループ内だからこそ、さまざまなアイデアが出やすいですし、そのアイデアを俎上に載せて、率直にオプションを検討できる。税務面から、あるいは法務面から「クライアントからこうした質問、要望が出るかもしれない」といったことも、事前に意見交換しておくことができます。
八木:
xLoSの案件では、各チームと事前にカジュアルなディスカッションをしたうえで、取引オプションの整理などを行っています。これにより、クリエイティブな議論を通じて一歩踏み込んだアイデアが出せ、結果としてクライアントに付加価値の高いアドバイスが提供できるので、ありがたく感じています。
山田:
以前、ある案件を担当した際、法務と税務において考えられる手段がそれぞれ異なる方向を向いていたことがあります。法務的には、ある手段が望ましい場合であっても、その結果生じる課税関係が必ずしも望ましい結果が見込まれないような場合です。このような場合にも、それぞれが保守的にそれぞれの立場を説明して終わりということでなく、法務と税務の両方の観点から意見を調整し、クライアントにとってベターと思われる方向に進むことができました。
赤間:
クライアントが抱えている課題が複雑化している――という背景があると思います。「課税関係も考慮したうえでの提案か」「この期日までにクロージングするには、法的な手続は間に合うか」といったクライアントからの複雑な要望に対応するためには、多角的なアプローチが必須です。
例えば、海外子会社をひとまとめにして売却したいという案件があるとします。でも、ひとまとめに買ってくれる会社が見つからない。その場合、米国子会社は米国の企業に、シンガポール子会社はシンガポールの企業にと、地域別で売却先を検討する、もしくは特定の事業部門だけを売却するという方法が考えられます。いずれにしても、国によって手続や課税関係は異なってきます。さまざまな選択肢を持ち、なおかつクライアントのニーズにスピーディに対応するにあたり、自然にこのようなxLoSという連携体制となったのではないかと思います。
八木:
企業の事業環境や取引自体が複雑化していることもありますが、M&Aは財務、税務、バリュエーション、法務などが密接に絡むので、元々一体的に動くことが多かったという背景もあるのかもしれませんね。入所した際からそのような環境で業務を行ってきたので、パートナーになってからも過去のプロジェクトの積み重ねにより、グループ内の連携がより強化されているように感じます。
山田:
PwC弁護士法人では、いわゆる“伝統的な法律事務所”と異なり、弁護士が通常対面する法務部以外の方々との仕事も多々あります。おそらく、赤間さんや八木さんも同じだと思いますが、自分自身の有する専門性は当然の前提として磨きつつ、自身の専門分野以外の動向を他法人のメンバーから学ぶことができる。そもそも課題が複雑化しているので、自分の専門分野だけを見ていては仕事になりません。法人や部門の枠を超えてPwC Japanグループのさまざまなサービスラインのメンバーと協働するxLoS連携により、広い視野を持って課題を捉える力が鍛えられます。これは、個々のキャリアにとっても非常に有益な経験だと思っています。
八木:
山田さんと同感です。自分自身の専門性をベースに、他の法人・部門のメンバーと協働し、総合的に課題に対処していくかたちで、本当に幅広い経験を積むことができています。つまり、私の専門領域は税務ですが、他のチームメンバーと一緒にプロジェクトを進めることにより、クライアントに対して総合的なソリューションを提供できる力が蓄えられていると思います。また、業務のみならず研修という形でもxLoSで自分の専門分野以外の動向などを学ぶ機会があります。
赤間:
私たちの仕事はクライアントのビジネスを動かしていくことにありますが、税務や法務の観点が入ることによって、クライアントに提案できることの幅がぐっと広がり、そしてより実行確度の高いプラクティカルな提案になっていると思います。税務や法務、財務など他の分野で十数年専門性を磨いてきたメンバーとコラボレーションすることは、自分1人では成し得ない提案が可能になるということ。xLoSによる協働は、そこがとても面白いと思います。
八木:
一番に思うのは、組織がフラットでオープンであることです。メンバーのバックグラウンドが多様で、働き方もフレキシブルですね。海外との人材交流も盛んで、PwCグローバルネットワークから外国人の受け入れを行ったり、逆に希望に応じて海外法人で一定期間勤務したりすることも可能です。
山田:
八木さんはオランダで3年間勤務されていましたよね。私たちPwC弁護士法人でも、外国法を扱ってきた外国人弁護士(注:外国法共同事業を営むものではなく、日本法弁護士に対するサポートを提供しています)や、日本企業でインハウスローヤーを経験してきた弁護士が所属していて、多様な人材にあふれています。そうしたメンバーがPwCネットワーク内の連携の可能性をさらに広げていると感じています。
赤間:
PwCアドバイザリーには、他社から転籍されてきた方もいますが、そうした方々が驚かれるのが、PwC Japanグループの各法人間の垣根が非常に低いことですね。また、八木さんからもお話しいただいたとおり、パートナーシップの文化が根付いています。その点も、xLoS連携が自然と行えるポイントだと思います。
山田:
専門領域外で尋ねたいことが生じた時には、グループメンバーにチャットで気軽に質問できますしね。
赤間:
クライアントからのあらゆる質問に対して、PwC Japanグループ内ですぐに解決することが可能です。簡単な質問ならば、ちょっとした隙間時間で迅速に対応してくださるので、PwC弁護士法人やPwC税理士法人からの初期的コメントがクライアントにクイックに返せる。その速さが、クライアントからの信頼感につながったりもしています。それは、PwC Japanグループに限らず、PwCグローバルネットワークでも然りです。
八木:
フラットでオープンな組織の一例としては、このような連携は、必ずしもパートナー主導で行うものではない、ということがありますね。
赤間:
職階にかかわらず、若手メンバーも自発的に「こういう案件があり、PwC税理士法人のマネージャーを知っているので、ちょっと聞いてみますね」と、基本的には各自の判断でコミュニケーションをとることができる。このような風土が、PwC Japanグループの機動力を高めているのではないでしょうか。
八木:
もちろん、PwC Japanグループ内の異なるサービスラインのメンバーとxLoSで進めるにあたり、コンタクトすべき人がわからないという場合は、パートナーや同僚がサポートします。非常にサポーティブで、オープンですね。
山田:
このような連携は具体的な業務を進める時だけでなく、研修やプロボノ活動の際にも多々見られますね。「点」だけでなく「面」で、PwC JapanグループのみならずPwCグローバルネットワークの全メンバーがつながっている――そうした魅力を日々感じることができる環境だと思います。
赤間:
PwC Japanグループでは、専門性の追求に加え、さまざまな専門性を持った方々との議論を通じて、多様性を基盤として創出されるシナジーを体感する機会が得られます。クライアントの課題が複雑化するなか、1つの専門性でクライアントに価値を提供することが難しくなっていますから、さまざまな専門家と一緒に最適解を見いだしていくことが必要です。それができるのは、PwCの強みでもあります。自身の専門性と他の専門性を掛け合わせ、クライアントへの価値提供について、柔軟性を持って一緒に試行錯誤していける方と、ぜひ働きたいと思います。
八木:
「税務の専門家+ビジネスパートナー」として、クライアントのニーズに寄り添える方、多様な専門家と連携しながらかたちをつくり上げていくことに楽しみを感じられる方にとっては、最高の職場なのではないでしょうか。PwC Japanグループには、そんな方が力を最大限に発揮できる環境が整っていると思います。
山田:
伝統的な法律事務所の枠組みを超えて新しい分野にチャレンジしたいという弁護士にとっては、さまざまな可能性が広がっていると思います。柔軟な考え方を持ち、多角的な視点からクライアントの課題に対して真摯にアドバイスを提供していきたい――そのような方に、ぜひ参画していただきたいと考えます。