PwCネットワークを活用しグローバルに活躍(PwCドイツ)

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平手 里奈 シニアアソシエイト

2018年10月、PwCコンサルティング合同会社に新卒入社。新卒研修を経てOperations Transformationに配属後、コスト削減、物流会社の戦略策定、製造メーカーのERPシステム導入などの複数のプロジェクトに参画。その他、新卒採用・新卒研修のサポートや、プロボノ活動として日本車いすバスケットボール協会の中長期計画策定にも従事。

2022年11月より、Global Mobility Programを通じてPwCドイツへ出向。

上記以外では、世界中のPwCメンバーファームの若手社員の交流を促進する取り組みIAN(International Associates Network)の運営メンバーとして、イベントの企画等に従事。

PwC Japanグループは、PwCのグローバルネットワークを活用した成長戦略の達成やクライアントの海外展開支援を積極的に推進しています。その一環として、世界各国のPwCオフィスに日本人プロフェッショナルが一定期間赴任するGlobal Mobility Programと呼ばれるプログラムを通じ、グローバル人材の育成・キャリア開発を強化しています。

現在、24カ国・42都市にPwC Japanグループのプロフェッショナルが赴任しているとともに、12カ国・35都市から海外人材を受け入れています*。

*2020年6月時点に在籍している、正職員、有期雇用

ナショナリティ(国籍や文化の違い)への取り組み

――Global Mobility Programに興味を持ったのはいつ頃でしたか。

新卒としてPwCコンサルティングへ入社する前から、日本の企業がグローバルでより活躍できるように支援をするプロジェクトに参画したいと考えていました。また、グローバル案件に携わることで、どんな環境下でも通用する社会人になりたいという思いもありました。

そのため、入社直後の新卒研修にてGlobal Mobility Programのことを知った時から、自分の成長の糧になると確信し、ずっと挑戦してみたいと考えていました。

――海外赴任のチャンスを掴むために、何か取り組んでいたことはありますか。

入社1年目の段階で、この制度に興味があることをコーチに伝えていました。また、グローバル案件の経験がある方が、自身として海外で働く感覚が掴みやすいですし、評価もしてもらいやすいだろうと考え、「グローバル案件があればアサインして欲しい」ということもリクエストしていました。

ただ、すぐに機会が巡ってくるとは限らないので、まずはアサインされている目の前のプロジェクトで成果を出すことに注力していました。そして入社後2年半のタイミングで、PwCインドと共にERPシステム導入のリードを担当するプロジェクトに参画することになりました。同時に、海外赴任の機会があればいつでも手を挙げられるよう、プロジェクト以外にも自分でできる準備を重ねました。

GaRDP(Global acumen Readiness Development Program)と呼ばれる、グローバルアサインに向けた英語でのコミュニケーションスキル向上のための社内研修に半年間参加したほか、世界中のPwCメンバーファームの若手社員の交流を促進する取り組みIAN(International Associates Network)の運営メンバーとしても活動し、グローバルでのコネクション作りにも励みました。

*コーチ:全社員に割り当てられるキャリアに関するアドバイザー

――平手さんがPwCドイツへ出向することになった背景を教えてください。

2022年5月頃、PwCドイツのメンバー3名がワークショップのために日本出張に来ていました。その際に、コーチからドイツメンバーのアテンドを依頼されたのです。その流れでランチやディナーにもお誘いいただき、7時間ほど色々なことを話し込んだのですが、そこで私がGlobal Mobility Programに興味があることや、世界中のPwCメンバーとコラボレーションしながら海外で仕事がしたいという気持ちが伝わったようです。

その場で「ドイツのチームで良ければ是非来てほしい」というお言葉をいただき、数日のうちにコーチなど上長の元にもドイツメンバーから連絡が入ったそうです。

――出向の話が出てから実現に至るまでの流れを教えてください。また、ご自身のどのような点が評価されたと思いますか。

ドイツメンバーの帰国後、所属部署であるOperations Transformation(以下、OT)のリードパートナーやコーチにサポートしてもらいながら、ドイツの関係部署や人事とコミュニケーションを進めました。流れとしては、志望動機やビジネスケース(今までのプロジェクト経験や、Global Mobility Programにて達成したいこと等)の提出と、出向先であるPwCドイツのパートナーやディレクターとのカジュアル面談を経て、最終的に許可を得ることができました。

関係者の強い協力があり、出向の話が出てからわずか半年程度で実現に至りました。

Global Mobility Programでやりたいことが明確になっていたという点や、多様な環境や人に対応できる柔軟性が評価されたのだと思っています。また当時の語学力は、英語で問題なくプロジェクトを推進できるレベルでした。

Global Mobility Programの枠は常に一定数設けられているものではありませんが、だからといって機会が限られている訳でもありません。各組織で海外赴任の実績をKPIとして掲げるなど、日頃から各国のオフィス同士で積極的に検討がなされています。

――現在PwCドイツで所属している組織や、これまで参画したプロジェクトについて教えてください。

2022年11月の赴任当初から現在に至るまで、MC Operationsという部署に所属しています。部署の中でもさらにSmart Manufacturing Team、Data & Analytics Team、Supply Chain Team、Procurement Team、R&D Teamと大きく5つのチームに分かれており、私はSupply Chain Teamに所属しています。メンバー数は日本のOTの2倍以上と、大規模な組織です。

ドイツに来てから、4つのプロジェクトに参画しました。1つ目は日系の製造業メーカーのBPR*案件。チームメンバーとして業務変革のロードマップ作成に携わりました。その後、電力メーカーのD&A(データアナリティクス)や、製造メーカーの製造プロセス全体におけるターゲットオペレーティングモデル(TOM)の策定を支援しました。そして現在は、バイオ系メーカーのシステム導入におけるプロジェクトマネジメント・チェンジマネジメントを担当しています。

*BPR:“Business Process Reengineering”の略。プロセスの観点から業務フローや組織構造、情報システムなどを再構築し、業務改革すること。

――海外ならではの驚きや苦労はありますか。

あるプロジェクトで、米国チームと欧州チームから成るクライアントと一緒に検討を進めていました。両国側の求めるゴールの詳細度が異なったため、それぞれ納得いただける落としどころを見つけ、合意に至るまでに想定よりも時間を要したことがあります。

このことを同僚に話したところ、「ビジネス文化の違いだ」と指摘されました。この時初めて、グローバル案件に参画していることを実感し、相手の国の文化や国民性を尊重し、寄り添いながらプロジェクトを遂行することをより意識するようになりました。

ーー仕事に関する悩みやキャリアのことを相談できる人はいるのでしょうか。

日本オフィスにおけるコーチと同様、全社員に対し”People Manager”と呼ばれるキャリアに関するアドバイザーが1名割り当てられ、月1回程度の頻度で面談をしています。最近のプロジェクトで悩んでいることはないか、自身の目標について何かサポートが必要かなど、幅広くいつでも耳を傾けてくれる心強い存在です。

Global Mobility Programの出向者として、特別な目標やロールが課されることはありません。ただ、せっかくの機会ですから、ドイツと日本のコラボレーションを活性化させる取り組みを何かできたらと思っています。「日本とこんなことをしたいと思っているんだけど、どうしたら良いか?」と、日頃からフランクに相談をさせてもらっています。

ーーコンサルタントとして海外で働くには、どのような人が適していると思いますか。

海外に限りませんが、チームにどれだけ早く馴染むことができるかが、コンサルタントとして価値を生む鍵になると思います。ドイツに来てから1、2カ月は、特に用事はなくとも毎日オフィスへ出社して、さまざまなチームメンバーとキャッチアップすることを意識していました。

早くに部署やチームに溶け込めたことで、例えば、必要なナレッジを即座に周囲のメンバーに依頼することができ、効率的に仕事を進めることができました。また、そのお陰で個人としてもより充実した学びを得られていると感じます。

――ドイツに来て、働き方や文化が日本と異なると感じたことはありますか。

ドイツに来て1年と数カ月ほどですが、「とにかく仕事のオンオフがはっきりしている」という印象です。

休むときは2・3週間ほど休暇を取得してリフレッシュに専念します。働くときは徹底的に効率重視。動き出す前に、まず参考にできるナレッジがチームに存在していないか確認し、ない場合はいかに効率よく資料作成やタスクを進められるかを考える文化が根付いており、そんなメンバーたちを身近で見ながら毎回勉強になっています。

――Global Mobility Programの任期が終わった後はどのようなキャリアを想定していますか。

契約期間を1年延長し、約3年間の任期を終えた後に日本オフィスに戻る予定です。日本では、ドイツで構築したコネクションを継続させながら、プロジェクトを通じて学んだナレッジをさまざまなクライアントに還元したいです。

また、外から日本オフィスのOTチームを眺めてみて、「もっとここを良くしたい」と思った所もいくつかあるので、他のメンバーを巻き込みながら、社内の組織のことについても積極的に取り組んでいきたいと思っています。

――ドイツでのプライベートはどのように過ごしていますか。

終業後はジムに行ったり、ドイツでできた友人などとご飯に行ったりして過ごしています。週に1回はPwCドイツが提供しているオンラインのドイツ語講座も受講しています。

特に、夏のドイツは22時頃まで明るいので、ライン川沿いでワイン片手に友人とサンドイッチでも食べながら川の流れを見て話し込むなど、充実しています。

休日はドイツ国内や周辺国へ観光に行ったり、夏は川沿いでBBQしたり。しっかり気分転換をして次の週に備えるようにしています。