多様なSXのプロフェッショナルのケイパビリティを掛け合わせて確かな成果を目指す

  • 2023-10-18

※本稿は、Forbes JAPANのウェブサイトに掲載されたコンテンツを媒体社の許可を得て転載したものです。無断複製・転載はお控えください。

※法人名・役職などは掲載当時のものです。

サステナビリティ課題の本質を考え抜き、企業経営者の意識の変革から伴走し、将来の価値につなげていく──。PwC Japanグループの「サステナビリティ・センター・オブ・エクセレンス」のサステナビリティ・ストラテジストは、日々変化する世界のなかで、仲間と共に持続可能な経済社会の実現に挑戦し、新しい時代を生み出そうとしている。

PwC Japanグループによって、企業のサステナビリティ経営を総合的に支援する専門チーム「サステナビリティ・センター・オブ・エクセレンス(サステナビリティ CoE)」が立ち上げられ、活動を開始したのは2020年のことだ。設立時のメンバーは、25人。それが23年5月1日現在では77人にまで増え、PwC Japanグループにおけるサステナビリティ関連案件数も飛躍的に増加している。

この驚くべき成長の本質的な理由として挙げられるのは、ふたつ。「時代の要請」であり、「PwCの意志」である。時代が求めているものと変化を起こすという想いが強く噛み合ったとき、トランスフォーメーションの歯車は大きく回り出す。

(※そもそもPwC Japanグループが長期的視点の重要性からサステナビリティ経営の支援に立ち上がったのは、サステナビリティ CoEが活動を開始した2020年よりも前の話である。その先見と挑戦、文化醸成のストーリーについては、本連載の第1回記事に記している)

多様なメンバーがサステナビリティ CoEに集まった経緯

PwCは「To build trust in society and solve important problems(社会における信頼を構築し、重要な課題を解決する)」というパーパスを掲げ、世界152カ国にグローバルネットワークを拡げている。約32,8000人の多様な分野のプロフェッショナルが働き、監査およびアシュアランス、コンサルティング、ディールアドバイザリー、税務、法務における専門性を生かすと発揮すると同時に、あらゆるケイパビリティを有機的に協働させる体制を構築しているのだ。

そのなかで、PwC Japanグループに属する各法人で働くメンバーは総勢約10,200人。グループとしての総合力を発揮すべく、サステナビリティ CoEは、サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)推進の専門家集団であるPwCサステナビリティ合同会社のコンサルタントを中心に、各法人を横断してサステナビリティ経営の支援に尽力している。

サステナビリティ CoEのメンバーは、「サステナビリティ・ストラテジスト」と総称される。サステナビリティという新しい「時代の要請」に応えられる、実に多様な経歴と、何よりも持続可能な社会を実現したいという情熱のもち主が結集していることがチームの強みと言えるだろう。

本多 昇 PwCサステナビリティ合同会社/PwC Japanグループ サステナビリティ・センター・オブ・エクセレンス ディレクター

本多 昇 PwCサステナビリティ合同会社/PwC Japanグループ サステナビリティ・センター・オブ・エクセレンス ディレクター

本多 昇(以下、本多):私は食品メーカーからキャリアをスタートしています。大学で機械工学を学んでいたので、専門性を生かして工場の設備技術管理を担当していました。その当時にエネルギー設備や排水などの環境保全設備を担当したことが、現在の仕事の原点になっています。

食品メーカーで働いていたとき、社外のコンサルティング会社から「途上国の食品工場における温室効果ガス削減のフィージビリティスタディの専門家として調査に参加してほしい」という依頼を受けて、協業する機会がありました。そこで「環境をテーマにしたコンサルティングという仕事があるんだ」と知り、転職を決意し、02年に当時のPwCのメンバーファームである中央青山監査法人のサステナビリティ部門に参画したのです。実は若い頃に、人類の活動に伴う温室効果ガスで地球の気温が上昇することを知ってショックを受け、気候変動問題に大きな危機感を持ち、その解決に自分も何か関わり貢献したいと思い続けていました。

本多は、その後、18年からPwCとは別のファームに移り、そこでは主に温室効果ガスの排出量をはじめとした非財務情報の開示に関連する業務を3年半にわたって行ってきたという。

その間にPwC Japanグループにサステナビリティ CoEというチームが設立され、複雑に絡み合う気候変動に関わる企業の課題について、多様なプロフェッショナルと協力しながらクライアントを支援するというコンセプトに共感し、ここでなら自分のやりたいことをやれるという想いが湧いてきて、再びPwCの一員となることを決めました。

甲賀大吾 PwCサステナビリティ合同会社/PwC Japanグループ サステナビリティ・センター・オブ・エクセレンス ディレクター

甲賀大吾 PwCサステナビリティ合同会社/PwC Japanグループ サステナビリティ・センター・オブ・エクセレンス ディレクター

甲賀大吾(以下、甲賀):私は、大学卒業後の1999年に国際協力機構(JICA)に入りました。およそ10年間、主に途上国への生物多様性保全、森林保全の技術協力プロジェクトに従事しています。その最後の3年間をタンザニアで過ごした後、世界銀行に移ってワシントンD.C.の本部で環境の専門官として3年半ほど働きました。その間、カーボンファイナンスのプロジェクトなどを手がけています。

世界銀行を辞してからは、留学を経て2014年に帰国しました。外資系のコンサルティングファームに8年ほど勤めた後、23年1月からPwCサステナビリティ合同会社に入社しました。

甲賀は、前職のコンサルティングファームで製造業やヘルスケア企業、パブリックセクターのクライアントに対し、中長期経営戦略や事業戦略の策定、オペレーション改善といった領域でコンサルティングを行う戦略コンサルタントとして働いてきた。

前職で戦略コンサルタントという仕事のやりがいに触れてきました。その前の13年間は、「持続可能な開発」というコンセプトに共感してJICAや世界銀行で働いています。残りの人生について考えたとき、自分のもともとの志であるところの「サステナビリティ」というアジェンダに立ち帰り、この分野でコンサルティングの仕事をしていきたいと考えたのです。

これから先は「サステナビリティ」というアジェンダでコンサルティングをしていきたいと決意した際、どうしてPwCを選んだのだろうか。

もともと業界において常に先進的に取り組みをしていることで知名度があったのはもちろんですが、実際には採用に至るまでの面談でカルチャーに共感できたことが大きいと思っています。例えば、コンペティティブ(競争が激しい)ではなくコレクティブ(協調的/協業的)なのが、サステナビリティ CoEというチームの特長のひとつです。

23年1月、サステナビリティ CoEはチームが掲げるミッションを改定している。それが「SXを通じて、新しい価値をスケールをもって生み出し、ビジネスや社会のChange Makerになる」というものだ。さらには、ミッションに紐付く行動規範として5つの「Be」も掲げた。そのうちのひとつである「Be collective(多様な才能と連帯し、1人ではできない変化を起こそう)」は、面談時から今日に至るまでチームのカルチャーとして甲賀が特に強く実感しているところだという。

小峯慎司 PwCサステナビリティ合同会社/PwC Japanグループ サステナビリティ・センター・オブ・エクセレンス マネージャー

小峯慎司 PwCサステナビリティ合同会社/PwC Japanグループ サステナビリティ・センター・オブ・エクセレンス マネージャー

小峯慎司(以下、小峯):私は幼少の頃から恐竜が好きで、化石を掘りに行ったりしていました。大学では理学部で地質学を専攻し、山に入り、川を下り、地層を探して地質構造を探るということをしていました。もちろん、地質学だけではなくて地球環境そのものも網羅的に学んできました。そして、地球環境の危機的状態を知るにつけ、「このままでは恐竜のように人類も絶滅する可能性があるのでは」と思い、就職活動では「環境ビジネス」をテーマに据えたのです。

その頃の環境ビジネスは、「リサイクル」や「風力発電」など個別のテーマと向き合っている会社が多かったという。

08年に、環境コンサルティング会社に就職しました。そこは当時から環境を総合的にとらえ、それぞれのテーマのつながりを考えてコンサルティングなどのサービスを提供していました。その会社で資源リサイクルや気候変動対応などに携わってきたのですが、15年のSDGsやパリ協定の採択を契機に潮目が変わって以降は、特に「経営そのものをサステナブルなものに変えていく」というフェーズにまで自分の仕事が至らずにいることを課題だと感じてきました。それには、当時の「クライアントの意識」と「自社のケイパビリティ」の両方が関係していたのです。もちろん、自分自身のケイパビリティの不足を感じていました。

小峯は、19年に会社を辞め、フランスのビジネススクールに留学した。

2年間、ビジネスとサステナビリティのつながりについて学びました。21年に帰国し、「サステナビリティと経営の統合をしっかりと考えて、先進的な取り組みをしている組織」で働くことを望みました。日本において、その望みを叶えてくれるのがPwCサステナビリティ合同会社だったのです。採用面談時、サステナビリティ CoEのサステナビリティ・ストラテジストの皆さんからは「目の前にいる人間に対する共感力が非常に高い」という印象を受けました。そうしたチームカルチャーが私の信条と一致したことも入社を決めた大きな理由のひとつです。

サステナビリティ・ストラテジストの課題感とやりがいについて

いま、SUS CoEのサステナビリティ・ストラテジストは、どのような課題感や使命感、あるいはやりがいと向き合いながら仕事をしているのだろうか。

本多:私のなかでの課題感は一貫しています。それは、「サステナビリティ課題に対し、企業の経営層がどれだけ真剣に関心をもち、自社のビジネスと結びつけながら解決に貢献していくというマインドにシフトしていただけるか」です。クライアントの企業とさまざまなコミュニケーションをしていくなかで、サステナビリティの取り組みを「義務感」や「やらざるを得ない」など、ネガティブなマインドで始めたクライアントが、徐々に「問題の本質が何であるか」について深く関心を示すようになり、さらに、その業界におけるサステナビリティ経営のリーダーとして積極的な取り組みを展開していく。そうした認知・行動の変容あるいは成功過程に伴走することに働く意義を感じています。

また、PwC Japanグループは、監査およびアシュアランス、コンサルティング、ディールアドバイザリー、税務、法務といったそれぞれの専門分野から、特定の課題について知見・情報を共有していく座組みが多数あります。その一例として、気候変動対策に向けた企業の取り組みを支援するためのグループ横断での連携体制を設計し、立ち上げ、運用してきました。グループ内の緊密な連携に寄与できていることも私の仕事のやりがいのひとつです。

甲賀:日本の企業のトップマネジメントの問題意識を、企業のビジョンや事業戦略に意義ある形で結びつけていかなければなりません。サステナビリティ CoEは、そうした活動において日本をリードしているという自負があります。しかしながら、まだまだやらなければいけないことが山ほどあります。

PwC Japanグループは、日本を代表するような企業の経営者にお集まりいただき、サステナビリティという大きなアジェンダについて議論する「エグゼクティブ・サステナビリティ・フォーラム」の発起人になっています。複数の企業が立場を超えて、サステナブルな未来のために集まる。いま、そのオーケストレーションに参加できていることは、サステナビリティ CoEのサステナビリティ・ストラテジストとして大変やりがいを感じています。

小峯:私は、特に「生物多様性」や「ネイチャーポジティブ」という環境課題と向き合う仕事に取り組んでいます。地球の歴史上、現在は「第6回目の大量絶滅期」と呼ばれる時期を迎えています。さまざまな生物種が絶滅の危機に瀕しているのです。それはすなわち、企業の「経済活動」の基盤である「環境価値」が毀損されているということになります。

いま、サステナビリティに関する課題のなかでも「気候変動」に対する企業の関心と行動の度合いは急速に高まってきています。

しかし、「生物多様性」や「ネイチャーポジティブ」に関しては、まだまだという印象です。2022年の国連生物多様性条約第15回締約国会議(CBD COP15)では、「2030年までに生物多様性を回復の軌道に乗せるべく、緊急な行動を社会全体で起こす」というミッションが掲げられました。採択された「2030年ターゲット」には、企業活動に関連する項目が数多くあります。生物多様性を回復の軌道に乗せつつ、企業の経済活動が持続的につながっていくようにする。サステナビリティ CoEは、そうした変革の支援ができるチームです。そこに大きなやりがいを感じています。

「生物多様性」や「ネイチャーポジティブ」と向き合う小峯には、より具体的な取り組みの内容についても聞いてみた。

小峯:グローバルで展開している日本企業を対象に、バリューチェーンにおける生物多様性への影響と依存について評価し、どのように資源や素材の調達のあり方を変えていけるかを検討しています。サステナビリティ CoEは、世界に拡がるバリューチェーンを調査し、地球上のどこでどのような影響と依存があるのかという評価を行っているのです。そうすることで、「特定の国・地域で採取しているこの原料が生物多様性に及ぼす影響が実は大きい」といったことがわかってきます。その原料を使っている商品をそれほど多く販売していなくとも、数量に対してインパクトが大きいという場合もあります。

次に、実際にインパクトが大きいのであれば、どのように減らしていくかを検討します。調達先を変えるのか、それとも調達先に働きかけて一緒にインパクトを減らしていくのか。調達先への働きかけができれば、バリューチェーンにおけるエンゲージメント、すなわち絆が深まることにもつながります。そうした関係性の強化が、今後のビジネスにおける競争力の強化、企業価値の向上にもつながるのです。調達先を変えるといっても、実際にサステナブルな調達先というのは限られていて、既に先進的なメーカーに提供していることが多いため、長期的に考えると、今の調達先のインパクトを一緒に減らしていく取り組みを進めていくことが現実的で、最も重要です。

甲賀:生物多様性への取り組みを単にコストととらえ、トレードオフの感覚で外発的に行うのではなく、その取り組み自体を価値に転換していくトレードオンの考え方で内発的に行っていく。サステナビリティ CoEでは、そうした意識の変革から伴走し、多様性にあふれたメンバーのケイパビリティを柔軟に掛け合わせることで、確かな成果を目指しています。

気概をもった仲間と共にコンフォートゾーンから飛び出していく

このようなサステナビリティCoEが目指す持続可能な経済社会の要請に応えられる資質とは、どのようなものであるとサステナビリティ・ストラテジストは考えているのだろうか。

甲賀:私は、自分のコンフォートゾーンから飛び出していく勇気がすごく大事だと思っています。「サステナビリティ経営を支援する」という仕事そのものがまだまだ新しく、さまざまな制度や仕組み、技術も日々進化・変化しています。そうしたなかで、キャッチアップに後れをとり、新しい取り組みができないようなら、私たちの存在意義は失われてしまいます。

いままでに自分が知らなかった、自分の得意分野ではなかったところにまで飛び込み、必要に応じて当該分野のプロフェッショナルとも協業しながら、そこで学び、価値を提供できるという人間的資質が求められているのではないでしょうか。

私たちが取り組んでいるSXとは、「サステナビリティ・トランスフォーメーション」であり、「ソサエティ・トランスフォーメーション」であると考えています。ひとつひとつの企業を通じて、社会が変革へと向かうモメンタム(勢い)を生み出せるような存在になっていかなければなりません。PwCは「To build trust in society and solve important problems(社会における信頼を構築し、重要な課題を解決する)」というパーパスを掲げています。

その「重要な課題」のなかでもコアな場所に位置しているのが、「サステナビリティ」と言えるでしょう。私たちは、いまの地球が抱えている課題の本丸と向き合っています。青臭く聞こえるかもしれませんが、企業の持続可能な経済活動を通じて環境を変え、社会を変えることを本気で目指しているのが、サステナビリティ CoEのサステナビリティ・ストラテジストなのです。そうした気概をもった仲間と共に、コンフォートゾーンから飛び出していくことが私たちに求められているのです。

主要メンバー

本多 昇

ディレクター, PwCサステナビリティ合同会社

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甲賀 大吾

ディレクター, PwCサステナビリティ合同会社

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小峯 慎司

マネージャー, PwCサステナビリティ合同会社

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