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保険会社を取り巻く環境は日々変化し、特に「人口動態の変化」「リスクの変化・新たなリスクの発現」「商品のコモディティ化・低価格化」「テクノロジーの進展」の4つは保険ビジネスに大きな影響を及ぼすことが予想されます。
人口動態の変化により将来的な国内市場縮小が見込まれる中、商品のコモディティ化により価格・代理店手数料競争は熾烈を極めており、従来の営業モデルのままではトップラインの継続的な成長は困難でしょう。加えて、リスクの変化による不測の損失(予期せぬ支払保険金)も増加し、安定的な収益確保が課題となっています。一方、テクノロジーの進展は、保険ビジネスの新たな価値創造の源泉として期待されています。
図表1:保有契約高(個人生保)の推移※1
個人生保の保有契約高は1996年をピークに、減少の一途をたどっている。(1,495兆円から815兆円に減少)
図表2:平均寿命と死亡率(金額ベース)の推移※2
長寿化に伴い、死亡率(金額ベース)は低下するはずだが、死亡率(金額ベース)は上昇しており、保有契約の平均年齢が高齢化していると思われる。
保険会社が環境変化に対応しながら、激化する競争を勝ち抜くためには、営業領域の変革(新サービス開発やエコシステム構築など)のみならず、オペレーションの変革にも目を向ける必要があります。
オペレーションの変革は、従来の生産性向上(BPR)、業務品質向上(ガバナンス・リスク・コンプライアンス)に加え、「優れた顧客体験の提供」や「査定データ/顧客履歴データの商品開発領域および営業領域への機動的な連携」など、トップライン向上や離反防止に資するプロフィットセンターとしての機能の獲得も目指すものです。
PwCコンサルティングでは、保険オペレーションの中でも顧客体験の肝となる保険金支払サービスの変革に焦点を当て、DX時代を勝ち抜くためのオペレーション(コストセンターからの脱却)のあるべき姿のデザインと、その実現に向けたファーストアクション(変革に向けた論点整理)を提案します。
保険金支払サービスは、2000年代に発覚した保険金不払問題を契機に、業務品質を担保すべく、請求勧奨や正確な支払(支払漏れ・不払・過払の防止)のために2次・3次検証といった重層的な対応が求められていたこともあり、コストセンターとしての位置づけが色濃くなっていました。
近年では、商品性や価格での差別化が困難な状況にあるため、「優れた顧客体験の提供」を通じて差別化を図るべく、支払査定部門の位置づけが変化してきています。
PwCが2021年に実施した「生命保険に関する消費者意識調査2021」※3(以下、消費者調査)でも、保険の請求経験がある消費者は、請求経験のない消費者に比べ、「自発的な加入意思が高い」「保険金額が高い消費を志向する」「保険会社とのコンタクトを求める」ことが確認されました。
図表3:自発的に保険加入を検討した人の割合
生前給付型の保険金請求経験がある消費者は、自発的に生命保険加入を検討する傾向がある
図表4:保険金額が高い商品を志向する人の割合
生前給付型の保険金請求経験がある消費者は、保険金額が高い商品を購入したほうが良いと考える
図表5:保険会社からコンタクトを求める人の割合
請求経験がある消費者は、保険会社からのコンタクトニーズが高い
消費者調査結果からも、保険金・給付金請求を通じたポジティブな顧客体験がもたらす営業への波及効果(クロスセルなどの保険加入、アップセルなどの保障見直し、提案機会の創出など)が確認できます。
従来、支払査定領域は、前述のとおり業務品質担保を最重要視していたため、改革の余地が多分にあり、顧客ロイヤリティ向上によるトップラインへの貢献、業務効率化による収益性向上などの大きな効果創出が期待されます。
保険金支払サービスの変革(支払査定領域のオペレーショントランスフォーメーション)を通じたコストセンターからの脱却は、保険会社が競争を勝ち抜くための成功要因の1つとなるでしょう。
※3 生命保険に対する顧客意識の変化―消費者意識調査https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/thoughtleadership/life-insurance-consumer-survey.html
保険金支払サービスがプロフィットセンターとしての役割も果たしていくには、消費者行動の変容を捉えたサービス設計が重要です。
PwCコンサルティングは「保険引受・支払査定業務のオペレーティングモデル構築支援」※4の中で、2030年のシナリオプランニングにもとづき、将来的に顧客提供サービスが、より「パーソナライズ化」「自動化」されたものになると推察しています。
保険金支払サービスにおいては、顧客応対は「さらなるパーソナライズ化」、査定処理業務は「自動化による効率化と高度化」が図られると考察します。
2030年の消費者生活のイメージ(保険引受・支払査定業務のオペレーティングモデル構築支援※4)
※4 保険引受・支払査定業務のオペレーティングモデル構築支援
https://www.pwc.com/jp/ja/industries/insurance/consulting/future-of-underwriting2021.html
コストセンターからの脱却に向けた支払査定オペレーションの構築では、「カスタマー」「プロセス」「テクノロジー」「ポリシー」「組織」「スキル」の6要素*5を押さえたモデル設計が重要と考えます。
保険金・給付金請求を通じて提供する顧客体験
保険金・給付金請求の処理プロセス
請求プロセスにおけるテクノロジーの活用
効率と品質を両立した査定基準とガバナンス
支払査定部門の組織体制・キャリアパス
支払査定部門に所属する社員のスキルセット
保険金支払サービスの変革により、組織および社員に求められるケイパビリティも変化するため、サービス(プロセス)の変化に伴い、最適化する必要があります。
AIをはじめとするデジタル技術の活用により、簡易事案の査定や事務作業は自動化(機械に代替)され、社員は高付加価値業務に集中することが求められます。
支払査定オペレーションの変革には、「部内CoE機能」「高度な査定実務機能」「デジタル運用機能」「CX推進機能」の4つの機能・役割が必要であり、イニシアチブを組成する際には、部門内や全社で必要なケイパビリティが揃っていること、役割分担が明確化されていることを確認することが肝要です。
組織機能の変化により、社員に求められるスキルセットも変化・高度化します。
保険金支払サービスに限らず、保険会社の業務部門がコストセンターからの脱却(プロフィットセンター機能の獲得)を図るには、「より高度な業務専門性」「デジタルリテラシー」「データ分析スキル」「顧客応対スキル」は欠かせません。
保険会社が、保険金支払サービスの変革によりコストセンターからの脱却を遂げ、競争力の獲得を目指すにあたり、まずは自社の立ち位置(業界における支払査定業務の成熟度、強み、課題)を把握することが重要です。
しかしながら、財務指標や営業指標とは異なり、オペレーション指標は各保険会社が独自に内部で管理している指標のため、開示は限定的であり、標準的に(横並びに)評価することは容易ではありません。そのため、保険会社個社での調査・評価が難しく、自社の立ち位置を把握することは困難です。
PPwCコンサルティングは、生命保険・損害保険各社に対し、幅広い業界・領域のプロフェッショナルが協働することで、従来の保険の枠組みを超えたさまざまなサービス・ソリューションを提供しています。
事業戦略/新規ビジネス構想の策定、オペレーティングモデル改革、営業/チャネルの高度化、業務効率化、デジタル戦略策定、ITのモダナイゼーション、変革を支える組織人事など、保険会社が直面している複雑な経営課題の解決を、あらゆる側面から支援します。
PwCコンサルティングは保険金支払サービスに関する豊富な支援実績と深い専門知見を有しています。
生命保険・損害保険各社の業務成熟度や、直面している課題に応じて、保険金支払サービスの変革・高度化の実現に向け、各種サービスを提供しています。