ブラックボックス化のジレンマを克服するデジタル「シェア」カルチャーの醸成

2020-10-28

PwCあらた有限責任監査法人(以下、PwCあらた)は、「デジタル社会に信頼を築くリーディングファーム」となることをビジョンとして掲げ、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進と個々のデジタルスキル向上に取り組んでいます。

ここでは私たちの監査業務変革の取り組みや、デジタル化の成功事例や失敗を通じて得た知見を紹介します。これからデジタル化に取り組まれる企業やDX推進に行き詰まっている企業の課題解決にお役立ていただければ幸いです。

※法人名、部門名、役職、コラムの内容などは掲載当時のものです。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を受けてリモートワークの導入が進むなど、働き方を見つめ直す機会が増えているのではないでしょうか。業務のデジタル化が喫緊の課題となりデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みが加速する中、デジタルツールを活用して効率化を実現したケースも出てきています。PwCあらたでもデジタルツールを積極的に導入していますが、導入時には見えなかった新たな発見がいくつもありました。

PwCあらたのDXの取り組みと現状

PwCあらたでは、全てのパートナーおよび職員に対してデジタル研修を実施し、監査業務におけるデジタルツールの活用を促進しています。デジタル研修では、表計算ソフトで処理しきれないほどの大量のデータも迅速に処理できるデータ分析ツールや、膨大なデータをビジュアル化するデータ可視化ツールなどの操作方法を学びます。また、業務の標準化やロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)を使った自動化の進め方も取り上げ、デジタル時代における現場の意識改革を促しています。

ある監査チームでは、デジタル研修で学んだことを生かし、デジタルツールを活用した業務の効率化を進めています。例えば、RPAを使い、基幹系情報システム(ERPシステム)から監査で必要なデータを出力する作業を自動化しました。データ抽出をRPAで行うことによる効果は、データ抽出にかかる時間を削減することができるだけではありません。一定の形式でデータを抽出できるようになるため、データ分析のための前処理にかかる時間を大幅に削減し、結果的に監査人は、被監査会社とのコミュニケーションや高度な判断を伴う業務に集中することができるようになりつつあります。

このようなデジタル化の取り組みが、PwCあらた内におけるデジタルスキルを高め、監査品質をさらに向上させています。

DX推進の要は知見を共有するカルチャー

PwCあらたの次なるステップは、デジタル活用が当たり前のことであるとのカルチャーを法人全体に醸成することです。そのために、広く現場にデジタルツールを導入し、仕組みの保守・運用に努めることが重要になります。この段階で、現場でDXを推進するリーダーに求められる資質がはっきりと見えてきました。それは、業務を標準化し、デジタルツールと親和性の高い業務を見出し、従来の手動でのやり方からデジタルツールを活用した方法へ効果的に置き換えていくスキルです。さらにデジタル化された仕組みの保守・運用のために、デジタル化で得た知見や気付きを他の人に共有できるコミュニケーション能力やオープンなマインドも必要となってきます。

チーム内でデジタル化に関与した特定の個人にのみ経験が蓄積されてしまうと、デジタル化や標準化によって誰もが使える仕組みができたのにも関わらず、仕組みそのものがブラックボックス化してしまうというジレンマに陥ってしまい、ツールの保守・運用が他の人間ではできなくなってしまうという問題が起きやすくなります。

デジタル化で得た経験や知識を共有できる能力を持つ人財を増やしていくことで、仕組みを円滑に運用するためのナレッジが組織全体に広がっていくことになります。そのためにPwCあらたでは、デジタルスキルを共有する勉強会や、制作されたツールを発表するイベントなど、知見を共有するためのさまざまな取り組みを行っています。こうした能力・意識を組織の各メンバーが持ち、積極的に共有の場を持つことで、誰もがデジタルツールを使え、さらに知見を共有できる組織へとトランスフォーメーションすることができると考えています。

知見を共有するカルチャーはオンラインでも醸成できる

知見を共有するカルチャーを醸成することは、現場同士の有意義なコミュニケーションにもつながっていきます。COVID-19の感染拡大状況を踏まえ、PwCあらたはリモートワークを継続しています。会社という場所で仕事をすることはコミュニケーションの手法の一つとも言えました。対面でのコミュニケーションが難しい今の状況では、ナレッジを共有するのにも、コミュニケーション方法や頻度を工夫する必要があります。PwCあらたではそのために、定期的なオンライン会議やグループチャット、さらには社内SNSを用いたコミュニケーションを通じて、継続的に情報の共有に努めています。直接顔を合わせずとも、オンラインツールを活用する新たなコミュニケーション手法により、デジタル「シェア」カルチャーは確実に根付いていっていると感じます。

ある現場で上手くいったことを、他の現場そして法人全体に共有することで、小さな気付きが、大きな効果につながるかもしれません。まずは、ささいなことでも共有できる仕組みをつくることが重要です。デジタルは私たちの働き方のみならず、コミュニケーションの在り方も大きく変えようとしています。デジタルスキルの習熟と知見を共有するカルチャーの醸成が、新しいコミュニケーションの形を生み出すことにつながり、デジタル社会において大きな強みを持つ組織へと進化するきっかけになるのかもしれません。

執筆者

小野寺 亮二

マネージャー, PwC Japan有限責任監査法人

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中川 脩平

シニアアソシエイト, PwC Japan有限責任監査法人

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Tomorrow's audit, today――次世代監査への取り組み

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