CISO Priority Agenda トップ企業のセキュリティ&プライバシー対応の優先事項(セブン&アイ/MUFG/ANA)

  • 2024-06-21

デジタル化が進む現代のビジネスにおいて、サイバーセキュリティとデータプライバシー対策は最重要事項の1つです。サイバー攻撃やシステム障害などが発生した際には、業務の継続・復旧、そして被害状況の把握を第一に考え、迅速に対応しなければなりません。その対応策の核となるのが、ビジネスとセキュリティ・プライバシーの連携強化です。本セッションではトップ企業のセキュリティ・プライバシー責任者の方々をお招きし、セキュリティやプライバシー対応、さらにこれらを的確に実行するガバナンスの在り方について、お話を伺いました。(本文敬称略)

登壇者

株式会社セブン&アイ・ホールディングス
グループセキュリティ統括室長
廣畑 順也氏

株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ
株式会社三菱UFJ銀行
CISO サイバーセキュリティ推進部長
峰 匡親氏

ANAホールディングス株式会社
取締役常務執行役員
梶田 恵美子氏

経済産業省
サイバーセキュリティ・情報化審議官
上村 昌博氏

PwC Japanグループ
サイバーセキュリティ&プライバシー リーダー
PwCコンサルティング合同会社
上席執行役員 パートナー
林 和洋

PwC Japanグループ
サイバーセキュリティ&プライバシー リーダー
PwC Japan有限責任監査法人
上席執行役員 パートナー
綾部 泰二

左から綾部 泰二、林 和洋

左から綾部 泰二、林 和洋

左から林 和洋、梶田 恵美子氏

先進企業の取り組み3
ANAホールディングス
― マーケティングとプライバシーガバナンスのタッグでビジネスを加速 ―

グローバルにビジネスを展開している企業にとって、海外事業の経営課題として近年最も多く挙げられるのが、デジタル分野の法令やガイドラインへの対応です。特に、データプライバシーのガバナンス構築は喫緊の課題となっています。

ANAホールディングスで取締役常務執行役員を務める梶田恵美子氏は、「プライバシーガバナンスを強化するには、経営トップ自らがガバナンスの重要性を社内全体に向けて継続的に発信することです。仕組み作りへの人的資源の配分や、リーダーシップを発揮して投資を決断するなど、目に見える形でコミットメントを示すことが重要です」と力説します。

顧客との関係性を発展させるには、顧客データを多角的に分析し、そのニーズをきめ細かく捉えることが求められます。当然、顧客データの利活用は、法令遵守だけでなくプライバシーに配慮しなければなりません。「お客様に安心してサービスをご利用いただくには、お客様に寄り添い、価値を提供し続けること大切であり、それが私たちの責務です。マーケティングとプライバシーガバナンスがタッグを組んで、事業展開に臨まなければなりません」(梶田氏)。

ANAホールディングスでは現在、プライバシーガバナンス行動原則を策定中だと言います。世界各国で設定されているプライバシーに関する法規制を遵守しつつ、規制が変更された際には迅速かつ適切に対応する必要があります。梶田氏はその取り組みを以下のように説明します。

「EUのGDPR(一般データ保護規則)を皮切りに、米国、中国、シンガポールなど、グローバル事業の展開に大きく影響する国々を中心にプライバシー関連の法規制が強化され、監視の目がますます厳しくなっています。私たちは社員一人ひとりがプライバシー保護の重要性を理解し、能動的にデータと向き合えるよう、体系的な教育にも着手しています」(同氏)。

最後に梶田氏は将来の展望について「航空業界全体でもデータの越境移転規制には強い関心を持っており、国際機関や業界団体での議論が行われています。ANAグループとしても業界団体の動向を注視しつつ、積極的に発信していきたいと考えています」と語りました。

3社の取り組みを伺い、林と共同でPwC Japanグループのサイバーセキュリティ&プライバシーリーダーを務める綾部は日本企業への推奨事項として、「ビジネスとセキュリティの連携強化」「セキュリティガバナンスの広さと深さの実践」「サイバーインテリジェンスの強化」の3点を挙げます。

デジタル化が進む中、事業の継続性を確保するには、サイバーセキュリティのリスク管理が不可欠です。同時にさまざまな協業先やビジネスパートナーと一緒になってビジネスを成長させるためには、サプライチェーン全体でサイバーリスクを管理する「広さ」と、経営者がコミットしてセキュリティを管理する「深さ」が求められています。さらにグローバル企業は脅威アクターの攻撃手法だけでなく、新しい法規制やガイドラインを的確に把握・管理しなければなりません。

最後に綾部は「これら3点を念頭にサイバーセキュリティ対策を強化しなければ、ビジネスの展開自体が危うくなる可能性があります」と指摘し、全体セッションを締めくくりました。

綾部 泰二

主要メンバー

林 和洋

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

Email

綾部 泰二

パートナー, PwC Japan有限責任監査法人

Email

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