新型コロナウイルス感染症への対応―今こそ試される事業継続力

2021-05-19

はじめに

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は私たちの日常を一変させました。企業においては長期化するCOVID-19パンデミックを、一時的な危機事象としてではなく、経営環境の変化と捉えることが重要です。日本だけではなく、世界中で企業活動におけるレジリエンス(事業継続力)が試される状況下、訪れた危機を機会と捉え、事業継続力を強化するために行うべきことを紹介します。

本稿は、PwC米国が公開したコラム「Did your company’s response to COVID-19 stack up? Time for a critical assessment」を抜粋し、日本の状況を交えて加筆・修正を行ったものです。

コロナ危機を通じて加速した変革

COVID-19によるパンデミックは多くの企業にとって、過去の企業活動で直面した困難のうち最も大きなものの一つと言えます。急速な感染拡大により、十分な準備が整わない状況で危機を迎えた企業は少なくないはずです。インフルエンザをはじめとする従来の感染症対策を前提にした事業継続計画を策定していた企業は多かったものの、COVID-19の感染拡大は、厳密な物理的距離の設定や非接触といった感染症対策、一年以上にわたる長期的な対応(有事の常態化)を迫りました。そのため、これらを想定して対策を打てていた企業は限られました。既存の危機管理計画や事業継続計画が上手く機能したという例は少なく、事業の継続にあたって多くの企業が、業務オペレーションの変更や意思決定プロセスの見直しの必要性に直面することとなったのです。

同時に、今回の危機を通じて、多くの企業が働き方の変革を余儀なくされました。リモートワークの推進は、その最たる例でしょう。内閣官房成長戦略会議の公表資料*1によると、米国では在宅勤務の実施割合が6割近くに及びました。リモートワーク環境整備のために多額の投資が行われたこともあり、在宅勤務の生産性は高い評価を得ています。こうした背景から、ポストコロナの世界では、在宅勤務を前提にした効率的なオペレーションを構築する必要性が高いと考えられます。

リモートワークは一つの例ですが、危機を踏まえたオペレーションの見直しを一時的な対応とせず、社会や経営環境の抜本的な変化として捉え、投資や変革したオペレーションを今後に生かすことを考えている企業は存在します。今回の経験を、今後も直面し得るさまざまなリスクへの対応に生かし、変革につなげるために、企業は何をすればよいのでしょうか。

今こそ行動の時

今日のような不確実性の高い世界においては、直面した危機から得た教訓をどのように次に生かせるかどうかが、企業のレジリエンス・事業継続性を左右することになります。上手く機能しなかった要素を整理して見直すだけでなく、上手く機能した要素を事業継続計画や平時のオペレーションの見直し(変革)につなげることで、次の危機や混乱が発生した時にも、自信を持って会社を運営していくことができるはずです。そのためにも、危機の経験が風化する前に行動を起こすことが重要と言えるでしょう。

PwC Japanグループが提供するBCP態勢構築支援については以下をご参照ください。
https://www.pwc.com/jp/ja/services/assurance/process-system-organization-data-management/process-organization-advisory/bcp.html

*1:内閣官房 成長戦略会議事務局, 2021年/「コロナ禍の経済への影響に関する基礎データ」https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/seicho/seichosenryakukaigi/dai7/siryou1.pdf

執筆者

國本 桂冬

マネージャー, PwC Japan有限責任監査法人

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