
「デジタルエコシステムの最前線」コラム 第14回 なぜ今、エコシステムビジネスが必要なのか。経営者が知るべき理由
企業が継続的に新たな価値を提供し、存在意義を発揮しながら成長し続けるためには、何が必要か。異業種間連携を前提としたエコシステム形成が一つの選択肢になり得る理由を、考え方やプロセス、事業化に向けた取り組みの観点から解説します。
2020-10-12
スマートロジスティクス・エコシステム(※)とは、さまざまな物流データを収集・連携することで、搬送経路・時間、倉庫内の在庫などを最適化したロジスティクスサービスおよびその発展型としてサプライチェーンサービスを提供するエコシステムです。スマートロジスティクスは、デジタルコマースのオーガナイザーがエコシステムの一部として物流機能を有する形態もありますが、本稿では、物流企業が中心となり形成される物流エコシステムを、スマートロジスティクス・エコシステムと定義します。
スマートロジスティクス・エコシステムは物流業界だけにとどまらず、倉庫業界(一部ディベロッパー含む)、卸売・小売業界(デジタルコマース・エコシステム)、製造業界(スマートファクトリー・エコシステム)、決済サービス業界、IT業界が関連します。スマートロジスティクス・エコシステムの特徴は、ロジスティクス/サプライチェーンに関わるさまざまなプレイヤーのデータだけでなく、関連する周辺のデータも活用して顧客への提供価値を高度化することにあります。
(※)「スマートロジスティクス®」は、株式会社日立物流の登録商標です。
スマートロジスティクス・エコシステムはロジスティクスを起点に形成され、宅配や企業物流で業界をリードしている企業がオーガナイザーとなります。オーガナイザーは、グローバル/国内のいずれにも存在し得ますが、ロジスティクスはそれぞれの地域との結びつきが強いため、グローバルのオーガナイザーと日本国内のオーガナイザーは一定のすみ分けが行われていくと考えられます。また、オーガナイザーは顧客と直接接点を持つため、カスタマーデータホルダーの機能も保有しています。
スマートロジスティクス・エコシステム形成に向けては、データ連携によってロジスティクスサービスの効率化/最適化をはかったり、提供サービスを拡充するなど、デジタルを活用して顧客のサプライチェーンの付加価値を上げていくこと重要です。
デジタルの活用がスマートロジスティクス・エコシステムにもたらす影響として大きく2点考えられます。
第一には、各種データ/サービス連携による物流サービスの高効率化・多様化です。物流に関係する各種データ(顧客・サイズ/重さ・位置情報・車両の空き状況など)を、荷主と物流事業者が共有することで、配送ルートの最適化や荷物と車両のマッチング・シェアリングが行え、高効率な物流サービスを実現できるようになっています。
第二には、データを軸とした他のデジタルエコシステムとの連携による、サプライチェーンレベルでの付加価値の向上です。スマートロジスティクスは他のエコシステムの顧客データと連携して、シームレスな顧客体験を提供可能です。例えばデジタルコマースのプレイヤーと共同で在庫管理を行う動きがあります。また、スマートファクトリーとの連携では工程の自動化技術や3Dプリンターなどの製造工程の進化により、3Dプリンターを活用して物流事業者が部材を作製し、配送するサービスが行われています。
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