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2020-10-19
前編で解説したように、スマートロジスティクス・エコシステム(※)は、さまざまな物流データを収集・連携することで、搬送経路・時間、倉庫内の在庫などを最適化したロジスティクスサービスおよびその発展型としてサプライチェーンサービスを提供するエコシステムです。スマートロジスティクス・エコシステムにおけるデジタルの活用は物流サービスの高効率化・多様化と、サプライチェーンレベルでの付加価値の向上という影響をもたらします。
こうしたデジタルによる影響を踏まえると、スマートロジスティクス・エコシステムの戦略の方向性は、提供サービスの広がりと、データの利活用の広さの切り口から大きく4つに分けられます。
地図データやGPS(衛星利用測位システム)データを始めとする位置情報と、トラックの積載貨物量を踏まえ、効率的な配送ルートを設定し配送コストを下げることなどが該当します。
車両のシェアリングや、荷主と物流事業者のマッチングを進めることが該当します。例えば、倉庫や車両の空き状況をデータ化し、クラウドで共有しAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)連携することで、これまで人間が行っていたマッチング・シェアリングのスピード・効率が向上します。このようなマッチング・シェアリングを、行き荷・帰り荷、季節、配送時間帯によって需要変動が大きい地域や配送ルート間で行い、トラックやドライバーなどのアセットを効率的に活用します。
ロジスティクスの領域など、顧客のサプライチェーンに関連したデータを利活用し、顧客にサプライチェーンの最適化提案をすることが該当します。そのためには、サプライチェーン内のデジタル化を一層推進し、IoTを活用して収集したデータや、過去の取引データの利活用によって顧客企業のサプライチェーンの中で自社が担っている部分のコストやリードタイムを可視化する必要があります。
他のデジタルエコシステムと連携し、在庫や需要などのサプライチェーンデータ、サプライチェーンに関わるデータを踏まえて、顧客のサプライチェーンの付加価値を向上させることが該当します。
デジタルコマースとの連携では、サプライチェーン上の製品量をリアルタイムで把握することで在庫量の最適化や横持ち配送の低減できるほか、需要量を確認して欠品を防止したり、需要予測に基づいた発注などを行うことができます。スマートファクトリー・エコシステムと連携し、データを受け取った物流事業者が3Dプリンターで製品を製造し、配送することも可能となります。
サプライチェーン外部データとの連携では、地域の交通情報や物流インフラの状況、気象予報、災害の発生状況などのデータと、サプライチェーンのデータを組み合わせてサプライチェーンの頑強化を行うことが挙げられます。
(※)「スマートロジスティクス®」は、株式会社日立物流の登録商標です。
スマートロジスティクス・エコシステムの形成に向けては、人手不足の中でECの増加や工場の国内回帰が進んで物流量が増加することを踏まえ、物流のキャパシティを増やした上で、顧客のサプライチェーンを担うなどサービス領域を広げることが必要です。
物流のキャパシティを増やすためには、物流企業の多数を占める中小の物流事業者を全国またはエリア規模でネットワーク化することが有効です。ネットワークを有効活用するには、デジタル化が必要となりますが、中小の物流事業者の中にはデジタル化への投資および活用が十分に進んでいないところも多いため、各物流事業者にデジタル化の推進を促し、アセットのデジタル化やオペレーション変革を行うことが必要となります。そのためには、オーガナイザーはサービスプロバイダー、デジタルプロバイダー、システムプラットフォーマーとの連携も強化する必要があります。
これらにより、顧客にとっては運べる荷物が増え、荷物に応じた配送方法を選択できるだけでなく、物流の効率化や可視化というメリットが享受できます。また、物流事業者にとっては、物流のキャパシティを増やした上で、小売やデジタルコマースといった事業者とアライアンスを組み、在庫管理や発注などを共同で行うサプライチェーンを構築することで、新たな収益機会も得ることが可能となります。