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前述の課題に取り組むため、これまでにもさまざまな施策が実施されてきました。その代表例が、企業間のデータのやり取りのデジタル化です。電子データ交換(EDI:Electronic Data Interchange)やEAI(Enterprise Application Integration)を活用した企業間データ連携により、紙ベースの煩雑な作業の効率化は一定程度進みました。
ところが、このような企業間のデータ連携体制の構築には長い期間と莫大なコストが掛かります。2社間で構築した仕組みも、3社目以降が増えることで既存システムの更新が必要になったり、接続先増加で「スパゲッティ状」に複雑になったシステム構成が開発ならびに保守運用コストを指数関数的に増加させたりするという課題がありました。これにより、サプライチェーン全体を巻き込んでの仕組み作りは難航します。また、企業間でデータのやり取りが都度発生するため、デジタル化されているとはいえ、異なる法人から送られてくる取引データが完全に信頼できるものであるとは言えず、調整コストが掛かっていたのは前述の通りです。
このような課題を解決するために期待される技術がブロックチェーンです。ブロックチェーンをサプライチェーンマネジメント(SCM)で活用すれば、まず企業間でやり取りされるデータの信頼性は、システム管理者などの特定の企業や人に依存することなくアーキテクチャで担保されることになります。サプライチェーンに参加する企業は全て「Single Source of Truth(真実となる唯一の情報源)」の概念のもと、ブロックチェーン上で管理される単一の情報にアクセスすることになるため、そもそも企業間で直接データをやりとりすることはなくなります。非中央集権型というブロックチェーンの特性は、サプライチェーンへの参加障壁を低くし、多様なステークホルダーの参画とエンド・ツー・エンドのトレーサビリティの実現可能性も高めると考えられます。サプライチェーンは点から線、線から面へと広がっていくことでしょう。
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