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2022-04-05
企業はジレンマに直面しています。従業員に新しいスキルを習得させ、現在のケイパビリティを向上させ、研修を完了させなくてはならないにもかかわらず、昨今の状況から対面での研修実施が危ぶまれているからです。とはいえ、従業員のスキル習得への熱意が非常に高まっている現在、研修の持つ意味は極めて大きく、また、従業員が以前とは変化した職場に再び出社し始めれば、研修の重要性はさらに増すと思われます。企業はこの難題にどうすれば対処できるでしょうか。
研修に関するこうした問題には、予想外の領域に解決策があります。それがメタバース空間の活用です。
メタバースは当初、ゲームなどの消費活動で注目を集めましたが、現在は企業活動の主流になろうとしています。この動きを加速させたのがコロナ禍であり、ソーシャルディスタンスの確保の必要性でした。従業員は、リモートで勤務するにしても出社を再開するにしても、新しい働き方について研修を受ける必要があります。しかし、対面の講義形式では安全を確保できないかもしれません。そこにメタバースのニーズがあります。
PwCが2020年に実施した「CEOパネル調査(CEO Panel Survey)」では、CEOの78%が、COVID-19のパンデミック後もリモートでの協働を進める傾向が続くと回答しています。コロナ禍を受けた長期的なビジネスモデル変革のうちCEOが最も重視するのは、中核事業のオペレーションとプロセスのデジタル化です。次に、デジタル製品・サービスの導入によるバーチャル化推進計画が挙げられています。
メタバース空間における商談や契約締結など、これからの時代においては仮想空間におけるビジネスが当たり前になることが予想されます。顧客を適切にもてなし、円滑な関係を構築・維持していくには、従業員がヘッドマウントディスプレイなどの機器やメタバース関連のサービスの取り扱いをはじめとするデジタルスキルを身に付けていくことが欠かせないでしょう。
PwCはこれまで、850台以上のヘッドマウントディスプレイを使って一部の従業員やクライアント向けの研修を行い、メタバースの進化を目の当たりにしてきました(PwCあらたのVRを活用した研修に関する記事はこちら)。その上で、大企業が今後18カ月以内に、従業員用の数百台のヘッドマウントディスプレイを関連コンテンツと併せて導入することが当たり前になるだろうと予測しています。実際、PwCのレポート「Seeing Is Believing」によると、VRとARが2030年までにもたらす潜在的な経済効果は全世界で1.5兆米ドルに上る可能性があり、そのうち最大2,942億米ドルが研修目的であると見込まれています。
メタバースを企業の主流に押し上げた要因は次のとおりです。
1 TNW, 2018.“Cheaper VR is coming: will it be enough to kick-start consumer interest?” https://thenextweb.com/news/cheaper-vr-is-coming-will-it-be-enough-to-kick-start-consumer-interest
メタバースはすでに、安全手順や機器の操作・管理作業といった業務スキルのシミュレーションや、パイロットの訓練に使用されるフライトシミュレーターのような職業スキルのシミュレーションに効果のあることが知られています。この種の研修にメタバースを採用する業界では、プロセス効率の改善を見て取ることができます。では、これと同じテクノロジーを、リーダーシップやレジリエンスなどの育成にも活用することができるのではないか――。メタバースが、こうしたソフトスキルの研修でも効果を発揮する可能性が今、取り沙汰されています。
PwCはこの問いに対する答えを得ようと、ソフトスキル研修用に設計されたメタバースを使って調査を実施しました。調査では、米国の12事務所から選ばれた新人マネージャーが、対面講義形式、eラーニング形式、メタバースを使用する形式(ここではmラーニングと呼ぶ)形式の3種類いずれかの受講形式で、インクルーシブリーダーシップについて学ぶ目的で作成された同一内容の研修を受けました。
その結果、従業員の教育予算が縮小し、依然としてソーシャルディスタンス確保のために対面での研修が難しいこの時期に、メタバース形式の研修は従業員のスキルアップをより短時間で実現するのに役立つことが明らかになりました。次回、同調査によって明らかになったmラーニングの利点について詳しく紹介します。