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本連載は、国内テクノロジー企業とグローバル先進企業の歩みを分析することで、テクノロジーやビジネスの変化の大きい局面において、国内テクノロジー企業がどのような戦略を採り、どのように事業活動を営むべきか、その道しるべとなることを目的としています。
第1回では、国内テクノロジー企業が衝動的にDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みに走る事態に警鐘を鳴らすとともに、戦後復興期から高度経済成長期を経て1980年代までグローバルで高いプレゼンスを発揮していた国内テクノロジー企業が、1980年代後半~2000年代にかけて急速にそのプレゼンスを低下させた原因を、下記の3点で説明しています。
また、上記の3つの原因を踏まえ、企業が短絡的なDXの取り組みに走る前に学ぶべきポイントとして、下記3点を挙げました。
第2回の今回は、グローバルでプレゼンスを維持・向上させている先進企業の歩みを考察します。国内テクノロジー企業の歩みに対して、グローバルで活躍する先進企業の取り組みを観察し、突き合わせることによって、本質的な競争優位の源泉を明確化し、国内テクノロジー企業が今後、どのような戦略を採用し事業活動を営むべきかを検討します。
今回戦略を考察する対象に、テクノロジー業界およびその周辺業界において一定のシェアを維持し続けている先進企業や、株価を著しく成長させると同時にグローバルでのプレゼンス維持・向上に向けて効果的な戦略を策定・実行しているとされる先進企業を以下の通り選定しました。
これらの企業について、プレゼンスの維持・向上に寄与していると想定される特徴的な戦略を整理すると、下記の4パターンの組み合わせで説明できます。
グローバルでプレゼンスを維持・向上させている先進企業は、他社に対して差別化可能なコアケイパビリティを見極め、そのケイパビリティ強化に向けた買収・提携・大規模投資などを継続して実施しています。
1点目の「徹底したコアケイパビリティ強化」を踏まえ、コアケイパビリティを生かせる事業ポートフォリオのみに絞り込む経営判断も首尾一貫しています。具体的には、コアケイパビリティを生かせない事業はたとえその時点での主力事業であっても売却・切り離しを行う、逆にコアケイパビリティを生かせる事業は買収による強化を実施するなど、事業の取捨選択を躊躇なく実行しています。
コアケイパビリティにフォーカスした投資とコアケイパビリティを生かせる事業ポートフォリオへの絞り込みを踏まえ、グローバルでのコア事業の拡大に向けた活動を推進しています。具体的には、マーケットインを徹底することで市場ニーズを的確に捉えた製品・サービスを開発し、自社の製品・サービスを市場におけるデファクトスタンダード、ひいてはデジュールスタンダードとして位置づけるべく、標準化活動を推進しています。
コアケイパビリティにフォーカスした投資、コアケイパビリティを生かせる事業ポートフォリオへの絞り込み、コア事業の事業拡大に向けたマーケットイン志向と標準化活動(デファクトスタンダード化およびデジュールスタンダード化)は、事業の安定成長のいわば前提と言える戦略です。これらの基本的な戦略に加え、プラットフォームビジネスを展開するGAFAなどのテックジャイアントだけでなく、業界内で大きなプレゼンスを発揮するSI系、重電系の一部企業は、成長著しいデータ取得・解析技術も活用しながら、コア事業におけるワンストップサービスの提供を実現しています。継続的に収益を生むエコシステムを構築し、顧客、ステークホルダーと連携することで、サービスの付加価値向上を実現しており、結果として顧客の囲い込みにつながっています。
ここからは、4つの成功パターンについて、グローバルの先進企業の取り組み事例を通して詳述します。
まず、IT系、通信機器系、電子部品系の一部企業の徹底したコアケイパビリティ強化について、特徴的な取り組みを紹介します。
前章では、コアケイパビリティに徹底的にフォーカスした投資や技術提携などの取り組みについて紹介しました。一方で、グローバル先進企業の多くは、自社のコアケイパビリティを見極めた上で、ケイパビリティを生かせる領域に絞って事業ポートフォリオの最適化を進めており、国内企業にとっても学ぶべき点があると考えられます。
本章では、IT系、重電系、通信機器系の一部企業について、コアケイパビリティを生かせる領域に事業ポートフォリオを絞り込む特徴的な取り組みを紹介します。
前章では、自身のコアケイパビリティを見極めた上で、ケイパビリティを生かせる領域に絞って事業ポートフォリオを最適化する取り組みについて紹介しました。これらと合わせて、グローバルの先進企業はコア事業の地域拡大に向けた取り組みとして、マーケットイン型の製品・サービス開発、レディメイドのサービス開発、自社サービスの標準化活動(デファクトスタンダード化およびデジュールスタンダード化)を推進しています。
本章では、IT系、重電・ヘルスケアテクノロジー・通信機器系の一部企業について、グローバルでの事業拡大に向けた特徴的な取り組みを紹介します。
前章では、コア事業の地域拡大に向けた取り組み、具体的にはマーケットイン型の製品・サービス開発、レディメイドの製品・サービス開発、自社サービスの標準化活動(デファクトスタンダード化およびデジュールスタンダード化)について紹介しました。一方で、業界内で大きなプレゼンスを発揮するSI系、重電系の一部企業は、データの取得・解析技術を活用しながら、コア事業において顧客にワンストップサービスを提供しています。
本章では、一部先進企業によるワンストップサービス提供に向けた特徴的な取り組みを紹介します。
ここまで、テクノロジー業界テクノロジー業界およびその周辺業界(IT系、SI系、重電系、ヘルスケアテクノロジー系、通信機器系、電子部品系)において、グローバルでプレゼンスを発揮し続けている企業の歩みを考察してきました。
上記企業について、プレゼンスの維持・向上に寄与していると想定される特徴的な戦略を整理すると、下記の4パターンの組み合わせで説明できることを示しました。
グローバルの先進企業の歩みを俯瞰すると、デジタル技術が急速に発展しビジネストレンドも大きく変化する時代に差し掛かっている中でも、短絡的なDXの取り組みに走る前にまずコアケイパビリティを強化することを戦略の基軸としていることが分かります。
市場で差別化可能なコアケイパビリティを見極めて強化し、コアケイパビリティを生かすことのできる事業ポートフォリオへ絞り込み、コア事業のグローバル展開に向けた活動を着実に遂行しています。一部企業はハードウエア製品を起点に、データの取得・解析技術も活用しながら、顧客にワンストップサービスを提供しています。
ここまで、第1回では国内テクノロジー企業が陥った課題と短絡的なDXの取り組みに走る前にすべき反省について、第2回ではグローバルでプレゼンスを維持・向上させる先進企業の戦略について考察しました。
第3回では、国内テクノロジー企業の歩みとグローバルで活躍する先進企業の取り組みを突き合わせることによって、本質的な競争優位性の源泉を明確化し、国内テクノロジー企業が今後、どのような戦略を採用し事業活動を営むべきかを検討します。
※1 出所:Max Jungreis, 2020年.「アップルが過去10年でAI企業を買収しまくっていた…グーグルやマイクロソフトを上回る」『Business Insider』(2021年7月30日閲覧)
https://www.businessinsider.jp/post-217371
※2 出所:竹内一正, 2019年.「iPhoneが成功した3つの理由、もしアップルが自ら製造していたら?」『Diamond Online』(2021年7月30日閲覧)
https://diamond.jp/articles/-/198264?page=3
※3 出所:劉尭, 2017年, 「ものの数年で世界トップレベルの企業へ躍進したHuawei成長の秘密~半年に1度CEOが交代する"蜂集団"」『PC Watch』(2021年7月30日閲覧)
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1077549.html
※4 出所:Huawei, 2020年, 「ファーウェイ、2019年度業績を発表」(2021年7月30日閲覧)
https://www.huawei.com/jp/news/jp/2020/hwjp20200331a
※5 出所:劉尭, 2017年, 「ものの数年で世界トップレベルの企業へ躍進したHuawei成長の秘密~半年に1度CEOが交代する"蜂集団"」『PC Watch』(2021年7月30日閲覧)
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1077549.html
※6 出所:Alan Patterson, 2021年, 「TSMCが2021年の設備投資を300億ドルに再度引き上げ」『EETimes Japan』(2021年7月30日閲覧)
https://eetimes.itmedia.co.jp/ee/articles/2104/21/news070.html
※7 出所:新宅あゆみ, 2021年, 「台湾TSMC つくばに研究拠点 日本政府も助成」『朝日新聞』(2021年7月30日閲覧)
https://www.asahi.com/articles/ASP506T1WP50ULFA01B.html
※8 出所:岩田太郎, 2020年, 「「グーグル銀行」誕生か? グーグルの新金融サービス「Cache」の狙いはどこに」『ビジネス+IT』(2021年7月30日閲覧)
https://www.sbbit.jp/article/cont1/41399
※9 出所:小平和良, 2017年, 「中国発の世界企業、華為技術の実力」『日経ビジネス』(2021年7月30日閲覧)
https://business.nikkei.com/atcl/report/15/278209/022200099/
※10 参考文献:we are social, 2019年, 「Digital 2019」(2021年7月30日閲覧)
https://wearesocial.com/uk/blog/2019/01/digital-in-2019-global-internet-use-accelerates/
※インターネットユーザー約44億人に対し、グーグルの検索エンジンのシェアが90%とした場合のラフな推計
※11 出所:Neil Cybart, 2020年, 「A Billion iPhone Users」『ABOVE AVALON』(2021年7月30日閲覧)
https://www.aboveavalon.com/notes/2020/10/26/a-billion-iphone-users
※12 出所:Neil Cybart, 2020年, 「Apple Watch Is Now Worn on 100 Million Wrists」『ABOVE AVALON』(2021年7月30日閲覧)
https://www.aboveavalon.com/notes/2021/2/11/apple-watch-is-now-worn-on-100-million-wrists
※13 参考文献:高野敦, 2019年, 「「自動車や産業機器にも」、通信以外に浸透するファーウェイの5G技術」『日経クロステック』(2021年7月30日閲覧)
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00594/022500005/
※14 参考文献:Navi Radjou and Jaideep Prabhu, 2013年, 「Siemens Gets SMART by Focusing on Simplicity」『strategy+business』(2021年7月30日閲覧)
https://www.strategy-business.com/article/Siemen-Gets-SMART-by-Focusing-on-Simplicity
※15 出所:Philips, 2018年, 「フィリップス、日本初のCo-Creation Center設立のご案内」(2021年7月30日閲覧)
https://www.philips.co.jp/a-w/about/news/archive/standard/about/news/press/2018/20180626-pr-philips-tohoku-co-creation-center-unmet-needs.html
※16 参考文献:Siemens, 2014年, 「Annual Report 2014」(2021年7月30日閲覧)
https://www.siemens.com/investor/pool/en/investor_relations/Siemens_AR2014.pdf
※17 出所:Alstom, 2019年, 「HealthHub™ Smart asset monitoring for optimised life-cycle cost」(2021年7月30日閲覧)
https://www.railway.supply/wp-content/uploads/2020/11/trainsscanner-i-healthhub-%E2%84%A2.pdf