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PwC Japanグループは2023年12月8日、メディア関係者を対象に、「期待の見直しと成長への備え―グローバル エンタテイメント&メディア アウトルック 2023―」と題したセミナーを開催しました。当日は社外からも登壇者をお招きし、業界全体の動向やゲーム業界に関する最新トレンドと課題について講演しました。本連載では3回にわたり、その様子をご紹介していきます。
当日の様子を振り返る本連載の最終回は、PwCコンサルティング シニアマネージャーの藤島太郎と、株式会社バンダイナムコエンターテインメントCX戦略室デジタルテクノロジー部ゼネラルマネージャー田村雄也氏が、エンタテイメント&メディア業界におけるゲームの位置づけやゲーム市場の今後を考察します。
本セミナーの採録動画はこちらからご覧いただけます。
※法人名、役職、内容などは2023年12月時点のものです。
田村 雄也 氏
株式会社バンダイナムコエンターテインメント
CX戦略室 デジタルテクノロジー部 ゼネラルマネージャー
総合ITベンダーにてクラウド黎明期のサービス開発を経て、2007年にバンダイナムコグループに参画。
その後は一貫して事業系IT部門に従事し、コンテンツ提供対象のデバイスの変化、デジタルテクノロジーの進化の速さに対応しながら、エンターテインメント分野でのインフラを横断的にマネジメント。
近年ではグループ統合データ基盤を設計/構築し、展開中。
藤島:
エンタテイメント&メディア業界全体の中で、ゲームというセグメントの位置づけは変化してきています(図表1)。ゲームソフトの売り切りで終わるような従来の在り方から、エンタテイメント&メディア業界のさまざまな市場セグメントに広く関連性を持つ産業へと大きく変容しつつあります。
その要因として、大きく3つの点が挙げられます。まず1つにはゲームIP(知的財産)のマルチユース化の進展があります。エンタテイメント&メディア業界全体で保有IPの有効活用が重要性を増す中で、ストーリー・キャラクター・音楽といった多様なIPを内包しつつ、インタラクティブなメディアの特質から消費者の強いコミットメントが期待できるゲームIPは、近年マルチユースの有用性が注目を集めています。
2つ目は、通信技術の進展によるエンタテイメント&メディア全体でのオンライン化による更なる進展です。MMO(Massively Multiplayer Online;インターネットを介して大人数のプレイヤーが同時に参加できるオンラインゲーム)やクラウドゲーミングなど、高速・大容量通信を伴うゲーム技術が広がりを見せることによって、インターネットアクセス市場の需要とゲーム市場の需要が相互作用的に喚起されていると考えられます。
3つ目は、先進テクノロジーとの親和性です。VRやAR、NFT、さらにはメタバースといった近年エンタテイメント&メディア業界において注目されているテクノロジーとゲームは非常に相性が良く、開発の現場においてもさまざまなテクノロジーが使われることによって、その発展を牽引する市場となるでしょう。
こうした環境変化から、業界の垣根がなくなりつつあるエンタテイメント&メディア業界において、ゲームがさまざまなセグメントに関連するコンテンツの結節点になってきていると我々は捉えています。
このように大きな変化を見せているゲーム業界の中で、日本のゲーム関連企業は今後、どのような戦略をとり、更なる成長への備えを行っていくべきでしょうか。
田村:
日本のゲーム関連企業が得意とするところは、世界に通用するIPを生み出し、それを広げていくことであると考えています。
日本のIPが好きな方は国内に留まらず、世界中にいらっしゃいます。特にゲームに関しては、そうした方々に少しでも多くの作品に触れていただけるよう、マルチプラットフォームでコンテンツを提供することが重要です。近年はアニメ・漫画を起源としてゲーム化されるケースもあれば、逆の場合もあり得ます。さらには音楽という新たなIPからアニメ・ゲームが作られるケースもあり、何が中心になるか分からない世界だと思っています。
ゲームがコンテンツの結節点になっているというご指摘の通り、ゲームに限らずさまざまなコンテンツを繋げて、日本のIPを好きな方がいろいろな商材に触れられるような状態を作りあげていくことが、今後大事になってくると考えています。
藤島:
ありがとうございます。アニメや漫画を起因としたゲーム開発だけではなく、ゲームから他のセグメントにも日本の強みであるIPを転用していくビジネス戦略が重要ということですね。
最後に、PwCの考えるゲーム業界全体にまたがる検討ポイントや課題を整理します(図表2)。
近年、ゲーム業界を取り巻く社会の変化やテクノロジーの進歩を背景に、ゲームの在り方や消費者のライフスタイルは大きく変化してきています。コンテンツ・プラットフォーマーに対する規制強化、先進国における急速な少子化に伴うゲーム人口の減少、Play to Earn・Create to Earnといった新しいゲームの楽しみ方とそれに伴う新しいバリューチェーンの登場、AI・VR/ARを活用したゲーム開発・遊び方の広がりなど、ゲーム業界に大きな影響を及ぼし得る事象は多岐にわたります。
こうした状況下で、コンテンツの権利帰属のあり方、未来の消費者ライフスタイル予測、パーソナライズドコンテンツの登場といったトピックに着目することは、ゲーム関連企業にとって非常に重要になると考えられます。
これらの未来の兆しは、ゲーム業界のバリューチェーンにも大きな影響を及ぼし新たな課題を生んでいると考えています(図表3)。
企画・制作面では、莫大なコストを要するゲーム開発に対する原資確保の手法として、未来の消費者ライフスタイル予測が重要です。例えばPlay to Earn ・ Create to Earnといった比較的新しい遊び方に見られるような、消費者のライフスタイルを予測することは、消費者を巻き込んだ課金モデル・マネタイズモデルの開発にも繋がります。
販売・配信面では、これまでに収集したデータの利活用が重要になります。消費者単位で販路や利用実態をトラッキングし、それらをどのように活かしてパーソナライズ化されたコンテンツを作成し得るのか、検討の余地はあると思います。
利用・消費の面では、従来のゲームのクリエーターと消費者が分離されていたモデルから、昨今では二次制作を含む個人によるゲーム開発など、さまざまな消費スタイルが登場しています。こうした変化の中、コンテンツ権利帰属を含め、消費者とクリエーターの間のバランスがどのように変化するのか捉えることが大切です。
藤島:
ここまで、ゲーム市場がエンタテイメント&メディア業界の中でも成長市場であることや、日々変化する環境下で業界全体の垣根がなくなりつつある中、ゲームがさまざまなセグメントに関連するコンテンツの結節点になってきていることなど、ゲーム業界について田村さんとともに考察してきました。
本セミナーのデータはPwCが提供する「グローバル エンタテイメント&メディア アウトルック」の内容に基づいています。本アウトルックは、エンタテイメント&メディア業界に関する最新トレンドについて、13のセグメントと53の国・地域で分析することができるという点で、新規事業の開発や海外展開の参考情報として役立つと考えています。
PwC Japanグループは、これまでグローバルのネットワークの中で蓄積してきたエンタテイメント&メディア業界における経験とデータ、また数々の企業の経営をサポートしてきたノウハウを生かして、今後も日本のエンタテイメント&メディア業界における企業の発展を支援していきます。
2023年12月8日に開催したセミナー「期待の見直しと成長への備え―グローバル エンタテイメント&メディアアウトルック 2023―」の内容を、全3回にわたって掲載したコラムは以上です。
2024年もセミナーや記事などを通して、さまざまな情報を発信する予定ですので、ご期待ください。
PwC Japanグループが2023年12月に開催したメディア向けセミナー「グローバル エンタテイメント&メディアアウトルック 2023ー期待の見直しと成長への備えー」の様子を動画でお届けします。
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