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世界の消費者意識調査2023年6月 意思決定のポイント:購入前の消費者の体験を向上
本調査では、25の国と地域から消費者8,975人が回答しました。購入体験の前に摩擦を取り除くこと、および意思決定の重要な場面にある消費者にリーチする方法を解説します。その次に、これまでも重要だった分野における消費者の声に注目します。
2023-02-21
近年、注目度を高めるメタバース。ビジネスに利活用する企業の数も飛躍的に増加しています。いざメタバース空間を使ってビジネスを始める場合、企業がやるべきは空間設計だけではありません。利用規約の整備、決済システムの確立、ユーザーのプライバシー保護など、快適な空間を提供するための下準備が必要です。本連載では、メタバースビジネスを行う企業が留意すべきルール、すなわち法務関連のトピックを取り上げます。企業から実際に寄せられる質問をもとに、私たちがビジネスを進めていく上でとるべきアクションを、共に考えていきましょう。今回のテーマは「メタバースとディープフェイク」です。
ディープフェイクとは、本来的にはディープラーニングを活用して画像および動画(以下「動画等」と総称します)を部分的に交換する技術をいい、そのようなディープフェイクによって制作された動画等を「ディープフェイク動画等」といいます。もっとも、ディープラーニングを用いなくとも、そのような動画等の部分的交換を行うことは可能であり、でき上がりの動画等に差がないのであれば、多くの場合、法的な帰結は同様であると考えられます1。そのため、本稿では動画等の一部が精巧に交換され、元の動画等を知らない人から見ればあたかも当初から交換後の状態であったように見える動画等を総称して「ディープフェイク動画等」ということとします。
メタバースでは、アバター以外にも、多種多様な視覚的コンテンツが配信されています。例えば、そのうちの一部の動画等が、自分で撮影した動画等をベースにしたディープフェイク動画等であった場合、そのディープフェイク動画等の削除を請求できるかが問題となります。
一般に、動画等は著作物として著作権法上の保護を受けます(「著作物」については、「企業のためのメタバースビジネスインサイト:法の観点から見るメタバース 著作権編Vol.1」および「Vol.2」も参照)。具体的には、著作物は著作権法に定める例外的な態様による利用を除いて、著作権者の許諾を得ないで利用することが禁止されており、そのような利用を行った者は、著作権侵害の責任を負うこととなります。
例えば、著作物を有形的に再製した場合(コピーした場合など)には複製権、著作物の同一性を維持しつつ新たな創作的要素を付加して別の作品を制作した場合には翻案権、著作物を著作権者の意に反して改変した場合には同一性保持権が、それぞれ侵害されることとなります。
ディープフェイク動画等を制作する場合、交換される部分以外は元の動画等がそのまま使用されつつ、交換された部分が改変され、場合によってはかかる改変によって新たな創作性が付与されることもあり得ることから、複製権、翻案権2、同一性保持権のいずれかの権利が侵害されている可能性が高いと考えられます。また、それをメタバースというインターネットを介して公衆がアクセス可能な仮想空間において配信する行為は、公衆送信権を侵害する可能性が高いと考えられます。
このような著作権侵害を構成する行為に対して差し止めを請求することができるのは、元の動画等の著作者または著作権者ですが(著作権法第112条第1項)、著作権は一定の例外を除いて、著作物を創作した者に帰属します(著作権法第17条、同法第2条第1項第2号)。そのため、本件でいえば動画等の撮影者(およびその者から権利を譲り受けた者)に帰属します。
したがって、このような動画等の撮影者は、著作権が侵害されている場合には、ディープフェイク動画等を制作・配信した者に対し、ディープフェイク動画等の削除・廃棄を請求することができます(著作権法第112条第1項・第2項)。しかし、現実的には侵害者の特定が困難であることや、その者に請求したとしてもそれに従ってくれるか分からないという問題があるので、被害拡大防止の観点から、メタバースの運営者による迅速・的確な対応によりトラブルを解決できる仕組みを構築することが重要と言えるでしょう。具体的には、メタバース運営者において、Q1のAでも述べたような措置を講じることが考えられます。
なお、メタバース内における著作権侵害行為についてメタバース運営者がどのように対応すればよいのかについては、「企業のためのメタバースビジネスインサイト:法の観点から見るメタバース 著作権編Vol.2」をご参照ください。
※本シリーズはTMI総合法律事務所との共同執筆です。今回は下記のメンバーにご協力いただきました。
柴野 相雄
TMI総合法律事務所, 弁護士
松岡 亮
TMI総合法律事務所, 弁護士
1 ただし、人工知能(AI)開発のための学習用データとして著作物をデータベースに登録する行為(AIに著作物を食べさせる行為)は、人工知能の開発という目的に限定されている限りは、著作権者の許諾を得ていなくとも著作権侵害に当たりません(著作権法第30条の4第2号)。
2 AIを利用してディープフェイク動画等を制作する場合、AIの自律性の強度などによっては、新たな創作性がAIを使った者によって付与されたとは言えず、当該AI利用者による翻案権侵害を構成しない可能性もあり得ます。
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