IOSCO プリヘッジ(Pre-hedging)に関するコンサルテーションレポート:概要と今後の課題

  • 2025-03-25

Ⅰ.IOSCO プリヘッジ(Pre-hedging)に関するコンサルテーションレポート

2024年11月、証券監督者国際機構(IOSCO)はプリヘッジ(Pre-hedging)に関するコンサルテーションレポート(以下、本レポート)を公表しました(コメント期限:2025年2月21日、最終報告書公表:2025年予定)。

本レポートは、特定の金融商品や特定の法域において公表済みとなっている既存のガイドライン等や、IOSCO独自の事前調査を基に構成されており、各法域・商品共通の定義や要件のガイドラインを示すことを目的としています。

本レポートにおいては、①国際標準となる「プリヘッジ」の定義、②許容されるプリヘッジの条件、③プリヘッジを行う場合のディーラーに求めるコンダクトリスク管理要件について提案されています。

IOSCOによるガイドラインはプリンシプルベースであり、各法域において国内法制化、規制化、またはガイドラインとして採用されることが期待されており、当局による規制違反の判断基準の一つとなる可能性が高いと想定されています。

想定される課題

今後、各法域における規制・ガイドライン等の導入スケジュールや導入範囲の調査、自社業務とのギャップ分析や方針の策定、システム対応、ガバナンス態勢の構築等のタスクが発生することが想定されます。具体的には、以下のようなものが課題となっていくと考えられます。

  • IOSCOのガイドライン最終化と各法域における規制化等の動向調査
    2025年にIOSCOのガイドラインが公表される予定ですが、その後各法域においてどのように法制化、規制化、またはガイドライン化されていくかを調査し、内容分析、業務・システムへの影響分析を行う必要があります
  • 方針と手続きの策定
    全社的な方針を策定し、手続き・マニュアル類の文書化が必要となる可能性があります
  • 顧客への情報開示と同意の取得
    プリヘッジに関する情報開示方法と範囲を定めて顧客から同意の取得が求められています。この開示や同意取得は取引ごとに行うことが求められており、システム改修などが必要となる可能性があります
  • 顧客注文情報のアクセス管理
    顧客の注文情報を含む機密情報について、担当者の分掌や利益相反の可能性も考慮し、アクセス管理と不正利用を禁止する態勢構築が必要となる可能性があります
  • 記録保存とインフラ構築
    プリヘッジに関する監督や監視、モニタリング、サーベイランスを実施するための記録保存とそのためのインフラ構築が必要となる可能性があります

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主要メンバー

石井 秀樹

パートナー, PwC Japan有限責任監査法人

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橋本 和彦

パートナー, PwC Japan有限責任監査法人

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井上 恵介

ディレクター, PwC Japan有限責任監査法人

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中村 英史

シニアマネージャー, PwC Japan有限責任監査法人

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宇都宮 誠

シニアマネージャー, PwC Japan有限責任監査法人

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