
データ駆動型DevOpsの具体的アプローチと成功のポイント 市場変化への迅速な対応
市場環境やビジネス要求が絶え間なく変化するなか、企業が迅速な対応と高い柔軟性を獲得するには、DevOpsとデータ駆動型アプローチの融合が有効です。本レポートでは、国内外の成功事例を参照し、データ駆動型DevOpsを実現するための具体的なアプローチを紹介します。
2023-11-10
社会のグローバル化が進展する中、「将来は海外で働きたい」「世界の最新テクノロジーに触れる仕事がしたい」「グローバル企業で自分をスキルアップさせたい」と考える学生の方は多いのではないでしょうか。グローバル企業での経験は、世界中に広がるプロフェッショナルネットワークを構築する絶好の機会となり、将来のキャリアにおいて有益な人脈を築くことにもつながり。とは言うものの、グローバル企業で働く姿を具体的にイメージすることは難しいかもしれません。本稿では、PwCコンサルティング合同会社(以下、PwCコンサルティング)入社2年目のリ・ヒジュが、同社でテクノロジーアドバイザリーサービスのグローバルチームをリードしているディレクターのライン・ミン・ウーに、PwCでグローバルに働く醍醐味を聞きました。PwCのグローバルネットワークのアドバンテージとは何でしょうか。
対談者
PwCコンサルティング合同会社
ディレクター
ライン・ミン・ウー
PwCコンサルティング合同会社
アソシエイト
リ・ヒジュ
(左から)ライン・ミン・ウー、リ・ヒジュ
リ:
私は入社前から「PwCの強みはグローバルネットワークと、そこで蓄積されたグローバルリソースにある」と聞いていました。最初にPwCがどのようなネットワークなのかを教えてください。
ライン:
PwCは世界152カ国に32万8,000人以上のスタッフを擁する非常に大きなネットワークで、現在も拡大を続けています。そのメンバーファームの1つであるPwCコンサルティングは、グローバルネットワークを通じて各国の情報と動向を集約し、蓄積されたケイパビリティを基にさまざまなコンサルティングサービスを提供しています。
リ:
各国・各地域のメンバーファームはグローバルリソースをどのように共有しているのでしょうか。
ライン:
グローバル共通のプラットフォーム上で、世界中のPwCメンバーが自身の専門分野のナレッジや経験を共有しています。このプラットフォームには各業界・各分野における戦略策定から実行までの方法論や、新規のクライアント獲得に役立つ資料、各種ソリューションや製品の詳細、それらをクライアントが導入する際のアプローチや導入支援時におけるチームワークのノウハウなど、あらゆるリソースが蓄積されています。
中でも信頼性・活用性の高い資料には「Gold Standard」というラベルが付与されていますので、短時間で適切な資料を検索できます。これにより、PwCとして提供するサービス品質に、一貫性が保たれるのです。また、新しいフレームワークやソリューションを生み出す際のヒントにもなります。
PwCコンサルティング合同会社 ディレクター ライン・ミン・ウー
リ:
私たちが所属するテクノロジーアドバイザリーサービスのグローバルチームでは、デジタル・IT戦略の策定からシステムの導入支援まで、テクノロジー関連での課題を解決する支援をしていますが、グローバルリソースとしてはどのようなものが用意されていますか。
ライン:
最新テクノロジーのグローバルトレンドや具体的なデリバリー戦略はもちろん、ソリューション選定以前に必要なクライアントの課題抽出や構造化フレームワークが用意されています。さらに、テクノロジー部門と他部門との共同プロジェクトの成功事例なども用意されています。
例えば、近年グローバルで注目されているメタバース活用も、PwCグローバルネットワークの戦略フレームワークがまとまっています。そこには各国のメンバーファームが支援したクライアントへの導入実績のほか、「メタバース活用で直面する各課題に対し、どのようなアプローチや対応が求められるのか」「テクノロジー部門の他にPwC内でどの部門の協力を得る必要があるのか」といった実践的なハウツーも詳細に記載されています。
また、PwCはクライアントの課題解決を目的とした独自のソリューションも開発・提供しています。そうしたソリューションの一覧も、先ほどお話したグローバルのプラットフォームから確認できます。
リ:
ラインさんのチームも、そうしたソリューション一覧を参考にしていましたね。
ライン:
はい。海外のソリューションの日本への導入検討において、プラットフォーム上の情報を活用しました。テクノロジーアドバイザリーサービス グローバルチームは2022年11月から、全193件のグローバルソリューションに対して計3回のスクリーニングを実施し、候補を1件に絞ることができました。プラットフォーム上では各ソリューションの概要やプレイブック・導入実績を確認し、日本への導入における実行可能性や収益性などを確認しました。
現在は選定したソリューションを開発したPwCの海外拠点のメンバーとコミュニケーションをしながら、導入事例の詳細確認やデリバリー時のノウハウを共有するとともに、ソリューションの検証などを進めています。実際にソリューションを導入できるまでにはまだ多くのステップが残っていますが、信頼できる社内プラットフォームを使うことで、チームメンバーも素早く調査することができました。
リ:
なるほど。プラットフォームを活用することで、提供可能なソリューションの幅が広がり、クライアントに価値を提供するまでの時間が短縮できるというメリットもあるのですね。
ライン:
そのとおりです。グローバルで蓄積されたナレッジを基に、クライアントに対して最適解を短期間で提供できることは、PwCの大きな強みのひとつです。PwCグローバルネットワークは世界各国のメンバーに向けてプラットフォームの活用事例やアップデートを紹介するセミナーを定期的に開催し、その強みをさらに伸ばしています。
PwCコンサルティング合同会社 アソシエイト リ・ヒジュ
リ:
次にグローバルモビリティプログラムについて教えてください。PwC Japanグループでは、世界各国のPwCオフィスにメンバーを一定期間赴任させ、現地の仕事を通じてグローバル人材へと育成するプログラムを実施しています。現在はPwC Japanグループから何人ぐらいのメンバーが同プログラムに参加しているのでしょうか。
【参考URL】https://www.pwc.com/jp/ja/about-us/diversity-and-inclusion/nationality.html
ライン:
PwC Japanグループ全体で見れば100名以上に上りますが、私たちのチームが所属するテクノロジー&デジタルコンサルティング部門に限定すると、2022年7月時点で8名が参加しています
“グローバルモビリティ”と聞くと、“日本から海外へ行く”という印象を持たれがちですが、“海外から日本へ来る”というインバウンドのケースもあります。テクノロジー&デジタルコンサルティング部門はアウトバウンドとインバウンド両方のメンバーと協力しています。ですから、日本のクライアント案件をグローバルのPwCメンバーと共同で支援することも少なくありません。各国・各地域の枠を取り払い、お互いに学び合いながら、メンバー個人の成長はもちろん、組織全体のケイパビリティがより強化されるという好循環も生み出しています。
リ:
ラインさんはテクノロジーアドバイザリーサービス内のグローバルモビリティ推進リーダーでもありますよね。テクノロジーアドバイザリーサービスのメンバーがグローバルモビリティに参加するメリットを教えてください。
ライン:
グローバルに“ヒト”とのコネクションを持つことができ、そこから新しい視点やイノベーションに触れられるというメリットがあります。特にテクノロジー分野においては、日本国内だけでなくグローバルも視野に入れることで、クライアントに提供できるソリューションやサービスの幅も広がるため、常にグローバルの動向が把握できていることは大きな強みなのです。
コンサルティングファームの最も重要な資産は人材です。テクノロジーという専門性を有し、かつグローバルに活躍できるメンバーが増えることは、組織全体にとってもメリットです。
リ:
ラインさんはグローバルモビリティの候補者だったと聞いています。そのときの経験を聞かせてください。
ライン:
私が入社したのは今から8年前の2015年で、当初からグローバルモビリティに興味がありました。グローバルモビリティに参加するには事前準備として英語能力を判定する「CASEC」や「GBC」を受け、一定以上のスコアをクリアする必要があります。こう聞くとグローバルモビリティは英語ができないと門前払いされると思ってしまうかもしれませんが、PwCでは学習プログラムの受講費用を年間最大20万円補助する制度があります。ですから、計画的に言語能力を伸ばしていけば、グローバルモビリティに挑戦できる環境は整っています。
リ:
なるほど。ただし、PwCから手厚いサポートが受けられるとしても、海外で生活した経験がないメンバーにとってグローバルモビリティへの参加は不安が大きそうです。
ライン:
そうした不安を和らげるために、テクノロジーアドバイザリーサービスでは一緒に仕事をしたことのある国内外のメンバー間でグローバルモビリティができるような仕組みを構築中です。海外オフィスとの合同プロジェクトで一緒に働いたメンバーと再び働けるようにすることで、海外で働くことに不安を感じているメンバーがグローバルモビリティへの参加を前向きに検討できる環境にすることが目標です。
今後は海外の日系企業を支援するグローバル案件にも、日本オフィスのメンバーが参画できるよう、各国のPwCと定期的に情報交換しながらその仕組み作りを検討しています。
こうした仕組みはグローバルモビリティの受入先にとっても大きなメリットがあります。これまではグローバルモビリティに参加したメンバーが現地の環境に慣れるまで時間がかかっていました。新たな仕組みが機能すれば、各メンバーが赴任先でもすぐに戦力として組織に貢献できます。
リ:
最後に、テクノロジーアドバイザリーサービスが目指している未来像を教えてください。
ライン:
今後、日本企業のグローバル化はさらに加速し、各企業のSDGsやESGへの意識もいっそう高まっていくでしょう。PwCは企業のサステナビリティに関する戦略コンサルティングの領域でもグローバルリーダーの地位を確立しています。ですから「サステナビリティ×テクノロジー」をテーマとしたグローバルソリューションの展開を日本でも検討していきたいと考えています。
また、今後はグローバルモビリティの活動を通じ、テクノロジー関連でグローバルソリューションのニーズがあった際には迅速に対応できるような環境を整えていきたいです。そのためにはグローバルで提供しているソリューションやクライアントの課題を理解し、適切に支援できる能力を持った人材の育成が不可欠です。
最終的には、テクノロジーアドバイザリーサービスのソリューションやノウハウをグローバルプラットフォームを介して“輸出”したり、テクノロジー関連のソリューションを提供できる日本のメンバーを海外拠点に派遣したりといった活動を通じて、クライアントの現地ビジネスの拡大を支援したいです。こうした活動によってPwCグローバルネットワークへの貢献ができると確信しています。
リ:
お話を聞いて、PwCはメンバー個々人と組織がともに成長していける環境だとあらためて感じました。本日はありがとうございました。
市場環境やビジネス要求が絶え間なく変化するなか、企業が迅速な対応と高い柔軟性を獲得するには、DevOpsとデータ駆動型アプローチの融合が有効です。本レポートでは、国内外の成功事例を参照し、データ駆動型DevOpsを実現するための具体的なアプローチを紹介します。
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