一般裁判所、第2の柱指令の無効確認請求を却下(EU)

2024-04-15

2023年12月15日、EU一般裁判所(General Court of the EU)は、オランダ法人(X社)対理事会事件において、X社が提起した第2の柱指令に対する無効確認請求(EU機能条約第263条)について、判決を下した。本件は、同指令第17条の国際海運活動からの所得および特定の付随的な所得に係る適用除外に関するもの(トン数税関連)である(本誌2023年7月号参照)。一般裁判所は、X社には指令に対する訴えを提起する法的利益がないと判断した(無効確認を求める行為が直接的(direct)に関係すること、および個別的(individual)に関係することを示さなければならないところ、個別的な関係を有していないとの判断)(注)。その結果、請求は受理できないとされ、オランダおよび他の当事者が申し立てた訴訟参加(intervene)の申請についても判断する必要はないとされた。

(注)本判決において、一般裁判所は、自然人または法人が指令に係る無効確認請求を行う場合の個別的関係の判断に関する確立された判例に従った。その判断は厳格な条件の下で行われるが、本判決でも改めて述べられているように、請求者がEUの行為の結果として課税を受ける可能性があるという事実だけでは、個別的関係を立証するには十分ではない、としている。

本判決については、最終審である司法裁判所(Court of Justice)に上訴可能である。一方、第2の柱指令のEU法との適合性は、国内裁判所で開始される予備的判決手続き(preliminary ruling procedure)を通じて、司法裁判所で判断される可能性がある。

出典:PwC, EUDTG Newsalert
「月刊 国際税務」2024年3月号収録 Worldwide Tax Summary
PwC税理士法人編
PwC税理士法人顧問 岡田 至康 監修