ジェネラル・コーポレート・プラクティスニュースレター(2023年9月)

PwC弁護士法人のジェネラル・コーポレート・プラクティスニュースレターでは、企業において日々生起する法的な課題の解決に有益と思われるトピックを取り上げて、情報を発信して参ります。

今回は、以下の3つのトピックを紹介します。

トピック1: ステルスマーケティング規制に係る告示及び運用基準の概要

トピック2: 名古屋自動車学校事件(定年前後の労働条件の相違が同一労働同一賃金に違反するか争われた事件)(最判令和5年7月20日)の解説

トピック3: 不正競争防止法等の一部を改正する法律の概要―デジタル化に伴うブランド・デザイン等の保護強化―

トピック1: ステルスマーケティング規制に係る告示及び運用基準の概要

「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」が新たな不当表示として不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号。以下「景品表示法」といいます。)5条3号に基づき、告示(令和5年3月28日内閣府告示第19号*1。以下「本告示」といいます。)により指定され、同年10月1日*2に施行されます。これにより、日本においていわゆるステルスマーケティング(以下「ステマ」といいます。)を対象とする規制が初めて設けられることとなりました。

以下では、消費者庁が令和4年12月28日付で公表した「ステルスマーケティングに関する検討会 報告書」*3(以下「本報告書*4」といいます。)及び令和5年3月28日付で公表した本告示の運用基準*5(以下「本運用基準」といいます。)に基づき、本告示の概要を説明します。

1. 本告示が指定された背景

近年、デジタル広告市場の規模が拡大し、SNS等で誰もが情報を発信できる中で、中立的な第三者のような体裁をとりながら、実際には事業者から金銭等の対価を提供された広告を行うステマが増加しています。

消費者庁は、「広告主が自らの広告であることを隠したまま広告を出稿」する行為などのステマについて、一般消費者は、事業者の表示であると認識すれば、表示内容に、ある程度の誇張・誇大が含まれることはあり得ると考え、商品選択の上でそのことを考慮に入れる一方、実際には事業者の表示であるにもかかわらず、第三者の表示であると誤認する場合、その表示内容にある程度の誇張・誇大が含まれることはあり得ると考えないことになり、この点において、一般消費者の商品選択における自主的かつ合理的な選択が阻害されるおそれがある(本運用基準1頁)と分析しています。現行の景品表示法が禁止する表示内容についての優良誤認表示(5条1号)又は取引条件についての有利誤認表示(同条2号)のいずれにも該当しないとしても、ステマのように表示主体を誤認させて景品表示法の目的を害する行為については、景品表示法5条3号の告示に新たに指定することによって同法の規制対象とすることが妥当であると結論づけました(本報告書25頁(以下の『図11:ステルスマーケティングに対する景品表示法の適用関係』も参照)及び35頁)。その後、パブリックコメント(令和5年3月28日付「別添「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」告示案及び「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」運用基準案に関する御意見の概要及び当該御意見に対する考え方」*6(以下、「パブコメ回答」といいます。))を経て、本告示及び本運用基準が制定されるに至りました。

図表: ステルスマーケティングに対する景品表示法の適用関係

2. 本告示の概要

本告示は、①「事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示」(以下「要件①」といいます。)と②「一般消費者が当該表示であることを判別することが困難であると認められるもの」(以下「要件②」といいます。)の2つの要件から構成されています。以下、要件ごとに概説します。

要件①「事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示」

要件①の判断基準
本告示は、一般消費者に事業者の表示ではないと誤認される又は誤認されるおそれがある表示を規制するものです。そのため、規制対象となる表示とは、外形上第三者の表示のように見えるものの、その実態は事業者の表示であるものが前提となります。事業者の表示に該当するかについては、「事業者が表示内容の決定に関与したと認められる、つまり、客観的な状況に基づき、第三者の自主的な意思による表示内容と認められない場合」(本運用基準2頁)に該当するかで判断されます。

以下では、本運用基準の整理に従って、「事業者が自ら行う表示」と「事業者が第三者をして行わせる表示」に分けた上で、「事業者が表示内容の決定に関与したと認められる」かの判断につき、その考え方、考慮要素、該当する具体的事例について概説します。

(1)事業者が表示内容の決定に関与したとされるものについて

ア 事業者が自ら行う表示について

(i) 考え方
「事業者が自ら行う表示」(傍点は筆者)と評価されるカテゴリーとして典型的なものとしては、事業者と一定の関係性を有し、事業者と一体と認められる事業者の役員・従業員やグループ会社の従業員等が行った表示が「事業者の表示」に該当するものと考えられますが、これらの該当性については、例えば(ⅱ)項のように、従業員の地位、権限、担当業務、表示目的等の実態を踏まえて「事業者が表示内容の決定に関与した」か、総合的に考慮して判断されます(本運用基準第2の1(1)イ)。

(ii) 考慮要素

  • 地位:事業者の従業員が表示した事業者の商品又は役務の販売を促進することが必要とされる地位にあるか
  • 権限:他の従業員に表示を指示できる立場にあるか
  • 担当業務:プロモーションを担当しているか
  • 表示目的等の実態:当該商品又は役務の販売を促進する目的を有し、販売促進のための表示を行っているか

(iii) 該当する具体的な事例

  • 事業者の子会社等の従業員で、当該事業者の商品の販売担当チームの一員が、当該商品の販売を促進する目的で当該商品の品質の優良さについて言及する表示を行う場合(本運用基準第2の1(1)イ(ア)参照)

イ 事業者が第三者をして行わせる表示について

(i) 考え方

事業者が第三者の表示内容の決定に関与している場合、「事業者が第三者をして行わせる表示」(傍点は筆者)は事業者の表示に該当します。この「第三者をして行わせる」とは、必ずしも事業者が第三者に対してある内容の表示を行うよう明示的に依頼・指示していない場合であっても、事業者と第三者との間に事業者が第三者の表示内容を決定できる程度の関係性があり、客観的な状況に基づき、第三者の表示内容について、事業者と第三者との間に第三者の自主的な意思による表示内容とは認められない関係性がある場合には、事業者が表示内容の決定に関与した表示に該当すると判断されます。具体的には、以下の実態も踏まえ総合的に考慮し判断されます(本運用基準第2の1(2)イ)。

(ii) 考慮要素

  • 事業者と第三者との間の具体的なやり取りの態様や内容(例えば、メール、口頭、送付状等の内容)
  • 事業者が第三者に提供する対価の内容(金銭・物品に限らず、イベント招待等のきょう応といった対価性を有する一切のものが含まれる)
  • 対価を提供する主な理由(宣伝目的等)
  • 事業者と第三者の関係性の状況(例えば、過去の取引関係やその継続期間、将来の取引関係やその見込まれる継続期間)

(iii) 該当する具体的な事例

  • EC(電子商取引)サイトに出店する事業者が、いわゆるブローカー(レビュー等をSNS等において募集する者)や自らの商品の購入者に依頼して、購入した商品について、当該ECサイトのレビューを通じて表示させる場合(本運用基準第2の1(2)ア(イ))
  • 事業者が第三者に対してSNSへの投稿を明示的に依頼しないものの、当該第三者が事業者の商品についてSNSに投稿した場合には自社の商品を無償で提供する可能性があることについて事業者が言及し、その結果当該第三者が当該商品についての表示を行った場合(本運用基準第2の1(2)イ(イ)参照)
(2)事業者が表示内容の決定に関与したとされないものについて

(i) 考え方

事業者が第三者の表示に関与したとしても、客観的な状況に基づき、第三者の自主的な意思による表示内容と認められるものであれば、事業者の表示には当たらないとされます。「客観的な状況に基づき、第三者の自主的な意思による表示内容と認められる場合」に該当するかは、例えば以下の事情を考慮し判断され(本運用基準第2の2)、以下のような事情が無ければ、事業者が表示内容の決定に関与していないという方向に傾くことになります。

(ii) 考慮要素

  • 第三者と事業者との間で表示内容について情報のやり取りが直接又は間接的に一切行われていないか
  • 事業者から第三者に対し、表示内容に関する依頼や指示がなされていないか
  • 事業者と第三者との間に事業者が第三者の表示内容を決定できる程度の関係性はなかったか(例えば、過去の取引関係やその継続期間、将来の取引関係やその見込まれる継続期間等。表示の対象となった商品又は役務の特性等の事情を考慮して判断する)

(iii) 該当する具体的な事例

  • ECサイトに出店する事業者が自らの商品の購入者に対して当該ECサイトのレビュー機能による投稿に対する謝礼として、次回割引クーポン等を配布する場合であっても、当該事業者(当該事業者から委託を受けた仲介事業者を含む。)と当該購入者との間で、当該購入者の投稿(表示)内容について情報のやり取りが直接又は間接的に一切行われておらず、客観的な状況に基づき、当該購入者が自主的な意思により投稿(表示)の内容を決定したと認められる投稿(表示)を行う場合(本運用基準第2の2(1)オ)

要件②「一般消費者が当該表示であることを判別することが困難であると認められるもの」

要件②の判断基準
本告示は、一般消費者に事業者の表示ではないと誤認される又は誤認されるおそれがある表示を規制するものであることから、一般消費者にとって、表示内容全体から事業者の表示であることが明瞭である又は社会通念上明らかな場合は要件②に該当しないこととなります(本運用基準第3の2(2)柱書)。例えば、以下の(1)及び(2)に記載されたように、事業者の表示であることが記載されていなかったり、不明瞭な方法で記載されるにとどまったりするケースでは、一般消費者にとって事業者の表示であることが明瞭でないため要件②に該当する可能性が高いものと考えられます。

(1)事業者の表示であることが記載されていないもの

該当する例:

  • アフィリエイト広告において、アフィリエイトサイトに事業者の表示であることを記載していない場合(なお、例えば、ランキングサイトや価格比較サイト等の複数の商品又は役務に関する情報等を比較するアフィリエイトサイトにおいては、アフィリエイトサイト自体が一般消費者にとって事業者の表示であることが明瞭となっている限り、掲載されている全ての商品又は役務に対して事業者の表示であることを記載する必要はないとされます)(本運用基準第3の1(1)イ)

(2)事業者の表示であることが不明瞭な方法で記載されているもの

該当する例:

  • 表示中の文章に「広告」と「これは第三者として感想を記載しています。」との文言が混在している場合(本運用基準第3の1(2)イ参照)
  • 一般消費者が認識できない又は認識しにくい方法で当該事業者の表示であることを示す場合(動画中、一般消費者が認識できないほど短い時間や動画の冒頭以外(中盤等)における「広告」という文言の表示等)(本運用基準第3の1(2)ウ参照)
  • SNSの投稿で大量のハッシュタグ(SNSにおいて特定の話題を示すための記号をいう。「#」が用いられる。)を付した文章の記載の中に「PR」等の表示を埋もれさせる場合(本運用基準第3の1(2)ク参照)

3. 罰則

本告示を含め、景品表示法5条で禁止される不当表示を行った事業者は、行為の差止めや一般消費者に生じた誤認を排除するための措置を命じる措置命令の対象となります(同法7条1項)。また、措置命令に従わない者には、2年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科され、情状により、懲役と罰金が併科されることがあり(同法36条)、法人等にも3億円以下の罰金が科されることがあります(同法38条)。

4. おわりに

本告示が施行される令和5年10月1日に向け、事業者は自社が関係する表示が本告示の規制する不当表示に該当しないように、社内及び第三者との間で採るべき対応策について検討することが求められます。

なお、消費者庁は効果的な周知・広報活動の観点から、本告示の制定後においてQ&Aなどを作成する可能性もあるとしています(パブコメ回答185番)。本運用基準を読んだだけでは本告示の内容や個別具体的な事案において本告示の規制対象となるか否かについて必ずしも明確とはいえない部分もあることから、具体的な対応策の要否及び内容の検討に当たっては、消費者庁により作成されるQ&Aを含め、引き続き今後の情報のアップデートを注視する必要があります。

トピック2: 名古屋自動車学校事件(定年前後の労働条件の相違が同一労働同一賃金に違反するか争われた事件)(最判令和5年7月20日)の解説

厚生労働省は、2018年12月に「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針」いわゆる同一労働同一賃金のガイドライン(以下「本ガイドライン」といいます。)を公表するとともに、その後、短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成5年法律第76号、以下「パートタイム・有期雇用労働法」といいます。)の改正が行われるなど、同一労働同一賃金の実現に向けた動きが活発化しています。

そのような中、今回取り上げる名古屋自動車学校事件(以下「本事件」といいます。)は、定年退職後の嘱託職員の基本給に関する同一労働同一賃金が争点となったこと*7、さらに第一審(名古屋地判令和2年10月28日労働判例1233号5頁)及び控訴審(名古屋高判令和4年3月25日、以下「控訴審」といいます。)では、定年退職時の基本給の60%を下回る限度で不合理な相違であると判断し、実務への影響への懸念から注目を浴びた事件といえます。

そこで、本稿では、上告審である最高裁判決(最判令和5年7月20日(裁判所ウェブサイト掲載))(以下「本判決」といいます。)について、その概要を示すとともに、今後の展望について解説します。

1. 本判決の内容

(1)事案の概要

本事件は、自動車学校(以下「上告人」といいます。)において、かつて期間の定めのない労働契約(以下「無期労働契約」といいます。)を締結し、正職員として教習指導員の業務に従事していた者(以下「被上告人」といいます。)が、定年退職後、期間の定めのある労働契約(以下「有期労働契約」といいます。)を締結し、嘱託職員として従事したところ、有期労働契約における基本給と、無期労働契約を締結している労働者の基本給との相違が、労働契約法(平成30年法律第71号による改正前のもの。以下同じ。)(以下「労契法」といいます。)20条に違反するものであると主張し、不法行為等に基づき、当該相違に係る差額について、損害賠償等を求めた事案です。

(2)控訴審の判断

控訴審は、概要以下の事実を認定して、定年退職時の基本給の60%を下回る部分について、当該相違を労契法20条違反に該当すると判断しました。

【認定した事実の概要】

  • 上告人の就業規則等によれば、正職員の賃金は、月給制であり、基本給、役付手当等で構成され、基本給は一律給と功績給から成っていたこと。
  • 上告人は、嘱託職員の労働条件について、正職員に適用される就業規則等とは別に、嘱託規程を設けており、嘱託規程においては、嘱託職員の賃金体系は勤務形態によりその都度決め、賃金額は経歴、年齢その他の実態を考慮して決める旨や、再雇用後は役職に就かない旨等が定められていたこと。

【判断の概要】

被上告人については、定年退職の前後を通じて、主任の役職を退任したことを除き、業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度並びに当該職務の内容及び配置の変更の範囲に相違がなかったにもかかわらず、嘱託職員である被上告人らの基本給及び嘱託職員一時金の額は、定年退職時の正職員としての基本給及び賞与の額を大きく下回り、正職員の基本給に勤続年数に応じて増加する年功的性格があることから金額が抑制される傾向にある勤続短期正職員の基本給及び賞与の額をも下回っている。このような帰結は、労使自治が反映された結果でなく、労働者の生活保障の観点からも看過し難いことなどに鑑みると、正職員と嘱託職員である被上告人らとの間における労働条件の相違のうち、被上告人らの基本給が被上告人らの定年退職時の基本給の額の60%を下回る部分、及び被上告人らの嘱託職員一時金が被上告人らの定年退職時の基本給の60%に所定の掛け率を乗じて得た額を下回る部分は、労契法20条にいう不合理と認められるものに当たる。

(3)本判決

上記のとおり、被上告人の請求を一部認容した原審に対し、上告審である最高裁は、概要以下のとおり判断し(下線は筆者ら加筆)、原審に差し戻すこととしました*8

①労契法20条は、有期労働契約を締結している労働者と無期労働契約を締結している労働者の労働条件の格差が問題となっていたこと等を踏まえ、有期労働契約を締結している労働者の公正な処遇を図るため、その労働条件につき、期間の定めがあることにより不合理なものとすることを禁止したものであり、両者の間の労働条件の相違が基本給や賞与の支給に係るものであったとしても、それが同条にいう不合理と認められるものに当たる場合はあり得るものと考えられる。もっとも、その判断に当たっては、他の労働条件の相違と同様に、当該使用者における基本給及び賞与の性質やこれらを支給することとされた目的を踏まえて同条所定の諸事情を考慮することにより、当該労働条件の相違が不合理と評価することができるものであるか否かを検討すべきものである。

②前記事実関係によれば、管理職以外の正職員のうち所定の資格の取得から1年以上勤務した者の基本給の額について、勤続年数による差異が大きいとまではいえないことからすると、正職員の基本給は、勤続年数に応じて額が定められる勤続給としての性質のみを有するということはできず、職務の内容に応じて額が定められる職務給としての性質をも有するものとみる余地がある。他方で、正職員については、長期雇用を前提として、役職に就き、昇進することが想定されていたところ、一部の正職員には役付手当が別途支給されていたものの、その支給額は明らかでないこと、正職員の基本給には功績給も含まれていることなどに照らすと、その基本給は、職務遂行能力に応じて額が定められる職能給としての性質を有するものとみる余地もある。そして、前記事実関係からは、正職員に対して、上記のように様々な性質を有する可能性がある基本給を支給することとされた目的を確定することもできない。

③また、前記事実関係によれば、嘱託職員は定年退職後再雇用された者であって、役職に就くことが想定されていないことに加え、その基本給が正職員の基本給とは異なる基準の下で支給され、被上告人らの嘱託職員としての基本給が勤続年数に応じて増額されることもなかったこと等からすると、嘱託職員の基本給は、正職員の基本給とは異なる性質や支給の目的を有するものとみるべきである。しかるに、原審は、正職員の基本給につき、一部の者の勤続年数に応じた金額の推移から年功的性格を有するものであったとするにとどまり、他の性質の有無及び内容並びに支給の目的を検討せず、また、嘱託職員の基本給についても、その性質及び支給の目的を何ら検討していない。

2. 本判決の意義

(1)判断基準について

上記①のとおり、本判決は、労契法20条の不合理性の判断基準について、基本給の性質や目的を考慮することを明示しています。これは、メトロコマース事件最高裁判決(最判令和2年10月13日・民集74巻7号1901頁)の枠組みを踏襲したものであり、基本給についても、同様の判断枠組みを用いることが明言されたという点に意義があります。

(2)基本給の性質について

上記②のとおり、本判決は、基本給について、(i)勤続給、(ii)職務給及び(iii)職能給としての性質があり得ること、及び、その内どれかの側面のみを有するものではない可能性があることを示唆しています。この点は、本ガイドライン第3の1の内容と整合するものといえます。

さらに、本判決は、勤続年数による基本給の差異について、「差異が大きいとまではいえない」と判断し、勤続給としての性質のみを有するわけではないとしていることから、勤続給としての性質を判断する際は、勤続年数による基本給の差異の大小まで考慮する必要があることが示唆されます。

3. 差戻し審における争点

上記③のとおり、本判決は、正職員の基本給について、(勤続給としての性質以外の)性質及びその目的を検討していないこと、並びに嘱託職員の基本給について、性質及びその支給の目的を検討していないことを理由として、原審に差し戻しています。したがって、差戻し審においては、これらの性質及び支給の目的が争点となるといえます。

ここで、仮に最高裁の指摘するとおり、正職員の基本給について勤続給、職務給及び職能給が組み合わされた形で制度設計されていると認定された場合、それぞれの部分について嘱託職員との均等・均衡を図り、これらを足し合わせて全体として均等・均衡を判断することが考えられます*9

もっとも、最高裁も指摘するとおり、嘱託職員の基本給について、正職員の基本給とは異なる性質や支給の目的を有することが認定された場合、上述の割合に応じて足し合わせる方法は馴染まず、正職員と嘱託職員の職務の内容・当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものの客観的及び具体的な実態に照らして判断すること*10、又はそれ以外の基準により判断されることが想定されます。

4. おわりに

上記のとおり、本判決は、正職員及び嘱託職員の基本給の性質及び支給の目的について、差戻し審における認定を求めるものであり、引き続き差戻し審の認定及びそれに基づく判断に注目する必要があります。

トピック3:不正競争防止法等の一部を改正する法律の概要―デジタル化に伴うブランド・デザイン等の保護強化―

2023年6月7日、「不正競争防止法等の一部を改正する法律」が可決・成立し、同月14日に令和5年法律第51号として公布されました(以下、当該法律による不正競争防止法等の改正を、「本改正」といいます)*11

本改正は、知的財産の分野におけるデジタル化や国際化の更なる進展などの環境変化を踏まえ、スタートアップ・中小企業等による知的財産を活用した新規事業展開を後押しするなど、時代の要請に対応した知的財産制度の見直しが必要であるという考え方を背景としています。本改正では、デジタル化に伴う事業活動の多様化を踏まえたブランド・デザイン等の保護強化等の観点*12から、不正競争防止法、商標法、意匠法、特許法、実用新案法及び工業所有権特例法が改正されました。

本稿では、本改正のうち、特に不正競争法防止法に関して、①デジタル空間における模倣行為の禁止(後記1.)及び②営業秘密・限定提供データの保護の強化(限定提供データの定義の明確化、損害賠償額算定規定の拡充及び使用等の推定規定の拡充。後記2.)について概説します。

1. デジタル空間における模倣行為の禁止

不正競争防止法(以下「不競法」といいます。)では、他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡等する行為(以下「形態模倣商品提供行為」といいます。)を「不正競争」として規制しています*13(不競法2条1項3号)。

昨今、メタバース等のデジタル空間における経済取引が活発化しており、従来、現実空間で行われてきた事業のデジタル化が加速しているところ、現実空間とデジタル空間を交錯する知的財産の利用の加速が想定されています。このような状況下では、例えば、ファッションブランドが現実世界で販売する衣服やバッグ等のアイテムが、メタバース空間で模倣されて販売されるといったことも想定されます。

現行の不競法では、形態模倣商品提供行為の規制対象として、①現実空間で行われる、②有体物の商品を提供する行為が想定されています。そして、上記①に関してデジタル空間上での商品の提供行為が規制に含まれるか、また、上記②に関して無体物が規制の対象となる「商品」に含まれるかについては、法解釈上疑義があります*14

そこで、形態模倣商品提供行為に係る不正競争の規制の対象を明確にし、現実空間・デジタル空間を交錯する模倣事例に対応するために、不競法2条1項3号が以下のとおり改正されました。

【現行法】

(定義)
第二条 この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。

(略)
三 他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。)を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、又は輸入する行為

【本改正後】

(定義)
第二条 この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。

(略)
三 他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。)を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為

※下線部は筆者ら

上記①に関して、本改正により、商品を「電気通信回線を通じて提供」する行為が対象行為に追加され、デジタル空間上の商品の提供行為も規制対象となることが明確にされました*15

一方で、上記②に関して、「商品」に無体物を含むことを明確にする改正は行われませんでした。これは、不競法において「商品」の定義を定めると、不競法上の他の「商品」の規定にも影響を与える可能性があることや、他の法令に参考となるような用例が見当たらないといった技術的な理由によるものです。この点については、経済産業省が公表している逐条解説*16等に、「商品」に無体物が含まれると記載することで解釈を明確化することが提案されています*17

本稿執筆時の2023年9月14日時点では逐条解説の更新は行われていませんが、上記①の改正と合わせて、今後は「商品」に無体物が含まれると解釈されることを前提として、デジタル空間上の商品の提供行為が禁止されることになるものと考えます*18

2. 営業秘密・限定提供データの保護の強化

(1) 限定提供データの定義の明確化

本改正に先立つ平成30年改正*19において、不競法に「限定提供データ」に係る規律が追加されました。これは、データが企業の競争力の源泉としての価値を増していることを背景に、ビッグデータ(気象データ、地図データ、機械稼働データ、消費動向データ等)の創出、収集、分析、管理等の投資に見合った適正な対価回収が可能な環境を整備することを目的としたものです。具体的には、商品として広く提供されるデータや、コンソーシアム内で共有されるデータなど、事業者等が取引等を通じて第三者に提供するデータを念頭に、「限定提供データ」(不競法2条7項)が定義され、限定提供データに係る不正取得、使用、開示行為が「不正競争」として位置付けられました*20(不競法2条1項11号~16号)。

限定提供データに係る規律では、営業秘密と限定提供データの両制度による保護の重複を避けるために、限定提供データの保護対象から、営業秘密の要件の1つである「秘密として管理されているもの」を除外しています*21(不競法2条7項)。この適用除外によって、「秘密として管理されていない」が「公然と知られている」情報は限定提供データとして保護されることになります。一方で、「秘密として管理されている」が「公然と知られている」情報は、限定提供データとしても営業秘密としても保護されないという、保護の隙間が生じてしまっています。保護の隙間が生じる具体的な例としては、「企業Xが、秘密として管理しているデータについて、秘密保持義務を課した上で他社へのライセンスを始めたが、ある時点で、ライセンス先であるA社が当該秘密保持義務に違反して、当該データを公開し、当該データが公知となってしまった場合」が挙げられます*22

このような保護の隙間を埋めるために、本改正では、限定提供データの保護範囲に関して、「秘密として管理されているものを除く」との適用除外の要件が、「営業秘密を除く」との要件に改正されました。

【現行法】

(定義)
第二条

(略)
7 この法律において「限定提供データ」とは、業として特定の者に提供する情報として電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他人の知覚によっては認識することができない方法をいう。次項において同じ。)により相当量蓄積され、及び管理されている技術上又は営業上の情報(秘密として管理されているものを除く。)をいう。

【本改正後】

(定義)
第二条

(略)
7 この法律において「限定提供データ」とは、業として特定の者に提供する情報として電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他人の知覚によっては認識することができない方法をいう。次項において同じ。)により相当量蓄積され、及び管理されている技術上又は営業上の情報(営業秘密を除く。)をいう。

※下線部は筆者ら

これによって、限定提供データの保護が「秘密管理されている情報(のうち公知な情報)」にも拡充されることになり、事業者にとっては、限定提供データと営業秘密との一体的な情報管理が可能となりました*23

(2) 損害賠償額算定規定の拡充

不正競争によって生じる損害額(逸失利益)については、侵害行為と侵害との因果関係が明らかではない場合が多く、立証が困難であるため、不競法では、従前から損害賠償額の算定規定が設けられています(不競法5条各項)。このうち、不競法5条1項は、損害額を原則として「侵害品の販売数量×被侵害者の1個当たりの利益」と推定して算定することで、被侵害者の立証負担を軽減しています。もっとも、現行法では、被侵害者の生産・販売能力超過分の損害額の請求は否定されています(同項本文及びただし書き)。

この点について、同項と同趣旨の特許法102条1項については、令和元年特許法改正*24により、侵害者が得た利益のうち、権利者の生産・販売能力等を超えるとして賠償が否定されていた部分について、特許権等をライセンスしたとみなして損害賠償を請求できる旨の改正がなされています。

そこで、不競法5条1項についても、本改正により、損害賠償額の算定に当たって「販売数量の減少による逸失利益」のみならず「ライセンス機会の喪失による逸失利益」も含める旨の改正がなされました。これは、不競法においても、営業秘密等について、営業秘密保有者等が自ら当該営業秘密等を使用等すると同時に、ライセンスして利益を得ることができる場合もあることを考慮したものです*25

また、上記の改正と併せて、本改正により、現行法では「物を譲渡」する場合に限定されていた対象を、デジタル化に伴うビジネス多様化を踏まえ、「データや役務を提供」する場合にも拡充する旨の改正もなされました。

(3) 使用等の推定規定の拡充

不競法では、営業秘密を「取得」、「使用」及び「開示」する行為が「不正競争」として、規制の対象とされています(不競法2条1項4号~9号)。このうち、特に営業秘密を「使用」する行為は侵害者の内部で行われるため、被侵害者が、侵害者が実際に営業秘密を使用したことを立証することは困難です。そのため、現行法では、侵害者が営業秘密を不正取得し、かつ、当該営業秘密を使用すれば生産できる製品を生産している場合には、侵害者が当該営業秘密を使用したと推定する旨の規定(以下「使用等の推定規定」といいます。)が設けられています(不競法5条の2)。

ここで、不競法では、営業秘密の侵害行為は、①不正取得類型(不競法2条1項4号)、②正当取得類型(同条7項)、③取得時悪意重過失の転得類型(同項5号・8号)及び④取得時善意無重過失の転得類型(同項6号・9号)の4類型に分類されているところ(各類型の対象者の例については後記の図表をご参照ください)、使用等の推定規定の適用対象は、このうち、上記①の不正取得類型及び上記③の取得時悪意重過失の転得類型に限定されています(不競法5条の2)。

類型 対象者の例 使用等の推定規定の適用有無
現行法 本改正後

①不正取得類型

産業スパイ等の営業秘密へのアクセス権限がない者

②正当取得類型 元従業員やライセンシー等の元々営業秘密へのアクセス権がある者 一定の要件を満たす場合には有
※営業秘密が記録された媒体等を許可なく複製等(領得*26)した場合等
③取得時悪意重過失転得類型 不正に取得等した者から、その不正な経緯を知った上で転得した者
④取得時善意無重過失転得類型 不正な経緯を知らずに転得したがその経緯を事後的に知った者 一定の要件を満たす場合には有
※警告書等が届く等により、不正な経緯を事後的に知ったにもかかわらず記録媒体等を削除等しなかった場合等

もっとも、上記②の正当取得類型に関してはオープン・イノベーションが進む中で取引相手方に営業秘密を開示する事例も増加していることや、上記④の取得時善意無重過失転得類型に関しては転職者による持出とその後に転職先企業へ持ち込まれている事例も少なくないことから、対象類型を拡充すべきではないかという課題がありました*27

そこで、本改正では、一定の要件(上記の図表をご参照ください。)を満たす場合には、上記②及び上記④の類型についても、使用等の推定規定が適用されるよう改正がなされました。

これにより、被侵害者としては、侵害者による使用行為の立証がより容易になります。一方で、競合企業から転職者を受け入れる場合、競業企業の情報を持ち込ませないための対策を行う、情報の持込が発覚した場合の対応について整理を行うなど、情報の持込については、従前以上に、より一層注意を払う必要があります。

3. おわりに

デジタル化に伴い事業活動が多様化する中で、従前の法規制・法制度についても見直しが図られています。本稿では、その一部として、本改正のうち、特に企業にとって影響が大きいと思われる不正競争防止法に関する改正内容を紹介しました。本改正の過程において課題として指摘されたにもかかわらず、本改正での対応は見送られた論点も複数ありますが、このような論点についても前掲注5・不正競争防止小委員会報告書において一定の解釈の方向性が示されており、ここでの議論は今後の実務的な対応を検討する指針としても参考になります。

特に営業秘密や限定提供データに関する不正競争行為については、他者の権利を侵害した場合の侵害額が大きくなることも多く、また、企業のレピュテーションにも影響し得る重要な問題です。常に最新の情報に基づき実務上の対応を検討する必要があるため、今後の議論を注視していく必要があります。

※記事の詳細については、以下よりPDFをダウンロードしてご覧ください。

*1 https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_cms216_230328_02.pdf

*2 施行日前から継続する表示について、「事業者が施行日前に第三者に行わせた表示であっても、施行日後も、当該表示の作成者と連絡がつくなど事業者が表示を管理できる状態にあるなど施行日後において事業者の表示であると判断される実態にある場合は、施行日後の表示が本告示の対象となる可能性があります。」とされている点には留意を要します(パブコメ回答194番)。

*3 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/meeting_materials/review_meeting_005/assets/representation_cms216_221228_03.pdf

*4 消費者庁は2022年9月から全8回にわたって「ステルスマーケティングに関する検討会」(以下「検討会」といいます。)を開催しました。

*5 https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_cms216_230328_03.pdf

*6 https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_cms216_230328_04.pdf

*7 実際には、基本給以外にも賞与や皆精勤手当、敢闘賞及び家族手当等が争点となりましたが、紙面の都合上、本記事では基本給に係る争点のみ取り扱います。

*8 実際には、労契法20条における「その他の事情」として、労使交渉の経緯についても考慮すべきことが指摘されましたが、紙面の都合上、かかる論点については省略します。

*9 水町勇一郎・新版「「同一労働同一賃金」のすべて」(有斐閣、2019年)99頁

*10 本ガイドライン第3の1(注)1参照

*11 本改正の施行日は、一部の規定を除き、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日とされています。

*12 本文で言及した(1)デジタル化に伴う事業活動の多様化を踏まえたブランド・デザイン等の保護強化のほか、(2)コロナ禍・デジタル化に対応した知的財産手続等の整備及び(3)国際的な事業展開に関する制度整備の3つの観点が本改正の柱とされています。本改正のうち、本稿で紹介するもの以外の改正内容については、以下の経済産業省ウェブサイトやリンク(https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/kaisei_recent.html)先の資料をご参照ください。

*13 不正競争に関する規律は、概ね以下のとおりです。①不正競争行為によって営業上の利益を侵害される(おそれがある)者は、侵害者に対して、その侵害の停止(予防)を請求することができます(不競法3条)。また、②不正競争に係る損害賠償として、故意・過失による不正競争行為によって営業上の利益を侵害された者は、侵害者に対して、これによって生じた損害の賠償を請求することができます(不競法4条)。さらに、③一定の不正競争行為については刑事罰の対象とされています(不競法21条)。

*14「商品」の解釈については、裁判例でも、有体物のみを含むという考え方(東京高判昭和57年4月28日判時1057号43頁)と、無体物も含むという考え方(東京地判平成30年8月17日平成29年(ワ)第21145号)の両方が存在しています。

*15 周知表示混同惹起行為(不競法2条1項1号)及び著名表示冒用行為(同項2号)については、平成15年改正時に、ネットワーク上の「譲渡」、「引き渡し」行為が「不正競争」として規制されることを明確化するために、「電気通信回線を通じて提供」する行為が規制の対象として規定されました。一方、形態模倣商品提供行為(同項3号)については、対象が「商品の形態」と規定され従来から有体物の商品に限定した規定であると解されていたことから、ネットワーク上の「譲渡」、「引き渡し」行為は想定できないとして、当時は改正が見送られていました(産業構造審議会 知的財産分科会 不正競争防止小委員会「デジタル化に伴うビジネスの多様化を踏まえた不正競争防止法の在り方」(令和5年3月)(https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/chiteki_zaisan/fusei_kyoso/pdf/20230310_1.pdf)(以下「不正競争防止小委員会報告書」といいます。)7-8頁)。今回の改正はこの点について対応するものです。

*16 本稿作成時の2023年9月14日時点では、令和元年7月1日施行版が公表されています(経済産業省知的財産政策室編「逐条解説不正競争防止法(令和元年7月1日施行版)」)(https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/20190701Chikujyou.pdf)。

*17 前掲注15・不正競争防止小委員会報告書8頁

*18 なお、本改正に当たっては、形態模倣商品提供行為に係る不正競争の保護期間を伸長するかどうかについても議論がなされました。すなわち、保護期間について、現行法では、「日本国内において最初に販売された日から起算して3年」とされているところ(不競法19条1項5号イ)、当該保護期間を伸長すべきではないかという議論です。その背景には、保護期間の起算点である「日本国内において最初に販売された日」を「展示会等宣伝活動の開始時」とする考え方があるところ(知財高判平成28年11月30日判時2338号96頁)、当該考え方に従い保護期間を展示会等による公表から3年とすると、特にファッション業界では公表から実際の販売まで半年から1年程度の期間を要することも多いため、実質的な保護期間が短くなるという問題意識があります。この点については本改正による対応は行われませんでしたが、保護期間の起算点を「実際の販売開始時」と解釈することについて逐条解説等で明確化すること等が提案されています(前掲注15・不正競争防止小委員会報告書9頁)。

*19 不正競争防止法等の一部を改正する法律(平成30年法律第33号)による不正競争防止法の改正をいう。

*20 限定提供データとは、①限定提供性、②電磁的管理性、③相当量蓄積性の要件を満たす技術上・営業上の情報をいいます。「限定提供データ」に係る規律の追加の背景について、経済産業省「限定提供データに関する指針」(平成31年1月23日、最終改訂令和4年5月)6頁参照。https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/guideline/h31pd.pdf

*21 営業秘密として保護される情報は、①秘密として管理されていること(秘密管理性)、②事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であること(有用性)、③公然と知られていないこと(非公知性)の3つの要件を満たす必要があります(不競法2条6項)。

*22 前掲注15・不正競争防止小委員会報告書11頁

*23 経済産業政策局 知的財産政策室 特許庁 制度審議室「不正競争防止法等の一部を改正する法律【知財一括法】の概要」8頁

*24 特許法等の一部を改正する法律(令和元年法律第3号)による特許法の改正をいう。

*25 前掲注15・不正競争防止小委員会報告書19頁

*26 不競法21条1項3号の刑事罰の対象となる領得行為

*27 前掲注15・不正競争防止小委員会報告書23頁

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執筆者

茂木 諭

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