
不平等・社会関連財務情報開示タスクフォース(TISFD)の発足 ESG/サステナビリティ関連法務ニュースレター(2025年3月)
2024年9月23日に発足した、不平等・社会関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Inequality and Social-related Financial Disclosures:TISFD)の概要について説明します。
PwC弁護士法人のタックス ローヤー(税法を専門とする弁護士)は、税務コンプライアンスを意識した経営を志向される企業の皆様のニーズに応えるため、付加価値の高い総合的なプロフェッショナルタックスサービス(税務アドバイス、事前照会支援、税務調査対応、税務争訟代理等)を提供しています。PwC Legal Tax Newsletterでは、当法人のタックスローヤーが、企業の取引実務や税務上の取り扱いに影響し得る税務に関する裁判例・裁決例その他税法に関するトピックを取り上げて、その内容の紹介や解説をします。
今回は、タックス・ヘイブン対策税制に関して、法律の委任を受けて制定された政令(委任命令)をそのまま適用した場合には経済実態にそぐわないとも考えられる課税処分がなされた案件において、当該委任命令が法律の委任を逸脱して違法無効となるか否かが争点となり、納税者が敗訴した最判令和5年11月6日民集77巻8号1933頁(以下「本件最高裁判決」といいます)を紹介します。なお、本件最高裁判決の第1審である東京地判令和3年3月16日民集77巻8号2002頁(以下「本件地裁判決」といいます)では納税者が敗訴し、第2審(控訴審)である東京高判令和4年3月10日民集77巻8号2052頁(以下「本件高裁判決」といいます)では納税者が勝訴しています。
内国法人である原告(控訴人、被上告人=附帯上告人)X社は、2015年4月1日から2016年3月31日までのX社の事業年度(以下「本件事業年度」といいます)に関して、租税特別措置法(平成29年法律第4号による改正前のもの)(以下「措置法」といいます)66条の6第1項の規定(タックス・ヘイブン対策税制)により、X社に係る特定外国子会社等に該当する、ケイマン諸島において設立されたX社の子会社(以下「本件子会社」といいます)の所得に基づき法令所定の基準により計算される金額(課税対象金額)に相当する金額がX社の所得の計算上、益金の額に算入されるなどとして、法人税の増額更正処分など*1を受けたことから、その取消しを求めて訴え(以下「本件訴え」といいます)を提起しました。
以下、本件を理解するために必要な範囲で、(1)関係法令の定め、及び、(2)事実関係について、説明します。
① 措置法
措置法66条の6第1項(以下「本件委任規定」といいます)は、同項各号に掲げる内国法人に係る特定外国子会社等が、各事業年度において適用対象金額(会計上の税引き前利益に相当する基準所得金額に所定の調整を加えた金額*2)を有する場合、当該適用対象金額のうち、当該内国法人の有する当該特定外国子会社等の直接及び間接保有の株式等(株式又は出資をいいます。以下同じ。)の数に対応するものとして当該株式等の請求権(剰余金の配当等、財産の分配その他の経済的な利益の給付を請求する権利をいいます。以下同じ。)の内容を勘案して政令で定めるところにより計算した金額(以下「課税対象金額」といいます)に相当する金額を、当該各事業年度の終了の翌日から2月を経過する日を含む当該内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入する旨を規定していました。
② 措置法施行令
本件委任規定の委任を受け、租税特別措置法施行令(平成29年政令第114号による改正前のもの)(以下「措置法施行令」といいます)39条の16第1項(以下「本件規定」といいます)は、「課税対象金額」について、特定外国子会社等の事業年度の終了時点を基準として、以下の算式で計算する旨を規定していました。
なお、上記「請求権勘案保有株式等」とは、措置法施行令39条の16第2項1号において、内国法人が直接に有する外国法人の株式等の数又は金額等をいい、当該外国法人が請求権の内容が異なる株式等を発行している場合には、当該外国法人の発行済株式等に、当該内国法人が当該請求権に基づき受けることができる剰余金の配当等の額がその総額のうちに占める割合を乗じて計算した数又は金額等をいうと定められていました。
① X社及び本件子会社の事業年度
本件訴えにおいて問題となったX社及び本件子会社の事業年度は、それぞれ以下のとおりです。
X社 | 2015.4.1~2016.3.31 |
本件子会社 | 2014.12.30~2015.12.3(以下「本件子会社事業年度」といいます) |
② 資金調達スキーム
X社が本件子会社の普通株式の全部を保有していたところ、2008年12月29日、本件子会社は、以下の優先出資証券の発行及び劣後ローンによる金銭の貸付けを行いました。
(a) 優先出資証券の発行
本件子会社は、X社グループのホールディングカンパニーの100%子会社であるケイマン法人(以下「本件ケイマン法人」といいます)に対して、額面1億円の優先出資証券(以下「本件優先出資証券」といいます。)を発行しました(なお、本件ケイマン法人は、同日、投資家に対して同額の優先出資証券を発行しています)。
本件優先出資証券の保有者は、原則として、普通株主に優先して配当受領権を有する一方、議決権を有しないものとされていました。
(b) 劣後ローンによる金銭の貸付け
本件子会社は、本件優先出資証券の発行により調達した資金を原資として、X社に対して劣後ローン(以下「本件劣後ローン」といいます)により金銭を貸付けました。
本件劣後ローンの利息の発生期間の終期は、本件優先出資証券(及び本件ケイマン法人が発行した優先出資証券)に係る配当の支払日の前日とされており、本件劣後ローンの利息は、ほぼ全てが本件優先出資証券への配当に充てられ、本件子会社に利益が留保されたり本件子会社の発行する(=X社の保有)普通株式に配当がされたりすることは予定されておらず、本件子会社事業年度においても本件子会社の利益は本件優先出資証券のみに配当されました。
③ 資金調達スキームの解消と本件子会社の発行済株式等の保有状況
2015年6月30日、X社は、本件子会社に対して、本件劣後ローンの全額の返済を行いました。同日、本件子会社は、かかる返済金を原資として、本件優先出資証券に係る出資金及び配当金を本件ケイマン法人に対して送金し、本件優先出資証券を償還しました。
本件優先出資証券の償還により、本件子会社事業年度の終了時点(即ち、2015年12月3日)における本件子会社の発行済株式等は、X社が有する普通株式のみとなりました。
本件子会社事業年度(2014.12.30~2015.12.3)における本件子会社の利益が本件優先出資証券のみに配当されたにもかかわらず、本件優先出資証券が本件子会社事業年度の途中(2015.6.30)で償還され、本件子会社の発行済株式等がX社の保有する普通株式のみとなったため(前記1(2)②及び③参照)、特定外国子会社等の事業年度の終了時点を基準として課税対象金額を計算する旨を定める本件規定(前記1(1)②参照)がそのまま適用される限り、X社の請求権勘案保有株式等割合が100%となり、X社にタックス・ヘイブン対策税制による合算課税がなされることとなります。このような事態をX社が不当としたことから、本件が係争に至ったものと考えられます。
本件最高裁判決においては、「〔政令である〕本件規定を適用することが〔法律である〕本件委任規定の委任の範囲を逸脱するか否か」という形で問題とされました。
本件地裁判決は、以下のとおり判示するなどして、本件規定をそのまま適用することを認め、X社に対する課税処分を適法と判断しました。
「一般に、複雑かつ多様な経済事象をその規律の対象としつつ、課税の公平及び徴税の適正等を確保するという租税法規の専門技術的性格を踏まえると、法律の委任を受けた政令その他の下位法令において、法律の定める基本事項の趣旨を損なわない範囲において技術的・細目的な規律を設けることも当然に許されるものというべきところ、課税対象金額の算定につき、当該特定外国子会社等が発行する株式等の請求権の内容を勘案すべきことなどの基本事項を定めた上で、その細目を政令に委任している措置法66条の6第1項についても、措置法施行令において、これらの基本事項の趣旨・目的に反しない範囲において技術的・細目的な規律を設けることを当然に許容しているものと解される。そして、…措置法施行令は、課税対象金額の算定において株式等の請求権の内容を勘案するに当たり、その基準時を当該特定外国子会社等の各事業年度の終了時に固定してこれを一律に判断すべきものとしているのであるが、このような措置法施行令の規定が、同項が規定する上記基本事項の趣旨・目的を損なうものであるということはできず、これに反しない範囲における技術的・細目的な定めとして、課税の公平及び徴税の適正等の確保の観点から課税の明確性・統一性を図るための規律を設けたものと解することができるから、同項の委任の範囲を逸脱するものではないというべきである。」
一方、本件高裁判決は、本件における事実関係の下では、「外国子会社・・・の利益から剰余金の配当等を受け得る支配力を有するというタックス・ヘイブン対策税制の合算課税の合理性を基礎付け、正当化する事情は見いだせない」上、「租税回避の目的があることも、客観的に租税回避の事態が生じていると評価すべき事情も認められない」ものであり、本件規定を形式的に適用することは「措置法66条の6の趣旨ないしタックス・ヘイブン対策税制の基本的な制度趣旨や理念に反する」ため、その限度で本件規定を適用することはできないと判示し、X社に対する課税処分を違法と判断しました。
本件最高裁判決は、概要、以下のとおり、(1)本件規定が一般に本件委任規定に適合するか否か(委任命令の一般的な法適合性の問題)の検討を行った上で、(2)本件における事実関係の下での本件規定の適用が本件委任規定の委任の範囲を逸脱するか否か(特定の事例に適用される限度における適用違法の問題)の検討を行い、結論としては、本件において本件規定を適用することを認め、X社に対する課税処分を適法と判断しました。なお、本件最高裁判決には、草野耕一判事の補足意見(以下「本件補足意見」といいます)が付されています。
まず、本件最高裁判決は、本件委任規定の目的が以下のとおりであると判示しました。
① 「私法上は特定外国子会社等に帰属する所得を当該特定外国子会社等に係る内国法人の益金の額に合算して課税する内容」である点について、「内国法人が、法人の所得に対する租税の負担がないか又は著しく低い国又は地域に設立した子会社を利用して経済活動を行い、当該子会社に所得を発生させることによって我が国における租税の負担を回避するような事態を防止し、課税要件の明確性や課税執行面における安定性を確保しつつ、税負担の実質的な公平を図ることを目的とするもの」
② 課税対象金額について、内国法人の有する特定外国子会社等の直接及び間接保有の株式等の数に対応するものとしてその株式等の請求権の内容を勘案して計算すべきものと規定する点について、「請求権に基づき受けることができる剰余金の配当等の割合を持株割合よりも大きくしてかい離を生じさせる方法による租税回避に対処することを目的とするもの」
また、本件最高裁判決は、本件委任規定が課税対象金額の具体的な計算方法を政令に委任した理由について、「上記のような目的を実現するに当たり、どの時点を基準として株式等の請求権の内容を勘案した計算をするかなどといった点が、優れて技術的かつ細目的な事項であるためである」ことから、この点については「内閣の専門技術的な裁量に委ねられている」と判示しました。
その上で、本件最高裁判決は、「本件規定は、適用対象金額に乗ずべき請求権勘案保有株式等割合に係る基準時を特定外国子会社等の事業年度終了の時とするもの」であり、「本件委任規定において課税要件の明確性や課税執行面における安定性の確保が重視されており、事業年度終了の時という定め方は一義的に明確であること等を考慮すれば、個別具体的な事情にかかわらず上記のように基準時を設けることには合理性があり、そのような内容を定める本件規定が本件委任規定の目的を害するものともいえない」として、「本件規定の内容は、一般に、本件委任規定の趣旨に適合する」ことを認めました。
本件子会社事業年度における本件子会社の利益が本件優先出資証券にのみ配当されたにもかかわらず、本件規定を適用した場合にはX社に対してタックス・ヘイブン対策税制による合算課税がなされることになるものの、本件最高裁判決は、以下の点を理由に、「本件規定を適用することが本件委任規定の委任の範囲を逸脱するものではない」と判示しました。
① 「個別具体的な事情にかかわらず基準時を設ける本件規定の内容が合理的である以上、上記のような帰結をもって直ちに、前記事実関係等の下において本件規定を適用することが本件委任規定の委任の範囲を逸脱することとはならないところ、特定外国子会社等の事業年度の途中にその株主構成が変動するのに伴い、剰余金の配当等がされる時と事業年度終了の時とで持株割合等に違いが生ずるような事態は当然に想定される」
② 「本件委任規定につき、特定外国子会社等において剰余金の配当等が留保されることにより内国法人が受ける剰余金の配当等への課税が繰り延べられることに対処しようとするものと解することはできないから、前記事実関係等の下において剰余金の配当等に係る個別具体的な状況を問題とすることなく本件規定を適用することによって、本件委任規定において予定されていないような事態が生ずるとはいえない」
③ 「本件各子会社の事業年度を本件優先出資証券の償還日の前日までとするなどの方法を採り、本件各子会社の適用対象金額が0円となるようにする余地もあったと考えられるから、本件規定を適用することによって被上告人に回避し得ない不利益が生ずるなどともいえない」
本件最高裁判決は、委任命令の一般的な法適合性の問題の検討(前記4(1))において、「私法上は特定外国子会社等に帰属する所得を当該特定外国子会社等に係る内国法人の益金の額に合算して課税する」というタックス・ヘイブン対策税制の趣旨について、①我が国における租税負担回避の防止に加え、②課税要件の明確性や課税執行面における安定性の確保を挙げています(前記4(1)①)。本件最高裁判決は、このようにタックス・ヘイブン対策税制の趣旨として2つを挙げつつも、本件委任規定(即ち、措置法66条の6第1項)において後者の「課税要件の明確性や課税執行面における安定性の確保」が「重視」されていることを根拠として、本件規定(即ち、措置法施行令39条の16第1項)について、「個別具体的な事情にかかわらず」請求権勘案保有株式等割合の判断基準時を特定外国子会社等の事業年度終了の時とすることの合理性を認め、その法適合性を肯定しました。
もっとも、課税要件の明確性や課税執行面における安定性の確保を強調し、個別具体的な事情にかかわらず、一律に特定外国子会社等の事業年度終了の時を請求権勘案保有株式等割合の判断基準時とする場合、本件補足意見においても述べられているとおり、「過剰課税」が生じ得ることとなります。即ち、外国法人がその事業年度終了時とは異なる日に配当を行ったものの、その後の当該外国法人の株主構成の変動により、当該事業年度終了の時を基準とすると、当該配当を受け取っていない者に対してタックス・ヘイブン対策税制に基づく合算課税が行われるという、経済実態にそぐわないとも考えられる事態が生じ得ることとなります。
この点、本件最高裁判決は、特定の事例に適用される限度における適用違法の問題の検討(前記4(2))において、「特定外国子会社等の事業年度の途中にその株主構成が変動するのに伴い、剰余金の配当等がされる時と事業年度終了の時とで持株割合等に違いが生ずるような事態は当然に想定される」ことも理由に、「本件規定を適用することが本件委任規定の委任の範囲を逸脱するものではない」と判示している点からすると、かかる過剰課税の問題も考慮した上で結論を出していると考えられます。
このように、本件最高裁判決が、課税要件の明確性や課税執行面における安定性の確保を重視し、個別具体的な事情にかかわらない一律の基準を設けることに合理性を見出していることからすると、(少なくとも)本件規定に関しては、単に過剰課税が発生することを主張立証するのみでは、課税処分の違法性を基礎付けないものと考えられます。
一方で、本件最高裁判決は、適用違法の問題の検討(前記4(2))において、「本件各子会社の事業年度を本件優先出資証券の償還日の前日までとするなどの方法を採り、本件各子会社の適用対象金額が0円となるようにする余地もあったと考えられるから、本件規定を適用することによって被上告人に回避し得ない不利益が生ずるなどともいえない」として、過剰課税を回避する手法があった点も本件規定の適用が本件委任規定の委任の範囲を逸脱するものではないことの理由としており、この点からすると、納税者に「回避し得ない不利益」が生じる場合、納税者救済の必要性に鑑みて、適用違法となる余地も否定されていないようには考えられます*3。
この点に関連して、本件補足意見は、①納税者の立場に触れるとともに、②回避手法を検討・実行する時間的猶予があり、かつ、容易に回避手法の実行ができたとの事情を指摘しています*4が、この点については、「飽くまでも本件に即して十分な理由付けを示すためのものであって、例えば、・・・〔これらの〕事情の一部が欠けるような事案の場合に、当然に、その事案の事実関係の下において本件規定を適用することが本件委任規定の委任の範囲を逸脱するとの結論に結び付くことを含意するものではない」との留保が付されており、具体的にどのような場面であれば本件規定の適用が適用違法となるのかは必ずしも明らかではありません。
このような点に加え、前記(1)記載のとおり、本件最高裁判決においては、個別具体的な事情にかかわらない一律の基準を設けることに合理性を見出していることからすると、「回避し得ない不利益」が生じることを理由に本件規定の適用が適用違法となる場面は限定的である整理しておくことが安全であろうと考えられます。
本件最高裁判決は、本件規定について、一般的な法適合性の問題と適用違法の問題について判断し、結論として、本件において本件規定を適用することを認めたものでしたが、かかる結論を導く上では、前記5(1)記載のとおり、タックス・ヘイブン対策税制全体についての趣旨として、課税要件の明確性や課税執行面における安定性の確保を重視しています。そのため、本件最高裁判決を踏まえると、本件規定に限らず、タックス・ヘイブン対策税制全体について形式的な法令の適用を強く要請しているとも考えられます。特に、タックス・ヘイブン対策税制は頻繁に改正され、予期せぬ課税が発生し得ることから、法令の適用関係について適時・適切に検討・整理することが肝要と考えられます。
*1 なお、X社は、当該増額更正処分後に更正の請求も行い、更正をすべき理由がない旨の通知処分を受けており、かかる通知処分の取消しも求めています。本件最高裁判決においては、かかる通知処分の取消しを求める訴えの利益の有無も争点となりましたが、紙面の関係上、この争点には触れないものとします。
*2 措置法66条の6第2項2号。
*3 本件最高裁判決の調査官解説である、志村由貴ほか「最高裁時の判例」ジュリスト1596号110頁では「本件規定を適用すると当事者に回避し得ない不利益が生ずる場合には、そのことをもって、特定の適用場面への適用の限度における委任の範囲の逸脱を基礎づける余地も想定し得ないではない」とされています。
*4 具体的には、以下のように指摘しています。
① 「〔X社のような〕我が国を代表する金融機関が本件資金調達手続〔注:本件各子会社の設立、本件優先出資証券の発行及び本件劣後ローンによる貸付けの実施という一連の手続〕を立案するに当たっては、当然関係各国の税制を詳細に調査研究し、その内容を知悉することが前提であろうから、被上告人は、我が国のタックス・ヘイブン対策税制についても十分な調査を行い、かつ、(タックス・ヘイブン対策税制は頻繁に改正されるものであることは周知の事実であるから、)必要に応じて、本件資金調達手続の実施後においても最新のタックス・ヘイブン対策税制の内容を調査し、本件資金調達手続によって生み出された会社法や契約法上の権利義務関係に合理的な変更を加えることによって、予期せざる税務上の不利益が発生することがないよう注意を払い続けることを期待され得る立場にあった。」
② 「本件各子会社の利益に関して過剰課税が発生する余地が生ずることとなったのは、いわゆる外国子会社受取配当益金不算入の制度の導入に伴う平成21年の関係規定の改正によって、合算課税の基礎となる金額(適用対象金額)から、特定外国子会社等がその株主に支払った配当を控除することができなくなったためであるところ、その改正に係る改正法の施行の時から本件優先出資証券の償還がなされた平成27年6月30日までの間には6年余りの期間があった。しかも、本件優先出資証券の償還は本件各子会社(実質的には被上告人とみてよいであろう。)の任意の判断によりなされたものであるから、被上告人において、上記償還に当たって、任意償還がもたらす税効果を検討し、本件各子会社の事業年度を本件優先出資証券の償還日の前日までとするなどの方法を採ることによって合算課税を回避することは、さしたる取引費用をかけることもなく容易にできたはずである」
2024年9月23日に発足した、不平等・社会関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Inequality and Social-related Financial Disclosures:TISFD)の概要について説明します。
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