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顧客管理(Customer Due Diligence:以下CDD)は、企業のコンプライアンス体制の重要な構成要素であり、金融機関においては金融犯罪やマネー・ローンダリングのリスク管理のために必要不可欠な業務プロセスです。PwCは、別記事「アウトソースによる金融機関のコンプライアンス態勢の高度化・効率化支援」で紹介したように、金融機関のクライアントから、顧客確認(Know Your Customer:KYC)、取引モニタリングなどのCCD・リスク評価プロセスのアウトソーシングを受託しています。
近年、気候変動、人権問題、企業の社会的責任に関する重要性が高まり、規制環境が厳しさを増しております。上述した、PwCがアウトソーシングを受けている顧客金融機関も例外ではありません。環境・社会・ガバナンス(Environment Social Governance:以下ESG)の観点を考慮するに際して、投融資などを通じて顧客の従事するビジネスが大きい影響を与える点は金融機関の特徴と言えるでしょう。金融機関は、現在および将来の顧客基盤を評価・管理していくうえで、ESGのリスクに関しても考慮する必要性に迫られています。
本稿では、金融機関が顧客のESG情報の取得を効率的に行うとともに、既存の顧客リスク評価のプロセスにESGリスク要素を組み込んでいくことで、どのようにしてより包括的な顧客リスク評価戦略を構築できるかについてPwCの見解を述べます。