ビジネスに革命を起こす最新テクノロジーとは

エッセンシャルエイト (最も重要な8つのテクノロジー)

 
  • 2021-03-03

明日へつながる新たなテクノロジー

AI、IoT、VR――。テクノロジーは驚異的なスピードで進化し、自身の企業や競合企業、業界の未来を方向づけています。ビジネスリーダーたちはすでにこの事実を把握しており、PwCが毎年行う調査では、CEOの69%が急速な技術の進歩に戸惑いながらも、何とか追いつこうと奮闘しています。しかし、テクノロジーそのものや事業に与える影響について熟知していると答えたCEOは、わずか20%にすぎません。

新たなテクノロジーが今後の成功に欠かせないものとなった今、企業はテクノロジーに対してどのように取り組めばよいでしょうか。

エッセンシャルエイトの融合

ビジネスの将来に最も重要な8つのテクノロジーは、互いに融合することで新たなイノベーションを巻き起こし、個々のテクノロジーを単に寄せ集めるよりも価値のあるビジネスソリューションを生み出しています。テクノロジーの融合を活用することで、私たちはより賢く、よりシームレスに働くことができるようになるでしょう。

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新たなテクノロジーが今後の成功に欠かせないものとなった今、企業はテクノロジーに対してどのように取り組めばよいでしょうか。

各企業がその第一歩を踏み出せるように、PwCは250以上の最新テクノロジーがビジネスに及ぼす影響やその実用可能性について分析し、最も重要な8つのテクノロジーとして、「エッセンシャルエイト」を特定しました。 このエッセンシャルエイトは今後3~5年の間、業界を問わず、ビジネスの世界で最も必要とされる主要なテクノロジーであり、企業が今すぐ導入を検討すべきテクノロジーと言えます。組み合わせる戦略は企業ごとに異なりますが、エッセンシャルエイトを活用すればビジネスや従業員、顧客に対して世界規模で大きな恩恵をもたらすでしょう。

いま、ビジネスにとって最も必要な8つのテクノロジー


The Essential Eight technologies that matter most for business today

エッセンシャルエイトを知る

AI

ソフトウェアのアルゴリズムが人間の思考回路や感覚を模倣し、複雑な意思決定を自動化します。AI(Artificial intelligence:人工知能)は一つのテクノロジーを表すものではありません。AIの一部分であるマシンラーニング(英語)は、大量のデータを取り込み、自ら学び、理解し、理由づけ、計画して行動するようなコンピュータープログラムに特化されています。マシンラーニングは有意義な製品やサービスを生み出す大きな可能性を秘めています。例えば、病院では大量のスキャン画像を用いた迅速かつ正確なガン検知・診断、保険会社では車の損傷をデジタル上で自動認識・評価、また、セキュリティ会社では長いパスワードから音声認証への切り替えなどに利用されることが考えられます。

ビジネス戦略を決定するAIの能力について、詳しくはこちらをご覧ください。

China and North America will see biggest AI gains by 2030

AR

AR(Augmented reality:拡張現実)は利用者が現実に見ている世界を拡張するために、デジタル情報を使って、バーチャルの視覚または聴覚情報を重ねる技術です。

AR機能を搭載したスマートグラスは、倉庫の作業員が正確に注文を処理したり、航空機メーカーの従業員が機体を組み立てたり、電気工事士が修理をしたりする場面で役立ちます。シームレスかつ目立たない方法で実作業の場に情報を提供できる意義は計り知れません。

このように現実世界と仮想世界の融合を可能にするARは、ビジネス全般に新たな可能性をもたらしています。ARがビジネスにもたらす可能性について、詳しくはこちら(英語)をご覧ください。

image AR

ブロックチェーン

ブロックチェーン(英語)は分散型のデジタルデータベースです。広い意味では信頼性・匿名性の高い方法でネットワーク内に発生した取引を記録・確認する、ソフトウェアアルゴリズムを用いたデジタル台帳のことを指します。

取引の記録はネットワーク内の複数のユーザーの間で共有され、一度入力した情報は改変することができません。ブロックチェーンは自律的なデジタルコマースの時代に頭角を現す可能性を持っています。

ブロックチェーンの現状について、詳しくはこちらをご覧ください。

How far along are companies with blockchain?

ドローン

ドローン(英語)はデザインによって性能が大きく異なります。離陸に広いスペースを必要とするものもあれば、狭い空間に入り込めるものもあります。そのほか、水中や水上で稼働するものや、半自動(リモコン使用)または完全自動(コンピューター制御)で稼働するモデルもあります。

企業は監視や観測、スポーツ、映画撮影、配達など、さまざまな場面でドローンを活用しています。産業用ドローンの利用について、詳しくはこちら(英語)をご覧ください。

Image Drone

IoT

IoT(英語)(Internet of Things:モノのインターネット)は、センサーやソフトウェア、データ処理機能を内蔵したデバイス、車、家電などインターネット接続を介して形成される物理的なモノのネットワークです。これによって、人の手を介さずデータを収集・交換し、データにもとづいて動作することができます。また、産業用IoT(IIoT)とは、製造などの工業の各部門においてIoTを利用することを言い、「インダストリー4.0(英語)」とも呼ばれます。

IoTの現状と主要産業における活用例について、詳しくはこちら(英語)をご覧ください。

Image IoT

ロボティクス

ロボット(英語)とは検知能力や制御能力、知能を強化した機械のことで、人間のさまざまな活動を自動化、増強または支援するために用いられます。ロボット産業は、幅広いサービスに活用されることで成長が約束されています。ロボットは目まぐるしく変化する不確かかつ制御しきれない環境において、人間を危険にさらすことなく作業するという課題に取り組む新たな能力を持っており、ロボティクス(ロボットの活用)が製造業や非製造業の経営を大きく変化させています。

次世代のロボットについて、詳しくはこちら(英語)をご覧ください。

Image Robotics

VR

VR(英語)(Virtual reality:仮想現実)により、物流上の制限はなくなりました。コンピューターで作成した3D画像や環境によるシミュレーションにおいて、作業者は特別な機器を使うことで現実と同様にシミュレーションと通信を行うことができます。

ゲーム業界やエンターテインメントの世界がVRの主たる舞台となっていますが、VRはその他多くの業界にも変革をもたらす可能性を秘めています。例えば、危険が伴い、多額のコストがかかるような体験型トレーニングを行う際に、作業員が現実世界では負うはずの大きなリスクなしに訓練を行えるようになるかもしれません。

VRによる経済効果の可能性について、詳しくはこちら(英語)をご覧ください。

Image VR

3Dプリンティング

デジタル上の設計に基づいて材料を重ねる、または材料の連続した層を「印刷」することで、立体的な物体を作り出します。3Dプリンティングでは、物体を作り出すために主にプラスチックや金属を用いますが、最近ではガラスや木などの素材も使っています。3Dプリンティングは大企業から中小企業まで、さらには家庭のリビングルームさえも工場に変えてしまう可能性を持っています。

3Dプリンティングの現状や、イノベーションを加速させる開発現場について、詳しくはこちら(英語)をご覧ください。

3D Printing

エッセンシャルエイトの今後:融合

エッセンシャルエイトに影響を及ぼす最も重要なトレンドは、個々のテクノロジーを融合させ、それぞれ単体の成果の積み重ねより強力なビジネスソリューションを生み出すことです。この技術革新の新たな潮流により、テクノロジーを通じて私たちはより賢く、何倍もの力でよりシームレスに働くことができるでしょう。では、世界を再構築していく6つの融合について見ていきましょう。

信頼の自動化

融合するテクノロジー:AI、ブロックチェーン、IoT

信頼を自動化するためには、ブロックチェーンやIoT、AIといった複数のエッセンシャルエイトを組み合わせることで、データの信頼性を確保したり、ID確認をしたり、複数の当事者が関わる取引を確実なものにすることが重要です。

例えば、IoTセンサーを使えば食料のコンテナを農場から倉庫や店舗まで追跡できるため、サプライチェーン全体を検証できます。これにより、荷物が経路どおりに輸送されているか、輸送経路の各地点での状態、つまり輸送コンテナの内部の温度が高すぎたり、低すぎたり、湿度が高すぎたりしていないかを確認することができます。これらの情報は安全かつ改ざん不能な状態でブロックチェーンに記録されています。

また、ブロックチェーンやIoTによって、変更不可能なサプライチェーンを構築できることから、輸送中に損傷していない、信頼できる製品や商品をバイヤーが入手することが可能になります。さらに、これらのテクノロジーを活用することによって、有害物質を含む製品が正確かつ安全に廃棄されたかどうかを確認することもできます。

没入型インターフェース

融合するテクノロジー:AI、AR、IoT、ロボティクス、VR

没入型インターフェースによって、人間、コンピューター、デジタル環境の間でより自然で、かつ違和感のない円滑なコミュニケーションを取ることができます。これらのテクノロジーは触覚や感情といった人間の特性を利用することで、テクノロジーとの交流をより人間らしくし、利用者がデジタル世界になじむ手助けをします。

搭載されたAIを活用することで大量のデータを収集・処理できるため、このインターフェースは音声や文字を認識するだけでなく、感情や全身の動き、脳波や行動までをも感知し、反応することができます。さらに、没入型インターフェースはこの情報を利用者の文字データやその状況と結びつけ、導き出したインサイトによりワークフローを強化することで、利用者が現実世界とデジタル世界を結びつけた直感的なやりとりを行うことを可能にします。

 

エクステンディッド リアリティ

融合するテクノロジー: AI, AR, IoT, VR

AR、VR、MR(Mixed reality:複合現実)を合わせて、XR(Extended Reality:エクステンディッドリアリティ)と呼びます。ARとMRは作業計画や研修に用いられることが最も多く、一方、VRは利用者がソフトスキルや職業上の技術を行う環境をシミュレーションします。XRはAIと組み合わせて活用されることが多く、IoTのヘッドセットやモバイル端末を通じて体験されるものであり、これにより、作業員が危険な業務を安全かつ現実と同じ方法で行うことができます。

例えば、パイロットが飛行機の操縦訓練を行ったり、石油採掘作業員に安全上に関わる複雑な手順を研修したり、保険査定員が水害や煙害、火災による被害を特定するための研修を行ったり、外科医が手術の技術を向上させたり、といったことが実現します。

 

労働の自動化

融合するテクノロジー:AI、AR、ブロックチェーン、ドローン、IoT、VR

オートメーションやロボティクス、AIシステムが同時に機能し、労働が自動化することによって、計り知れない価値が生み出されるでしょう。

完全に自動化された社会が実現されるのはまだまだ先のことですが、多くの業界はバリューチェーンにおける自律システムを開発・統合し、さらに改良しようとしています。例えば、自動制御によるオートメーションシステムやAIを採用した機械により、バックエンドのデータ処理からライドシェアリングに至るまでのすべてを自動化しつつあります。

自動化されたシステムは、これまではアクセスできなかった大量のデータや取引履歴、機械データ、人間による情報、その他の情報を分析およびフィードバックのために集約することで、より優れた予測に基づいたメンテナンスや情報収集を可能にします。

デジタルリフレクション

融合するテクノロジー:AI、AR、ブロックチェーン、ドローン、IoT、VR

私たちを取り巻く世界をデジタル化する環境は、IoTやシミュレーションモデリング、分析ツールの進歩によって、近年目覚ましい進化を遂げています。

デジタルリフレクションは、複雑かつ相互に依存した現実世界におけるプロセスやインタラクションをバーチャルに再現したものです。このデジタル世界は、人間が介入することなく進化しており、新たなインサイトを発見したり、シナリオをテストしたりすることに役立っています。近い将来、現実世界のモノ(製品やプロセス、さらには人間社会全体)をバーチャルで複製したデジタル世界の中で、環境やライフサイクルをより深く理解するためのシミュレーションや実験が行われることでしょう。

現実世界のモノやコトをバーチャルで複製することによって、実時間のシナリオと比較検証し、即時に結果を予測したり、ビジネス上の決定を下したりすることが可能になります。例えば、この技術は仮想の自動車や工場、果ては都市を開発することに活用できます。

ハイパー・コネクテッド・ ネットワーク

融合するテクノロジー:AI、ブロックチェーン、ドローン、IoT

新たなテクノロジーによって接続性はさらに推し進められ、これまでにない速度で処理されるようになりました。これにより、人間は自律システムをシームレスに扱えるようになってきています。

IoTに接続された数十億もの端末がクラウドや5G、メッシュネットワークと組み合わさることで、大規模なインフラの屋台骨を支えるネットワークが安定、高速かつ遅延のない状態で構築され、いつでもどこでも必要な情報にアクセスできるようになります。また、ローカライズされたIoT機器同士の通信によって、クラウドの関与がなくとも必要な時に必要な場所でAI主導型の情報や反応が生み出されるようになります。処理時間が重要でない場合(ローカルで処理する必要がない場合)、データは5Gや通信衛星、LPWAN(省電力広域無線技術)、その他最新の通信基準を通じて、ネットワークに送信されます。

継続的な情報収集とローカライズされた効率的なコンピューティングを組み合わせることで、遠い未来のことと考えられてきたビジネスチャンスを実現可能なものにできるでしょう。


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主要メンバー

桂 憲司

副代表執行役, PwCコンサルティング合同会社

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一山 正行

パートナー, PwCコンサルティング合同会社

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