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2023年5月の前回調査から半年の期間が経過した今回の実態調査では、生成AIに対する認知・推進度合いが大幅に向上し、生成AIの急速な普及を実感する結果となりました。一方で生成AI活用推進のモチベーションが「他社に負けないこと」にあることや、多くの企業が人材・ノウハウ不足に直面していることなど、新たな課題も見えてきました。また、半数以上の回答者が今後1年以内の生成AI本格導入を検討しており、生成AI活用による成果が問われるタイミングが訪れていることも明らかとなりました。日本企業が生成AIを効果的に活用し、国際的に競争力を持つためには、単なる業務効率化を超えた価値創造の模索やそのための業務プロセスそのもの見直し、人材の育成、ガバナンス体制の整備などが重要と考えられます。
2023年5月に前回の実態調査を公表して以来、さまざまな生成AIのツールやアプリの登場、G7広島サミットでの広島AIプロセスの立ち上げ、戦争や政治に関連したフェイクニュースの拡散など、わずか半年の間にも生成AIに関する話題は絶えることなく、急速な普及とともに生成AIを取り巻く実態は大きく変化しています。
PwCコンサルティング合同会社のデータアナリティクスチームは、前回の実態調査から半年を経て、各社の生成AIに対する認知度や生成AI活用の推進度合いの変化、実際に各社が推進・検討する生成AIのユースケース、ならびに日本企業が直面する現状の課題などを明らかにすることを目的に、「生成AIに関する実態調査2023 秋」を実施しました。
本調査結果から、生成AI活用に向き合う企業について4つのインサイトが明らかになり、求められるアクションが具体的になりました。これらが、現在あるいは今後生成AIの活用を検討する企業・組織団体にとっての一助となれば幸いです。
生成AIを「全く知らない」と回答したのは全体のわずか4%にとどまり、前回の調査から生成AIに対する認知度は大幅に高まりました。また、73%の回答者は既に何らかの形で「生成AIを利用した経験がある」と回答し、生成AI活用の推進度合いを問う質問に対しても87%が「既に生成AIの社内利用あるいは社外活用(その検討)を進めている」と回答しており、前回から半年間で生成AI活用に向けた具体的な取り組みが非常に進んでいることが分かりました(図表1)。
実際に検討・推進している生成AIのユースケースとしては、全体の半数近くは要約や文章執筆等のテキスト生成系と回答している一方で、画像や動画、音声、プログラムコード生成等の回答も全体の20%程度存在しており、業務領域を問わず幅広い活用が期待されています。
一方で、回答者の半数近くは生成AIに対して「他社(者)より相対的に劣勢に晒される脅威」を感じており、具体的には「競合他社に先を越される可能性」や「新規競合の参入の可能性」を特に脅威として捉えていました(図表2)。
このことから、日本国内で生成AIの認知・活用が進んだ背景として、多くの企業において生成AIの自社ビジネスや業務における活用イメージが具体的になったことで、競合他社からの脅威もこれまで以上に高い解像度で実感することができ、既存ビジネスの領域で「他社に負けない」ために生成AI活用を検討していると考えられます。
生成AIの本格導入時期を問う質問に対し、生成AI活用を検討・推進中の回答者の43%が2024年3月までの本格導入を予定しており、58%は今後1年以内の本格導入を検討していると回答しました(図表3)。
前回調査から今回までの半年間は、生成AIの技術的な検証や可能性を検討するいわば「実現性検証」のフェーズでしたが、それをもとに今後1年間が「本格導入」フェーズの1つの山を迎えることが予見されます。アンケート結果からは、各社とも生成AI活用に対して一定の検討予算を確保しており、企業によっては数億~数十億円規模の予算を計画しているとの回答も存在しています。
今後は各社とも、これまで以上に投資対効果を求められる段階に至ると想定され、「生成AI活用による成果創出」がこれまで以上に重視されるようになると考えられます。
各業界の生成AIへの向き合い方の違いを明らかにするため、「前回調査の生成AIに関する関心度」と「今回調査の生成AI活用の推進度」を業界横断で順位付けを行い、業界ごとの順位の変動を比較しました。
この結果から、生成AI活用に対する以下の4つの特徴的な業界層を抽出することができました(図表4)。
パイオニア層、躍進層、期待向上層では、テキスト生成のみならずプログラム生成・画像生成・音声生成など幅広いユースケースを検討しており、ビジネスプロセスに適した生成AI活用が進んでいると考えられます。
一方で、未だ様子見の業界層においても、テキスト生成以外の生成AIを検討・推進中の回答割合が高い業界(消費財/飲料/食品業界、小売業界)もあり、活用にあたっての何らかのリスクを懸念し、具体的な活動につながっていない業界もあると考えられます。
例として、配送や物流などのフィジカルを利用する職種、品質管理や財務経理などのリスク管理の意識が強い職種などでは相対的に生成AI活用が進んでいないことも確認されています。単純な技術導入だけではなく、生成AIを活用できる領域の見極めやそのためのBPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)の推進、またリスク管理のための生成AIガバナンス体制構築なども併せて必要になってくると考えられます。
いずれにせよ、生成AIに対する理解促進や、AI技術のマルチモーダル化(テキスト、画像、音声、プログラム等、複数の種類の情報を統合して処理すること)が進んだことを背景として、多くの生成AIユースケースが創出され、もはや生成AI活用と無関係な業界は存在しなくなったと言えるでしょう。ただし、業界や職種によってはサイバーとフィジカルの融合、AI活用による品質担保・リスクの解消など、固有のハードルが存在していると考えられます。
生成AI活用を検討・推進中の回答者の過半数が、生成AI活用で直面する(した)課題として「必要なスキルを有する人材の不足」「ノウハウがなく進め方が分からない」と回答(図表5)。またこれらの課題は「自社だけでは解決が難しい課題」としても最上位に挙がっており、生成AI活用の推進に向けては、これまで以上に社内人材のリスキリングや外部人材活用の重要性が高まっていると考えられます。
また、生成AI活用に必要なスキルについては、これまでのAI活用で重視されていた「コミュニケーションスキル」「ユースケース企画スキル」を1位と回答したのは回答者全体の10%にも満たず、全体の半数近くは「AI技術全般に関する理解」を1位と回答していました(図表5。生成AI活用において国や政府に求めることについても「生成AIの技術動向の情報収集・公開」が最も多く回答を集めており、技術全般の理解や動向を重要視している様子がうかがえます。
生成AIの普及・民主化が進み、データサイエンティスト等の専門家だけでなく幅広い層が生成AIに触れることができるようになった一方で、ハルシネーションリスク(生成AIが学習したデータから、流暢だが事実と全く異なるコンテンツを生成してしまうリスク)などを背景として、ユーザー側にはこれまで以上にAIリテラシーが求められるようになったと考えられます。
前述の示唆を受け、次の4つの提言を行います。
黎明期を迎えた生成AI市場に乗り遅れないために「生成AI市場へどのように参入していくか」もしくはビジネス課題および社会課題解決の観点から生成AIを「どのように利活用していくか」を企業は迅速に判断、実行していく必要があります。
PwC Japanグループではこれらの判断・実行に際し、「事業化支援」「導入支援」「リスク管理支援」の3つのサービスを提供しています。
事業化支援では、クライアントの生成AIに関する事業化案の創出から、事業の推進までを支援します。
既存業務における課題を分析の上、新規業務プロセスの検討、既存システムへの組み込みや組織変革を支援します。
生成AI特有の新規リスクの抽出と対策方針の検討を支援します。
調査実施時期 | 2023年10月13日~10月16日 |
回答者数 | 912名 |
調査方法 | Web調査 |
調査対象の条件 |
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[PDF 3,220KB]
PwCは、先端技術を活用した事業構想の実績、AIに関する支援経験、研究機関との共同研究経験を豊富に有しております。これらを基に、生成AI市場への参入判断、生成AI利活用の導入、生成AIに関するガバナンスの構築を支援することで、デジタルディスラプション時代における企業経営の実現に貢献します。