金融サービス(FS)と、テクノロジー・メディア・情報通信(TMT)業界の境界線が薄れつつあります。また最近では、FS企業とTMT企業が直接競合するようなケースも見られるようになっています。多くのTMT企業が金融ライセンスの申請をおこなっており、自らをテクノロジー企業と称するFS企業も現れています。
フィンテックは、こういった変革の中心にあります。
FS・TMT業界共に、業務の効率化、コストの削減、顧客エクスペリエンスの向上、商品・サービスの訴求力を高めるためにフィンテックを活用しています。また、フィンテックを使い新しいビジネスの可能性も模索されています。ネット専業銀行は、新しい形の顧客サービスや商品、料金体系を提供しています。運用会社は、完全にカスタマイズされたロボアドバイザーサービスを展開しています。そして保険会社は、健康管理と疾病予防にセンサーを利用しています。PwCが行った調査によると、消費者はこうしたデジタル変革を受け入れる準備ができていることが明らかになっています。今、問題なのはフィンテックが金融サービスを変革するかどうかではなく、どの企業がフィンテックを最適活用し、リーダーとなり得るかにあります。
グローバルフィンテック調査2019では、世界のFSおよびTMT企業の幹部500人以上を対象に調査を実施しました。今後勝者となるのは、フィンテック主導のビジネスモデルをただ取り入れるのではなく、FSとTMTの強みを最大限に生かすアプローチをもって、より広く、しかしさらにひしめき合う領域でいかに前進すべきか見極めることができる企業でしょう。
本報告書では、現在のフィンテック環境、今後数年の勝者と敗者を決定づけると思われる要因、そして組織を成功に導く最善の体制を確立するためのステップについて解説します。
今回の調査には、日本のFS・TMT企業から47名が参加しています。その結果は、グローバルの回答と概ね一致するものもあれば、日本特有の課題やグローバルとの認識の相違を示すものもあります。
例えば、フィンテックに重要な国として、グローバルの結果では米国が1位、中国が2位に入りましたが、日本では日本が1位、米国が2位となっています。日本のFS・TMT企業は、フィンテック事業の成長見通しを考える時、まずは国内を重視しているようです。
金融サービスで進行する変革と破壊を前に、日本のFS・TMT企業は何を優先し、また課題と捉えているのでしょうか。
こちらのページでは、グローバルの結果と比較しながら、日本の回答結果を紹介しています。