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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な感染拡大は、人々の日常生活を抑制し、各企業にこれまでにない大きな変革を迫ることになりました。製薬企業においては、このような非常事態であるからこそ、変わらない企業活動を維持し、必要となる医薬品を安定的に供給するのはもちろんのこと、感染拡大を防止する治療薬としての既存薬の再開発(ドラッグリポジショニング)や、発症を抑制するためのワクチンの開発を促進することが求められています。
刻々と変化する状況下において、適切な情報収集と選別、柔軟な発想と臨機応変な決断など、製薬企業は多くを求められ、その課題は山積していると言えます。
PwCでは、現在、製薬会社が直面していると思われる課題、求められるであろう対応、そしてその検討のポイントを整理しました。また、事態が収束した後にいち早く考察が必要な事項についても整理を行っています。
求められる対応 |
検討の主なポイント |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の現状(全世界的に流行し、影響が長期間に及ぶことが想定される)を鑑みたBCPの修正と適用
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大防止のためリモートでの業務が強いられたことにより、これまで働き方改革で進められてきたリモートワークは、今後、加速していくことが想定されます。こうした環境下において、スムーズな業務遂行が可能な制度・環境を構築していくことが、より一層強く求められます。
求められる対応 |
検討の主なポイント |
リモートワークに耐えうる業務・制度の設計 |
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IT環境・ツールの整備 |
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従業員のリモートワークに対するスキル・知識の向上
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パンデミックのような混乱した状態下では、医療従事者などの社外ステークホルダーに対する情報共有は、特に正確かつ的確なものとなるような配慮が求められます。同時に、従業員に対しても、日々変化する状況に合わせた自社の方針を、正確かつ迅速に伝えることが求められます。
求められる対応 |
検討の主なポイント |
社外ステークホルダーとのコミュニケーションルート・プロセスの整備 |
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従業員とのコミュニケーションルート・プロセスの整備 |
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医薬品のサプライチェーンは、グローバル化が進んでおり、世界的なパンデミックの発生に際しては、直接・間接的に、また長期的に影響を受けることが懸念されます。サプライチェーン全体の状況を把握し、必要な打ち手を検討する必要があります。見直しや構築には時間を要するため、あらかじめ綿密な予測と計画のもと、最適化を推進しておくことが求められます。
求められる対応 |
検討の主なポイント |
サプライヤーや自社の生産・物流を維持するための複数シナリオの想定と、代替手段の検討・確保 |
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需要の変化への柔軟な対応 |
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世界的なパンデミックの封じ込めに時間を要するケースを想定し、臨床試験の延期などによる影響を踏まえた事業計画の見直しが必要となります。
求められる対応 |
検討の主なポイント |
パンデミックの自社事業に対する影響評価と、中期経営計画、事業計画書への反映 |
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新製品の上市遅延や、研究開発費増加による財務状況悪化を避けるためのコスト削減余地の検討 |
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事態の収束後を見据え、いつどのように従来の業務体制へ復元するのか、また戻る先は従来と同様の姿なのかについて検討することが重要です。この機会を前向きな変化としていくために、柔軟な発想で回復のプランニングを行うことが求められます。
求められる対応 |
検討の主なポイント |
通常業務体制への復元の判断基準と、復元手順の設定 |
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新たな業務標準の設計やその導入に伴い必要となる制度の検討 |
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製薬会社は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のようなパンデミック状況下において、医薬品の継続的な提供や治療・予防への貢献という社会的使命を有しており、 多岐にわたる対応において正確性・確実性が求められます。そしてその実現にあっては迅速性・柔軟性が重要な鍵を握ります。 それらを着実に実行するためにも平時から対応力を鍛えていくことが求められ、多くの課題に取り組み、早急に成果を出していく必要が生じています。
このような状況下では、時には、自社の利益より、治療薬の開発やそのための人材確保を優先する必要が生じることもあるでしょう。そしてそれは、場合によっては、業界の商習慣や大原則を覆すものであるかもしれません。これまでの常識がもはや最善の策ではなくなっているかもしれないとの認識のもと、常に複数のシナリオを準備し、的確な状況判断のもとにそれらの取捨選択を行い、そして迅速かつ強力にそれらを推進していくことが必要となると言えるでしょう。また、この危機のさらに先を想像し、有事における混乱で本来先だってやるべきことやそのタイミングを見逃さないようにすることも重要です。
この新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行によって明らかに言えることは、製薬会社の在り方や既存概念が大きく変わるということです。社会的使命を全うするために、目の前の困難な状況に真に向き合い、的確に対処していくこと、そして将来においても変わらずその使命を果たし続けることができるよう、常に変革していくことで、社会に向け、自社が有する真の価値を示していくことができるでしょう。
常に発生しうる最悪の事態を想定した事業運営となっているか、またそれを支えるための人材や環境が十分に準備されているかについて、いま一度、振り返ることが求められています。