肥後銀行 笠原慶久頭取に聞く 基幹系システムのオープン化を足がかりとする行内・地域DX推進と、地方創生における地銀の役割【前編】

2021-03-05

経済産業省の「DXレポート」(2018年)が指摘するように、既存の基幹系システムの複雑化・ブラックボックス化は、企業・社会のデータ利活用とデジタルトランスフォーメーション(DX)推進の阻害要因となっています。こうした中、肥後銀行が経営主導で進めた基幹系システムの更改が、オープン化によって効率化や外部サービスとの連携強化を実現した成功事例として注目を集めています。そこで今回は、CIOとして同プロジェクトを統括し、現在は同行の代表取締役頭取および同行を傘下に持つ九州フィナンシャルグループ代表取締役社長を務める笠原慶久氏をお迎えし、更改プロジェクトの全容と地域への波及効果、経営主導のDX推進などについて、同プロジェクトのモニタリングとアドバイス提供に携わったPwCあらた有限責任監査法人(以下PwCあらた)パートナーの宮村和谷と議論を深めました。(本文敬称略)

対談者

笠原 慶久 氏
肥後銀行代表取締役頭取および九州フィナンシャルグループ代表取締役社長

宮村 和谷
PwCあらた有限責任監査法人 パートナー

笠原 慶久 氏、宮村 和谷

(左から)笠原 慶久 氏、宮村 和谷

プロジェクト担当者の声

肥後銀行 取締役常務執行役員 德永賢治氏

自分たちでやり遂げる意識がプロジェクト完遂の基盤に

肥後銀行 取締役常務執行役員
德永 賢治 氏
(笠原取締役頭取(当時CIO)の後任として当プロジェクトの全体統括を担当)

従来のシステム更改では、どちらかと言うとシステム部門やベンダー任せの姿勢がありましたが、そこから大きく舵を切り、スタートの時点で自分たちで作り上げるという意識を持ったことが、これだけ重大なプロジェクトを完遂できた基盤になったと思います。PwCあらたからは時に耳が痛くなるような指摘を受けましたが、それによってチーム内で方向性をしっかりと共有し、社内の理解を醸成して全社的な協力態勢を築くことができました。

肥後銀行 経営企画部長 桐原健寿 氏

DX推進のノウハウ蓄積が行員の大きな自信に

肥後銀行 経営企画部長
桐原 健寿 氏
(2019年9月までIT統括部次期システム開発室長として当プロジェクトを現場でリード)

これまでは多くの業務をアウトソースしていたため、プロジェクト管理のノウハウが蓄積していなかったのですが、新システムを計画通りにカットオーバーできたことは、若手行員も含めてIT統括部の大きな自信になり、財産にもなりました。現在もDXに関連した複数のシステム開発を同時並行で進めていますが、いずれも順調に進んでおり、今般の基幹系システム構築の経験を生かせていると感じています。

成功の秘けつは、目標に向けて共に努力できたこと

PwCあらた有限責任監査法人 ディレクター
高橋 卓也
(PwCあらた側のモニタリング管理者として当プロジェクトを担当)

私も過去にシステム開発側で難しい局面を経験してきたため、モニタリングにおいて厳しい指摘をする上では心苦しく感じることもありました。ただ、立場は違えど、プロジェクトを成功させるという目標は同じであることを念頭において、専門家としての役割を果たすことが何より大事だと考えました。この難易度の高いプロジェクトを計画通り完了できたのは、関係者の皆様が高い意識を持ち、我々のアドバイスに真摯に耳を傾けながら一つ一つ課題を克服された結果だと思います。

※法人名、役職、インタビューの内容などは掲載当時のものです。

主要メンバー

宮村 和谷

パートナー, PwC Japan有限責任監査法人

Email

高橋 卓也

ディレクター, PwC Japan有限責任監査法人

Email

{{filterContent.facetedTitle}}

{{contentList.dataService.numberHits}} {{contentList.dataService.numberHits == 1 ? 'result' : 'results'}}
{{contentList.loadingText}}

{{filterContent.facetedTitle}}

{{contentList.dataService.numberHits}} {{contentList.dataService.numberHits == 1 ? 'result' : 'results'}}
{{contentList.loadingText}}