高齢者の介護の現状に関する調査事業
過去に実施された高齢者介護のケア時間に係る実態把握についてみると、平成18年度に実施された「高齢者介護実態調査」では、介護保険施設を対象として、1入所者の状態像調査(要介護認定調査項目等)、2施設介護時間調査(48時間にわたり入所者等にどのようなケアが提供されたかについて、ケアを担当する職員にマンツーマンで配置された外部調査員が1分間ごとに筆記する「1分間タイムスタディ」)が実施された。
しかしながら、直近の高齢者介護の実態を把握するにあたり、上記の他計式タイムスタディによる調査手法は膨大な労力を要し、かつ今般の新型コロナウイルス感染症による影響に鑑みて、多人数の外部調査員が介護保険施設等を訪問して調査することは望ましいものではないと考えられた。
そこで、令和3年度老人保健健康増進等事業では、介護老人福祉施設、介護老人保健施設において、介護スタッフ自身がボディカメラを装着し、そこで録画された動画情報について、画像解析、自然言語処理、機械学習などAI要素技術を活用した上でのタイムスタディを実施し、ケア時間等のデータ等を収集・整理した。あわせて、外部調査員による他計式調査ではなく、動画情報およびAI活用を代替手段とする調査方法の可能性と課題を明確化した。本事業では、どのような状態の高齢者に対して、どのようなケアが、どれくらいの時間にわたって提供されているのかについて、令和3年度老人保健健康増進等事業において収集・整理したデータ(入所者の状態像調査データ、入所者へのケア時間に係るタイムスタディデータ等)を用いて整理・分析し、報告書の取りまとめをすることを目的とする。