PwCコンサルティング合同会社(東京都千代田区、代表執行役CEO:大竹 伸明、以下「PwCコンサルティング」)は本日、「データマネタイゼーション実態調査2024」を公開しました。
2022年に「データマネタイゼーション実態調査2022」を発表して以来、データ利活用の普及や生成AIに代表される新たなテクノロジーの台頭により、企業におけるデータマネタイゼーションの検討は着実に進んでいます。PwCコンサルティングは、企業のデータマネタイゼーションやデータ流通の認知度、検討状況や直面する課題を明らかにすることを目的に、「データマネタイゼーション実態調査2024」を実施しました。調査対象は、過去の調査と同じく、日本国内の売上高500億円以上の企業・組織に所属する課長職以上で、データマネタイゼーションの検討から実行に対して何らかの権限がある(意思決定、企画検討など)方とし、1,076件の有効回答を得ました。
本調査結果のハイライトは以下です。また、本調査におけるデータマネタイゼーションの定義は「データ利活用による事業活動への付加価値の創出」の取り組みです。データの見える化による現状の把握やデータの高度分析によるインサイト発見といった「既存業務の効率化」、そして、データの外部提供(単体・組み合わせ)やデータ利活用による新規ビジネスの開発といった「新たな収益源の創出」に大別されます。
- データマネタイゼーションを「実現できている」と回答した人は24.5%(昨年から15.4pt増加)で、回答者の約4人に1人に到達。「データを使った社内業務の効率化」だけでなく、トップダウン型の「新たな収益源創出」を狙ったデータマネタイゼーションも行われている。
- データマネタイゼーション推進における企業の課題意識は昨年から大きく変化し、「費用対効果」が最大の課題に(昨年から37.3pt増加)。背景にあるのは「投資額に対するプレッシャー」「経営層と現場の間での認識のギャップ」。PoCからサービス化などの実現へと、取り組みのフェーズが変わってきている企業が増えていることが推察される。
- 「費用対効果」については、回答者の半数近くがデータマネタイゼーションに対して数千万~数億、数十億円単位の予算額を投下しており、各社の積極的な投資姿勢に対して、効果創出がシビアに求められていると推察される。
- 「経営層と現場の間での認識のギャップ」について、経営層は管理職層と比べて「データ販売(15.1ptのギャップ)」「他社協業によるプラットフォームビジネスの提供(同、10.2pt)」「プロダクトや業務ソリューションの販売(同、10.0pt)」などの「新たな収益源の創出」を狙ったデータマネタイゼーションのユースケースをより強く検討中。取り組みにおける両者の目線にギャップがあることを認識し、それを埋めていく活動が求められる。
- データマネタイゼーションが特に進んでいる業界は、通信・エンタメ・メディア業やテクノロジー業、サービス・接客・レジャー業。データやデジタル技術を扱うことが一般的で、データマネタイゼーションに取り組む土台が整っているため、他の業界と比べて検討が進みやすいと推察される。
- 自動車業や製造業なども、他と比べるとデータマネタイゼーションの検討が比較的進んでいる業界であることが判明。脱炭素化、サーキュラーエコノミーの実現から端を発した、カーボンニュートラル規制や欧州電池規則などへの規制対応をきっかけにして、企業間のデータ流通やデータマネタイゼーションの検討が加速していると考えられる。
- 検討が進んでいない業界においても、先行する異業界/異業種とのコラボレーションによる「先人の学び」や、規制や社会課題などの外部環境の要因をトリガーにすることができれば、業界内の競合他社に勝ち得ると思われる。