
【第10回・完】企業報告の未来~保証、情報の信頼性、そして統合思考~
企業報告全体の信頼性向上が期待されており、財務報告とも整合する非財務報告の保証基準の開発・利用と継続的な進化が期待されます。また、 非財務情報の発信増加に伴い、信頼性を高めるためにデジタルなどを活用した内部統制の整備・運用の強化が求められます。
自社の企業価値を適切に伝え、ステークホルダーとの対話をより有効に行い、持続的に企業価値を高めるためのアプローチとして統合報告(Integrated Reporting)が注目されています。PwCは、長年にわたり積み重ねてきた統合的な企業分析のフレームワークに関する調査・研究をもとに、企業・組織の統合報告への挑戦を支援します。
PwCではグローバルな連携のもと、実効性のある会計監査を実施し、また、企業価値の向上を支援するという視点から、長年にわたり統合的な企業分析のフレームワークに関する調査・研究を重ねてきました。こうした知見に基づき、PwCはIIRC(国際統合報告評議会)などの活動を積極的にリード・支援するとともに、統合報告の考え方に精通した経験豊富な専門家の協働により、企業・組織の統合報告(Integrated Reporting)の導入および改善を支援しています。
2013年の国際統合報告フレームワーク、および2014年の日本版スチュワードシップ・コードや翌年のコーポレートガバナンス・コードの公表を機に、統合報告に取り組む企業が増加しています。しかし、その取り組みは、自社の経営や適切な企業価値の評価にきちんと貢献できていると言えるでしょうか。例えば、以下の視点から検討してみることが有益です。
統合報告とは、単に既存の報告書の構成を変える、あるいは新しい情報を付け加えることのみではないとPwC Japan有限責任監査法人(PwC)は考えています。
私たちは、統合報告に関連するサービスを提供する際に、以下のアプローチを念頭に置いています。
会計監査をはじめとした豊富なサービス提供の実績から得られた業界知識、および1990年代よりPwCが提唱していたバリューレポーティングから受け継がれた統合報告のパイオニアとしての知見を活用すること。
現状のレポーティングに関するステークホルダーとの対話やフィードバックの内容を活用しつつ、どのステークホルダーをターゲットとするかを明確にし、その情報ニーズに応えること。
ステークホルダーに対して伝達すべきメッセージの内容を、対話(ダイアログ)や協働(コラボレーション)の精神を重視しつつ、適切な業務プロセス・情報システムを経て具体化すること。
統合報告への取り組みを初年度で全て完結させるのではなく、制作過程や開示後のステークホルダーとの対話にて識別された経営上・報告上の課題への対応を通じて、継続的な改善を行うこと。
私たちは、統合報告への取り組みは、単に統合報告書を作成・公表することがゴールではないと考えています。統合報告への取り組みにより、投資家を始めとする社内外のステークホルダーとの対話を経て企業価値を高めるとともに、経営層が適切な意思決定をする際に必要となる情報を、適時に入手するための事業プロセスや情報システムを整備すること、さらには、各部門の部分最適ではなく、一つの企業グループとしての全体最適を目指す組織風土を醸成することなども念頭に置いています。
そのため、私たちは単なる統合報告書の作成支援ではなく、「ディスクロージャーイノベーション(Disclosure Innovation)」と称し、レポーティングの枠にとどまらない幅広いサービスを提供します。
PwC Japanグループでは、統合報告(Integrated Reporting)をテーマとするイベント・セミナーの開催や講師派遣、また書籍執筆や各種メディアへの寄稿等を行っています。
企業の開示に関連するトピックを中心としたPwC UKによるブログです。
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投資家コミュニティとPwCによる継続的な対話から得られた投資家・アナリストの視点やニーズを分析・議論しています。
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企業報告全体の信頼性向上が期待されており、財務報告とも整合する非財務報告の保証基準の開発・利用と継続的な進化が期待されます。また、 非財務情報の発信増加に伴い、信頼性を高めるためにデジタルなどを活用した内部統制の整備・運用の強化が求められます。
統合報告に限らず、企業が伝える情報の種類・量は拡大しています。「開示」のみならず「対話」を進化させるうえで、デジタルトランスフォーメーション(DX)は大いに役立ちます。
2022年に入り、政府や省庁から様々な報告書等が数多く公表されています。これらの中から、統合報告を行うに当たって参考に資する内容について、「経営の8要素」に則して解説します。
統合報告を作成するための具体的な手順とスケジュールについて、統合思考が進んでいる会社が行っているポイントを交えて解説します。