
COOやオペレーションリーダーが取り組むべきこと PwCパルスサーベイに基づく最新の知見
本レポートでは、世界の大企業の経営幹部673人を対象に、経営の戦略や優先順位を調査しました。COOはAIの活用拡大に強いプレッシャーを感じており、関連する人材の採用・育成に注力する一方で、業務に追われ将来のビジョン策定に注力できていない状況が明らかになりました。
IFRS財団による国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の設立を受けて、国内のサステナビリティ開示基準の開発を主な目的として、財務会計基準機構(FASF)はサステナビリティ基準委員会(SSBJ)を設立しました。
SSBJは、国際的に整合したサステナビリティ開示基準を開発すべく、公表されたISSB基準(IFRS S1/S2)に相当する基準として、2024年3月および11月に基準の公開草案を公表し、広くコメント募集を行った後、寄せられた意見等について検討を重ね、2025年3月に以下の基準(以下、「SSBJ基準」)を公表しました。
図表1:ISSB/SSBJ対応が求められる背景
金融庁金融審議会の「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」において、サステナビリティ開示基準の適用対象と適用時期につき協議中であり方向性が定まりつつあります。
企業サステナビリティ報告指令(CSRD)および欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)と今後適用されるSSBJ基準は、全体として整合性が高いものの、CSRD/ESRS基準はより多くの企業が対象となり、かつ開示項目も広範囲に渡るなどといった相違点があります。
CSRDグローバル開示への対応を行う企業がSSBJ対応を検討する場合に想定される論点・対応内容・追加対応の要否は図表4にまとめます。CSRD対応の一部はSSBJ対応に反映可能であるが、SSBJ独自の対応が追加で求められるものと考えられます。
なお、EUは2025年2月にいわゆるオムニバス提案を公表しました。同提案には、CSRD、およびESRSの大幅な改定が含まれており、開示対応に際しては動向を注視する必要があります(図表4には同提案の内容は含まれていません)。
図表4:先行するCSRD/ESRSとSSBJ基準の比較 2/2
項目 | 論点 | 対応内容 |
マテリアリティ |
|
|
開示項目 |
|
|
情報提供場所 |
|
|
レポーティングライン (承認プロセス) |
|
|
報告タイミング |
|
|
保証水準 |
|
|
ISSB基準が証券監督者国際機構(IOSCO)によって承認されたことにより、日本を含む130を超える国や地域の資本市場当局が、この基準をどのように自国の規制のフレームワークに組み込むかを検討しています。
図表5:ISSB基準をベースとした各国の規制化の動向
国 | 基準化ステータス | 施行時期 | 保証 |
英国 | 2025年第一四半期まで基準のコンサルテーション | 2026年1月かそれ以降 | ― |
トルコ | IFRS S1/S2の完全適用 | 2026年1月かそれ以降 | 2026年1月より義務化 |
カナダ | 2024年3月~6月まで基準草案のコンサルテーション | 2025年1月 | ― |
中国 | 2024年6月末までIFRS S1とダブルマテリアリティに沿ったESG開示フレームワークのコンサルテーション | ― | ― |
香港 | 適用ロードマップの開発中 | ― | |
韓国 | 2024年6月までに基準の最終化 | 2026年1月かそれ以降 | ― |
台湾 | 2024年6月までに基準の最終化 | 2026年1月~2028年1月にかけて上場企業に順次義務化 | 2029年1月より全上場企業に対してScope1、2の保証義務化 |
シンガポール | IFRS S2に基づく気候関連開示の義務化 | 上場企業は2025年1月、 10億シンガポールドル以上の非上場企業は2027年1月 |
2027年1月より上場企業に対してScope1、2の保証義務化、2029年1月より大規模非上場企業に保証義務化 |
豪州 | ISSB基準をベースとして修正
|
上場・非上場企業で要件を満たす事業体 全該当事業体は2028 年までに報告を開始 |
義務化と同タイミングで義務化 |
サステナビリティ情報の法定開示は単に開示情報の充実だけではなく、①サステナビリティ情報の内部統制の構築、②企業戦略から情報開示までのつながりをもったマテリアリティの特定とその実践、③財務と非財務の統合に向けたインパクトの計測と管理といった企業経営の根幹をなす重要な課題を提起しています。
PwC Japanグループは以下のサービスを通じて企業が直面する課題への対応を支援します。
グローバルに事業を展開している企業において、ISSB/SSBJのみならず、EUの企業サステナビリティ報告指令(CSRD)に基づく欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)など、複数の基準の適用が求められる場合には、各開示規制に個別に対応するだけではなく、開示規制を横断的に捉えてグループでの開示全体像の検討が重要となります。また、日本以外の子会社所在国の開示規制やその他の開示基準などの動向も把握し、グループ全体の包括的かつ重複のないサステナビリティ開示を実現するための構想、アクションプラン、ロードマップの策定を含む情報開示戦略の立案を支援します。
適切な情報開示戦略を踏まえて、サステナビリティ情報の開示方針の策定と網羅的かつ正確な情報収集を行うための内部統制を含む業務プロセスおよびシステムといったガバナンス体制の構築、さらには第三者保証に向けた準備までを一気通貫でサポートします。
SSBJ基準の内容は、法定開示に取り込まれる予定です。PwCは、効率的かつ網羅的なアプローチを通じて第三者保証に耐えうる開示プロセスの策定、およびステークホルダーとの円滑なコミュニケーションに資する情報開示を支援します。
サステナビリティ経営を進めていくうえで、企業として取り組むべき戦略的重点領域(重要課題)を特定する手法であり、特定したそれらの重要課題がもたらすリスクと機会に適切に対処していくことが企業の中長期的な成長にとって必要となります。サステナビリティ経営とサステナビリティ開示基準の両方の視点を踏まえて、クライアントの重要課題を特定することを支援します。
SSBJ基準の内容は、法定開示に取り込まれる予定です。PwCは、効率的かつ網羅的なアプローチを通じて第三者保証に耐えうる開示プロセスの策定、およびステークホルダーとの円滑なコミュニケーションに資する情報開示を支援します。
企業が開示するサステナビリティ報告について、その信頼性を担保してほしいという社会的な要請から保証を受けることが求められてきており、保証に関する基準も策定されてきています。そのような環境下で、保証人とのコミュニケーションや対応を適切に行うことは、スムーズに保証を受けるために極めて重要です。
既存の内部統制基盤(規程・文書化・整備・運用・評価)の枠組みを最大限活用しつつも、サステナビリティ情報/非財務情報に特有の論点を加味した、サステナビリティ情報開示にかかる堅確、かつ、第三者保証に耐える内部統制基盤を構築することを支援します。
私たちは、IFRS財団やSSBJの検討への参画、人材拠出などを通じてISSB/SSBJ開示基準に対する深い理解を有しています。これらの経験、知識を基にクライアントのサステナビリティ開示における重要論点の洗い出しとギャップ分析における優先順位づけを実施し、リスクフォーカスな対応を行うことで、タイトなスケジュールの中でも必要十分なプラニングを達成します。
私たちは、PwCグローバルネットワークで開発されたメソドロジーやESG情報開示関連ツール、テンプレートを多数、有しており、実務で活用しています。これにより、効率的かつ網羅的な対応が可能となるとともに、これらのツールを使った検討結果は、将来の保証対応におけるエビデンスとして活用することができます。
私たちは、国内外でISSB/SSBJ対応を含むESG開示支援経験を豊富に有しています。他社事例を熟知したメンバーが関与することにより、要所・勘所を押さえたプロジェクト支援が可能となります。
私たちは、EUを含め世界中に展開しているPwCグローバルネットワークのメンバーファームであり、そのネットワークを活用することで、クライアントが海外を含む子会社と効果的なコミュニケーションを行い、グループ一体でサステナビリティ情報開示に取り組むことを実現します。
本レポートでは、世界の大企業の経営幹部673人を対象に、経営の戦略や優先順位を調査しました。COOはAIの活用拡大に強いプレッシャーを感じており、関連する人材の採用・育成に注力する一方で、業務に追われ将来のビジョン策定に注力できていない状況が明らかになりました。
日本の保険会社は競争力を維持し、グローバルに成長するために、変革を続けなければなりません。本稿では、今日の課題を乗り越えながら自ら変革しようとする日本の保険会社の2025年における必須事項のトップ10について解説します。
サステナビリティ情報の開示への要求が国内外で高まっています。本書籍では、国内外のサステナビリティ第三者保証の最新情報を踏まえ、サステナビリティ報告と保証に対する実務対応について解説します。(中央経済社/2025年3月)
企業には財務的な成果を追求するだけでなく、社会的責任を果たすことが求められています。重要性が増すサステナビリティ情報の活用と開示おいて、不可欠となるのがデータガバナンスです。本コラムでは情報活用と開示の課題、その対処法について解説します。