ISSB/SSBJ(IFRS/日本版サステナビリティ開示基準)対応支援

ISSB/SSBJ基準開発の経緯

IFRS財団による国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の設立を受けて、国内のサステナビリティ開示基準の開発を主な目的として、財務会計基準機構(FASF)はサステナビリティ基準委員会(SSBJ)を設立しました。

SSBJは、国際的に整合したサステナビリティ開示基準を開発すべく、公表されたISSB基準(IFRS S1/S2)に相当する基準として、SSBJ基準(日本版S1基準およびS2基準)の公開草案を公表し、遅くとも2025年3月末までに最終基準の公表が計画されています。

ISSB SSBJ対応が求められる背景

日本におけるサステナビリティ開示基準の検討

金融庁金融審議会の「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」第2回(2024年5月14日)、第3回(6月28日)において、サステナビリティ開示基準の適用対象と適用時期につき協議中であり方向性が定まりつつあります。

日本における サステナビリティ開示基準の適用時期案

先行するCSRD/ESRSとSSBJ基準の比較

企業サステナビリティ報告指令(CSRD)および欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)と今後適用されるSSBJ基準は、全体として整合性が高いものの、CSRD/ESRS基準はより多くの企業が対象となり、かつ開示項目も広範囲に渡るなどといった相違点があります。

先行するCSRD/ESRSとSSBJ基準の比較 1/2

CSRDグローバル開示への対応を行う企業がSSBJ対応を検討する場合に想定される論点・対応内容・追加対応の要否は以下のとおりと考えています。CSRD対応の一部はSSBJ対応に反映可能であるが、SSBJ独自の対応が追加で求められるものと考えられます。

図表4:先行するCSRD/ESRSとSSBJ基準の比較 2/2
項目         論点 対応内容
マテリアリティ
  • SSBJ(シングルマテリアリティ)のマテリアリティ評価はどう行うのか
  • ESRSのダブルマテリアリティ分析から、リスク・機会を抽出してシングルマテリアリティ評価の実施が可能
開示項目
  • 気候変動のほか、何を開示すべきか
  • CSRD開示項目をそのまま使えるか
  • 気候変動以外の項目については、SSBJのマテリアリティ評価の結果、マテリアルとされた項目について一般基準に基づき開示
  • ESRSとSSBJは気候変動を含めて開示要求に差異があり、すべての項目をそのまま使うのは不可能。追加対応の要否を検討することが必要
  • SSBJではSASB業種別基準を考慮するかの検討が必要(但しCSRDのダブルマテリアリティロングリスト作成時に考慮済)
情報提供場所
  • 有価証券報告書にどこまで何を開示するか
  • CSRDはマネジメントレポート、SSBJは有価証券報告書での開示を想定しており、相互参照はできないと想定(最終的には法規制で確定されるため、現時点で未定)
  • 現状の有価証券報告書におけるサステナビリティ開示は、SSBJが求める4つのピラー構成にはなっていないため、構成の見直しが必要
  • 有価証券報告書上の記載事項(サステナビリティ開示・事業等のリスク等)と調整が必要。現時点で明確な要求はないが、既存の有価証券報告書の作成プロセスを調整が必要となる可能性

レポーティングライン

(承認プロセス)

  • CSRDとSSBJで必要なレポーティングラインは異なるのか
  • SSBJには承認プロセスを社内に構築する旨の規程があり、CSRD/ESRSには明確な規程はない
  • 両基準のレポーティングへの承認プロセスに差異を設ける必要は特段ない
  • ただし、有価証券報告書には既存の承認プロセスがあり、サステナビリティ情報を含む承認プロセスをCSRDに合わせるのか、別途構築するのかは検討が必要
報告タイミング
  • 報告のタイミングは異なるのか
  • 両基準に関する各国法規制が求める報告タイミングでの対応が必要
保証水準
  • 保証の程度はどうなるか
  • 内部統制に依拠するのか
  • CSRDと同等(限定的保証)を想定
  • CSRD同様に、内部統制は保証の対象外と想定

ISSB基準をベースとした各国の規制化の動向

ISSB基準が証券監督者国際機構(IOSCO)によって承認されたことにより、日本を含む130を超える国や地域の資本市場当局が、この基準をどのように自国の規制のフレームワークに組み込むかを検討しています。

図表5:ISSB基準をベースとした各国の規制化の動向
基準化ステータス 施行時期 保証
英国 2025年第一四半期まで基準のコンサルテーション 2026年1月かそれ以降
トルコ IFRS S1/S2の完全適用 2026年1月かそれ以降 2026年1月より義務化
カナダ 2024年3月~6月まで基準草案のコンサルテーション 2025年1月
中国 2024年6月末までIFRS S1とダブルマテリアリティに沿ったESG開示フレームワークのコンサルテーション
香港 適用ロードマップの開発中  
韓国 2024年6月までに基準の最終化 2026年1月かそれ以降
台湾 2024年6月までに基準の最終化 2026年1月~2028年1月にかけて上場企業に順次義務化 2029年1月より全上場企業に対してScope1、2の保証義務化
シンガポール IFRS S2に基づく気候関連開示の義務化

上場企業は2025年1月、

10億シンガポールドル以上の非上場企業は2027年1月

2027年1月より上場企業に対してScope1、2の保証義務化、2029年1月より大規模非上場企業に保証義務化
豪州

ISSB基準をベースとして修正

  • 2024年9月9日財務改正法可決・確定
  • IFRS S2の気候関連のリスクと機会にのみ適用を限定してスタート、順次適用基準範囲を拡大

上場・非上場企業で要件を満たす事業体
 2025 年 1月 1日から3段階で義務化

全該当事業体は2028 年までに報告を開始

義務化と同タイミングで義務化

企業が直面する課題

サステナビリティ情報の法定開示は単に開示情報の充実だけではなく、①サステナビリティ情報の内部統制の構築、②企業戦略から情報開示までのつながりをもったマテリアリティの特定とその実践、③財務と非財務の統合に向けたインパクトの計測と管理といった企業経営の根幹をなす重要な課題を提起しています。

企業が 直面する課題

PwCによる法定開示(ISSB/SSBJ)対応支援

PwC Japanグループは以下のサービスを通じて企業が直面する課題への対応を支援します。

グローバルに事業を展開している企業において、ISSB/SSBJのみならず、EUの企業サステナビリティ報告指令(CSRD)に基づく欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)など、複数の基準の適用が求められる場合には、各開示規制に個別に対応するだけではなく、開示規制を横断的に捉えてグループでの開示全体像の検討が重要となります。また、日本以外の子会社所在国の開示規制やその他の開示基準などの動向も把握し、グループ全体の包括的かつ重複のないサステナビリティ開示を実現するための構想、アクションプラン、ロードマップの策定を含む情報開示戦略の立案を支援します。

適切な情報開示戦略を踏まえて、サステナビリティ情報の開示方針の策定と網羅的かつ正確な情報収集を行うための内部統制を含む業務プロセスおよびシステムといったガバナンス体制の構築、さらには第三者保証に向けた準備までを一気通貫でサポートします。

PwCによる法定開示 (ISSB/SSBJ)対応支援

情報開示戦略の立案

日本におけるサステナビリティ情報開示義務化への対応にあたり、日本以外の子会社所在国の開示規制やその他の開示基準などの動向も把握し、親会社リードの下でグループ全体の包括的・効率的な構想・アクションプランを立て、有益な情報開示を実現する支援を行います。

情報開示戦略 1/2
情報開示戦略 2/2

マテリアリティ分析

サステナビリティ経営を進めていくうえで、企業として取り組むべき戦略的重点領域(重要課題)を特定する手法であり、特定したそれらの重要課題がもたらすリスクと機会に適切に対処していくことが企業の中長期的な成長にとって必要となります。サステナビリティ経営とサステナビリティ開示基準の両方の視点を踏まえて、クライアントの重要課題を特定することを支援します。

マテリアリティ分析 1/2
マテリアリティ分析 2/2

開示内容の策定

現在、国際水準の日本版サステナビリティ情報開示基準が、法定開示に取り込まれる予定です。PwCは、効率的かつ網羅的なアプローチを通じて第三者保証に耐えうる開示プロセスの策定、およびステークホルダーとの円滑なコミュニケーションに資する情報開示を支援します。

開示内容の策定 1/2
開示内容の策定 2/2

保証プロバイダーとのコミュニケーション

企業が開示するサステナビリティ報告について、その信頼性を担保してほしいという社会的な要請から保証を受けることが求められてきており、保証に関する基準も策定されてきています。そのような環境下で、保証人とのコミュニケーションや対応を適切に行うことは、スムーズに保証を受けるために極めて重要です。

保証プロバイダーとのコミュニケーション 1/2
保証プロバイダーとのコミュニケーション 2/2

プロセス/内部統制の整備

既存の内部統制基盤(規程・文書化・整備・運用・評価)の枠組みを最大限活用しつつも、サステナビリティ情報/非財務情報に特有の論点を加味した、サステナビリティ情報開示にかかる堅確、かつ、第三者保証に耐える内部統制基盤を構築することを支援します。

プロセス/内部統制の整備 2/2

サステナビリティ開示に関するPwCの強み

サステナビリティ開示基準に対する知見の活用

私たちは、IFRS財団やSSBJの検討への参画、人材拠出などを通じてISSB/SSBJ開示基準に対する深い理解を有しています。これらの経験、知識を基にクライアントのサステナビリティ開示における重要論点の洗い出しとギャップ分析における優先順位づけを実施し、リスクフォーカスな対応を行うことで、タイトなスケジュールの中でも必要十分なプラニングを達成します。

PwCが持つESG情報開示関連ツールの活用

私たちは、PwCグローバルネットワークで開発されたメソドロジーやESG情報開示関連ツール、テンプレートを多数、有しており、実務で活用しています。これにより、効率的かつ網羅的な対応が可能となるとともに、これらのツールを使った検討結果は、将来の保証対応におけるエビデンスとして活用することができます。

非財務情報開示に関する他社実務の知見の活用

私たちは、国内外でISSB/SSBJ対応を含むESG開示支援経験を豊富に有しています。他社事例を熟知したメンバーが関与することにより、要所・勘所を押さえたプロジェクト支援が可能となります。

PwCグローバルネットワークの活用

私たちは、EUを含め世界中に展開しているPwCグローバルネットワークのメンバーファームであり、そのネットワークを活用することで、クライアントが海外を含む子会社と効果的なコミュニケーションを行い、グループ一体でサステナビリティ情報開示に取り組むことを実現します。 

主要メンバー

安田 裕規

パートナー, PwC Japan有限責任監査法人

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田原 英俊

パートナー, PwC Japan有限責任監査法人

Email

浅野 圭子

パートナー, PwC Japan有限責任監査法人

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村永 淳

パートナー, PwC Japan有限責任監査法人

Email

片山 喬博

ディレクター, PwC Japan有限責任監査法人

Email

中村 良佑

ディレクター, PwC Japan有限責任監査法人

Email

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