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2024年7月に発効したEUのコーポレート・サステナビリティ・デューディリジェンス指令(Corporate Sustainability Due Diligence Directive、以下CSDDD)は、一定の売上高等の要件を満たす適用対象企業(EU域外企業を含む)に対して、人権および環境デューディリジェンスの実施や開示等を義務付けるものであり、罰則規定も含まれています。発効から2年以内に、EU 加盟国が対応する国内法を制定することとされており、当該国内法の施行後、正式に法令上の効力を有することとなります。
CSDDDは2027年7月以降、段階的に企業への適用が開始され、EU域外企業として適用対象となる日本企業としては、欧州に対して輸出入を行う製造業、グローバルに展開する商社、大規模なサプライチェーンを持つ小売業、そして金融業などが想定されます。また、直接的には適用対象とならない日本企業にとっても、取引先の欧州企業からのCSDDD対応としての具体的な要請等を通じて、実務上の大きな影響を受ける可能性があります。
通常の人権デューディリジェンスでも一通り実施するには複数年かける企業が多いことから、国内法の施行までに十分な時間的猶予があるとは言えません。そのため、日本企業は現状の把握や今後の取り組み方針の策定、社内体制の整備など、今の段階からCSDDDへ対応していくことが必要となります。
※CSDDD概要や適用対象企業等については、「EUのコーポレート・サステナビリティ・デューディリジェンス指令(CSDDD)の発効と日本企業の対応」をご参照ください。
PwCはこうした課題に直面する企業に対して、現在取り組んでいる人権および環境デューディリジェンスの現状を把握し、CSDDDの要件に対応するために必要な対策の取り組み状況を評価する簡易診断サービスを提供します。
企業が保有・公開している情報からCSDDDで求められるデューディリジェンスに関連する箇所を特定し、課題や改善点をまとめた簡易診断レポートを作成します。既存の社内文書や開示資料のレビューを通じて診断を行うため、約2~3週間ほどで迅速な診断が提供可能です。
簡易診断では、まず現状の分析(Step1)を行い、次に課題を特定(Step2)し、最後に今後の取り組み事項を提示(Step3)します。簡易診断により、企業はCSDDDに対応するための具体的なアクションプランを策定することが可能となります。
リスク管理に関する社内文書、有価証券報告書、統合レポート等の開示情報をもとに、CSDDDの実施項目に該当する企業の取り組み状況についてチェックリストを用いて確認・分析し、現状を整理します。また、開示情報からだけでは分からない取り組み状況を理解するために、必要に応じて、日本国内および欧州のグループ拠点のサステナビリティ担当者などにヒアリングを実施します。現状の分析により、企業は自社の現在地を正確に把握することが可能となります。
具体的には、8つの実施事項(大項目)として①企業の方針やリスク管理システムへの取り込み、②負の影響の特定と評価、③予防・軽減・是正措置、④苦情処理メカニズムの構築・運用、⑤モニタリング・効果検証、⑥ステークホルダーとの対話、⑦デューディリジェンス実施結果の公開、⑧気候変動緩和のための移行計画についてどのレベルにおいて実施しているか、チェックリストを用いて分析を行います。
例えば、以下のアウトプットイメージでは、CSDDDの第9条~第12条で求められている抽象度の高い実施事項(大項目)「③予防・軽減・是正措置」に対して、実施事項(小項目)まで詳細化してチェックリストに落とし込み、自社および取引先の取り組み状況をヒアリングした結果をまとめています。
既に多くの日本企業が人権および環境デューディリジェンスに取り組んでいますが、CSDDDの要求は非常に詳細であり、従来の対応だけでは不十分となる可能性があります。そのため、PwCの知見をもとに整理したチェックリストを活用することで、効率的に現状の分析を実施できます。
Step 1で確認した企業の体制やリスク評価の取組状況等が、CSDDDの要求事項を満たしているか、網羅的なチェックリストをもとに詳細評価を行います。この詳細評価では、CSDDDの要求事項とのギャップを明確化することにより、企業の取り組みが不足している点などを課題として特定します。課題の特定にあたっては、社内の取り組みのみならず、社外ステークホルダーとの取引における要求事項の状況も確認し、レーダーチャートで取り組み状況の全体像を可視化します。
例えば、以下のアウトプットイメージでは、実施事項(大項目)「③予防・軽減・是正措置」の評価項目に対して、限定的な調査しかなされていない、予防措置としての内部統制対応で社内規則や業務プロセスにまで落とし込みができてないなどのギャップを明確化し、実施事項(大項目)「③予防・軽減・是正措置」の取り組みが不十分であることを課題として特定しています。
Step 2で特定した課題をもとに、今後取り組みが必要な事項ごとに優先順位をつけて、課題解決に向けた改善の方向性や実施すべき対応策を提示します。
例えば、以下のアウトプットイメージでは、取引先に対して契約書への自社調達ガイドライン順守依頼の明記をしていないこと、取り組み不十分なサプライヤーへの是正依頼を行っていないことから、実施事項(大項目)「③予防・軽減・是正措置」の優先度を高いと判断しています。そして、PwCの知見に基づき「CSR条項を盛り込んだ契約書の用意」と「サプライヤーへの是正準備」をネクストアクションとして提案しています。
簡易診断後、企業は自社が直面する各課題の詳細を把握し、改善に向けた具体的な構想の策定や施策の実施などに取り組む必要があります。PwCコンサルティングは、企業のサステナビリティ対応やリスク管理態勢の構築・実行について豊富な支援実績を有しており、必要に応じて簡易診断後の活動についてもサポートが可能です。
北崎 陽三
マネージャー, PwCコンサルティング合同会社