多くの日本企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を重要アジェンダと捉え、さまざまな施策に取り組んでいます。PwCでも企業の方と対話する中で、DXにより成果を発揮している企業と、思うように成果が出せずに停滞している企業に二極化が進んでいると感じています。
PwCが2022年に実施した調査(図表1)では、DX先進企業(AI・IoTなどの最新テクノロジーを活用した業務・製造プロセスのデジタル化、または新規事業やビジネスモデルの変革に取り組んでおり、期待を上回る成果が出ている企業)に該当する企業は調査対象の14.2%に留まっています。
このようなDX先進企業のように、期待を上回る成果を出すために必要な要素はいくつかありますが、その中でPwCが着目しているのはCxOのリーダーシップです。DXを推進するにあたっては、専門組織の設置に加え、しかるべき権限を有したリーダーの存在がDXの成否を左右することが調査結果から分かっています。
具体的には、Chief Information Officer(CIO)などのCxOが、既存の組織力学に振り回されることなく、全社視点で組織横断的に取り組む権限と責任を有することが重要になってきます。「CxOを設置している」と回答した企業幹部のうち17%が自社のDXの取り組みに対して「十分な成果が出ている」と回答した一方で、「CxOを設置していない」と回答した企業幹部のうちDXの取り組みに対して「十分な成果が出ている」としたのは3%に過ぎず、その差は歴然です。つまり、全社的にDXを推進するためには、その責任者を明確にした上で、社内外に分かりやすく伝え、強力なリーダーシップの下で各種DX施策を実行することが重要と言えます(図表2)。
では実際に全社DXを統括し、成果を上げるCxOはどのような役割を担っているのでしょうか。本ページではCxOの中でも特にCIOが検討すべき主要なアジェンダについて注目していきます。
CIOは新たなテクノロジーの活用によるビジネス変革が主題となるデジタル時代のアジェンダに対して、従前とは異なるアプローチをとる必要があります。一方で、従来の重要アジェンダに対して継続的に対応することも求められます。
デジタル時代において、CIO配下のIT部門の役割は従来のITインフラの保守・運用から、テクノロジーの活用によるビジネスへの直接貢献にシフトしています。移行期においては、自社にてテクノロジー活用を推進するケイパビリティの獲得や、その実現のためのデジタル人材の採用・育成・定着、事業部門の要求に追随するアーキテクチャのデザイン、競争優位性を生むデータの収集・分析環境の確立など、従前とは異なるアジェンダが出現します。
一方で、IT部門のトラディショナルなアジェンダである、組織のビジョン・戦略に対する社員の当事者意識の醸成、全社戦略に沿ったコア事業への投資の振り向け、事業部門やグループ会社を含めたITガバナンスの確立、経営層・業務部門の社員のデジタルリテラシーの向上、日々出現するセキュリティ脅威への対策に対しても継続的に対応する必要があります。
PwCでは、ビジネス変革に伴って従来のITインフラの保守・運用から、テクノロジーの活用によるビジネスへの直接貢献へと役割が変化するCIOを支援するため、デジタル時代のアジェンダ、及びトラディショナルなアジェンダに対するサービスを提供し、CIOとともに企業の成長へ貢献します。
企業がDXで成果を発揮するためには、DX人材の確保が欠かせません。しかし現業を抱えたままでの人材育成や、社外から採用した市場価値の高い人材の採用・定着は困難であると想定されます。
PwCは、AIやデータ利活用、アジャイル開発スキル、企業のデジタル人材の要件に沿った実践型・伴走型の育成支援、人材定着に必要なトータルリワードの検討などを通じて、企業のDX人材確保を支援します。
今後の新サービスや新事業には、デジタルやITの技術活用が欠かせないと考えています。IT部門は従来からのコスト部門に留まるのではなく、デジタルやITの知見を活かし、経営や事業への積極的な貢献が求められています。
PwCは、IT部門が主導するデジタルやIT技術を使った新事業・新サービス創造の推進と実行を支援します。
テクノロジーの進歩が著しい昨今では、Tech-Giantに対抗すべく、「何をすべきか」という従来の事業計画の策定に加えて、「技術を用いて何ができるか」を発想し、企業の非連続的な成長を支える必要があります。
PwCは、技術起点のビジネス変革への貢献に向け、プロトタイピングによる短期間での最新技術のビジネス応用性の検証などを通じ、Tech-Drivenな事業戦略・技術戦略の策定を支援します。
不確実性が高まる現代においては、ビジネスや環境の変化に応じたシステムの弾力性や俊敏性の向上により、世の中のニーズに迅速に応えていく必要があります。
PwCは、事業部の要望に俊敏に応えるクラウドサービスの活用方針検討や、カルチャー変革も含めたアーキテクチャ再構築、システム間のデータ連携のスピードを高めるIntegration Hubの導入支援などを提供します。
あらゆる経営アジェンダに「デジタル」が絡み、「データ利活用」に本腰を入れて取り組む企業も増えていますが、 データの利活用による事業活動への付加価値創出ができている企業はまだ多くありません。
PwCは、クライアントのデータマネタイズポテンシャルやデータの利活用実態の評価結果を踏まえたうえで、企画策定から実行までを支援します。
CIOやCDOにとってのIT戦略の課題は、戦略の立案段階ではなく、その実行・実現段階にあります。
PwCのIT戦略策定支援は、未来想像型のワークショップを活用し、戦略策定段階からIT部門の主要メンバーを巻き込みながら策定を進めます。そうすることで意見を戦略に反映し、メンバーのコミットメントを引き出し、実行段階においても、主要メンバーが一丸となって実行していく組織文化の醸成に貢献します。
<関連サービス>
未来創造型IT戦略策定
即効性があるITコスト削減施策とともに、中長期的なITコスト削減の余地を検討し、成長領域への投資原資を確保することが肝要です。
PwCでは維持管理に割いていたリソースを圧縮し、圧縮したリソースを新規投資に割り当てることで、維持管理コスト中心からデジタル投資など新規投資中心のITポートフォリオへの移行を支援します。
新しい技術や社会変化に対応し、健全な企業経営を行っていくためには、ガバナンスの整備・強化が不可欠となります。
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昨今の急激に変化するビジネス環境においては、経営者を含む全社員にはITに関する意識の向上・知識の習得が求められており、特に情報資産を守るためには、セキュリティに関するリテラシー向上が重要です。
PwCでは役割に応じた最適なセキュリティ人材育成プログラムを企画するとともに、多彩なサイバーセキュリティ教育プログラムを提供することでクライアントのリテラシー向上に貢献します。
第三者からのサイバー攻撃がビジネスに与えるインパクトが増大しており、企業にはサイバーインシデントへの対策が求められています。
PwCは、企業のITシステム、OT(Operational Technology)システム、IoTの領域におけるサイバーセキュリティ対策の策定を支援します。具体的には、高度なサイバー攻撃の検知をはじめ、インシデントが発生した際の迅速な事故対応や被害の最小化、さらには再発防止から対策の抜本的見直しまで、業種・業界の特性を踏まえたさまざまなアプローチを通じて、クライアントにとって最適なサイバーセキュリティ対策の実行を支援します。