
「生物多様性を含めた自然資本を回復させる」。一言で表現するとシンプルですが、企業が実際にネイチャーポジティブに取り組もうとする際、その複雑さは大きな壁となりかねません。
産業セクターごとに対応すべきポイントを理解することは、ネイチャーポジティブへの取り組みを進める際に非常に有益です。PwCは、ネイチャーポジティブ実現を目指す企業を支援するため、各産業セクターが抱える個別の事情や背景を読み解き、そこから浮かび上がる課題に対してきめ細かいソリューションを提供します。
「ネイチャーポジティブ」は、企業・経済活動によって生じる自然環境への負の影響を抑え「生物の多様性を維持する」という従来の発想から大きく踏み込んで、「2020年を基準として2030年までに自然の損失を止め、反転させ、2050年までに完全な回復を達成する」ことを目指す概念です。私たちの日々の生活や経済活動は、自然資本の生み出す生態系サービスに大きく依存して成り立っています。しかしいま、自然およびその生物多様性は、人間活動を主な原因として大きく毀損され、これにより社会の基盤そのものが危機にさらされていると言われています。この状況を変えるため、企業や政府、NGO、アカデミアや国際社会がともに取り組む社会目標が、ネイチャーポジティブです。
2022年12月に開催された生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)では、2030年までの新たな世界目標である「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択されました。この枠組みには、企業や金融機関が自社のバリューチェーンやポートフォリオを対象に、自然の回復に向けた取り組みを進めるべきであることが盛り込まれています。自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)は2023年9月、フレームワークの最終提言となるv1.0を正式に公開し、企業が自然関連のリスクと機会を評価・報告するための指針を提供しています。2024年10月には、生物多様性条約第16回締約国会議(COP16)にて、TNFDに沿った情報開示を行うことを約束した企業(TNFD Adopters)数が500社を超えたことが発表され、現在もなお増え続けています。
このような国際動向を踏まえ、ステークホルダーからの信頼維持、長期的な成長の実現のためにも、企業は自然資本の重要性を認識した積極的な取り組みが求められています。まずは、TNFDの開示フレームワークや、評価方法論であるLEAPアプローチ(図表参照)を活用して、自社の事業が自然に与えるインパクトと依存を評価し、適切な情報開示を行うことが重要です。
また、社会がネイチャーポジティブに向かう変化は、カーボンニュートラルや人権尊重の流れと交わることで、より大きなうねりとなって社会を変革します。この動きは、幅広い業界に新たなビジネス機会を生み出しつつあります。こうした新たな政策や規制、金融システムや消費者選好の変化、技術の進歩といったトレンドを考慮しながら戦略的に行動することで、企業はネイチャーポジティブの実現に貢献するとともに、自社の長期的な企業価値向上につなげていくことができるでしょう。
ネイチャーポジティブと長期的企業価値の向上を実現するためには、自社の現状評価を土台とした、中長期的な戦略の計画と、着実な変革への行動が重要です。PwC Japanグループのネイチャーポジティブ経営支援では、TNFD LEAPアプローチに沿いながら、クライアントの実情に即した自然へのインパクト・依存の評価、リスクとビジネス機会の特定・優先度付け、リスクの回避策・機会獲得策の考案、指標・目標設定、開示準備を支援します。さらに、新たな規制や顧客および業界のニーズを捉えたネイチャーポジティブに資する新規事業戦略の立案・実行や、サプライヤーなどのステークホルダーと連携した現場変革まで伴走します。
PwCは日本国内にて事業会社、金融機関、行政、アカデミアなどのクライアントへ数多くの自然資本・生物多様性関連プロジェクトを提供してきた実績があり、グローバルではTNFDや科学に基づく目標を設定するネットワーク組織であるScience Based Targets Network (SBTN)、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)など主要な国際イニシアチブと協業してきた経験とネットワークを持っています。また生態学、環境学、国際開発、経営学などネイチャーポジティブ経営に求められる学位、職務経験を有する専門家による専門性の高いサービスを提供しています。
「ネイチャーポジティブ経営の実践」の連載では、規制やイニシアティブの動向、投資家の動きなども見据えながら、ネイチャーポジティブの全体像と、自然への影響や生物多様性に関する機会・リスクへの企業における取組みを紹介していきます。
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連載「生物多様性とネイチャーポジティブ」では、自然への影響や生物多様性に関する機会・リスクのほか、ネイチャーポジティブに挑戦している事例を業界ごとに紹介しています。第8回は、エネルギー業界に焦点を当てます。
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