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ここ数年、サステナビリティ経営の主流化が進み、サステナビリティ、ESG、SDGsなどの言葉を耳にしない日はありません。なぜこのように、サステナビリティ経営が重視されるようになったのでしょうか。それは第一に、ビジネスが依存する環境社会を巡るメガトレンドが、ビジネスに大きな影響を与えるようになったからです。例えば、気候変動による農作物生産パターンの変化や資源枯渇という環境課題は、国家間紛争のような地政学的動向の影響も受け、さまざまな企業の安定調達を脅かし始めています。
第二の理由として、こうしたメガトレンドを受けて、企業を取り巻くさまざまなステークホルダーが、企業に対して「今までのような外部不経済を前提としたビジネスの仕方を変えてください」という要請を強めていることが挙げられます。そして第三に、こうしたステークホルダーの要請を強く受けるグローバル企業が、自社のサプライヤーに同様の対応を求めるようになった結果、グローバル企業以外にもサステナビリティ対応の必要性が広がったからです。
サステナビリティ経営において経済、環境、社会はそれぞれ独立した要素ではなく、「親亀・子亀」の構造になっています。環境や社会の価値を毀損すると、経済活動の基盤が揺らぐ、すなわち「親亀こけたら皆こける」という依存関係にあります。
2013年に国際統合報告評議会(IIRC)が発表した「統合報告フレームワーク」の中で、「統合思考」という考え方が提示されました。「統合思考」は、長期的視点に立ちながら、「経済活動の前提としての社会があり、さらに社会が成り立つ前提としての環境がある」と考え、その上でどのように経済活動を行い、企業価値を創造するかという点を意識して作られています。決して従来の企業経営における経済活動を軽視しているわけではなく、むしろ財務資本は企業の存続に欠かせない重要なものとしてとらえられており、PwCにおいてもこの考え方をサステナビリティ経営の根幹に置いています。
統合思考を分かりやすく理解するためにモデル化されたのが「価値創造プロセス」(「オクトパスモデル」とも呼ばれる)です。
この統合思考を組み込んだ経営ができている企業とできていない企業では、価値創造プロセスの正の循環に大きな違いが生まれます。PwCは「統合思考型サステナビリティ経営」を実践することが、企業のサステナビリティ経営の解になると考えています。
この統合思考フレームワークの解像度を高め、さまざまな経営課題に対応できるようにする必要があります。PwC Japanグループでは、サステナビリティ経営における企業活動が「自社の将来財務」と「自然資本/社会・関係資本」へ与える影響(インパクト)とその経路である「インパクトパス」※1を可視化する支援サービスSustainability Value Visualizerを開発しました。
※1:インパクトパス:PwCが独自に設定した、企業活動のサステナブル化(未来志向、長期志向に立って企業活動を変革していくこと)が自社の将来財務にインパクトを与える経路。
PwC Japanグループが独自に開発した、サステナビリティ経営における企業活動のインパクトを可視化するサービスであり、2つのインパクトを対象としています。
A) 企業活動が自社の将来財務に与えるインパクト(将来財務インパクト)
B) 企業活動が自然資本および社会・関係資本に与えるインパクト(環境・社会インパクト)
それぞれのサービスの具体的な内容は、以下の各支援の紹介ページをご覧ください。
将来財務インパクト、環境・社会インパクトのそれぞれを検討することによる経営への活用効果は、各サービスの紹介ページにて詳説していますが、ここでは、サステナビリティのインパクト可視化が企業経営において今日ほど注目されている背景をご説明します。
その理由の1つは、金融機関や投資家を含めた社外からの非財務情報開示の流れが強まっていることにあります。国際会計基準(IFRS)財団が2021年11月に国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)を設立して以降、各国で非財務情報に関する開示規制が活発化しており、中でもEUにおける開示基準の企業サステナビリティ報告指令(CSRD)および欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)は、その対象範囲の広さや要求項目の多さ、強制力の強さなどから注目度の高さが伺えます。
もう1つは、経営者として企業価値を高めるうえで、無形資産(非財務資本)を無視できなくなってきていることにあります。株式時価総額と簿価純資産額の比率を見る指標としてPBR(株価純資産倍率)があり、1以上であれば「時価総額>簿価純資産額」となりますが、日本企業のPBRは欧米企業に比して低水準となっています。換言すると、日本企業は財務数値には表れない無形資産を企業価値創造に十分活用できていないと言えます。
この2つの流れを踏まえて、経営者の関心は、開示を通じてサステナビリティ経営を進化させ「サステナビリティ情報開示における非財務情報と、企業価値の向上をどう関連付けるか」という本質的な問いに集まっているのです。
近年はインパクト可視化に関する社会的ニーズの高まりに伴い、関連するイニシアティブやツールが多く台頭してきています。下記の図では各種のイニシアティブ、ツールが取り扱う範囲をマッピングしています。PwCのSustainability Value Visualizerは「算出フレーム・方法論」および「ツール・データセット」を提供します。
環境・社会インパクトの可視化に関連して、注目度の高いイニシアティブの1つがImpact Weighted Accounts Initiative(IWAI)が提唱するインパクト加重会計(IWA)の取り組みで、欧米に加え、日本の先進企業も導入を進めています。IWAもSustainability Value Visualizerも、企業の活動・アウトプットがもたらすインパクトを可視化・定量化し、経営に活かすという点で共通しており、両立が可能です。その一方で、Sustainability Value Visualizerは下記の点で、IWAとの相違点があります。
「インパクトベースのサステナビリティ経営~インパクト加重会計(IWA)フレームワークの理解とインパクト可視化の今後の展望」
また、PwCは統合思考経営に求められる要素に基づいた成熟度診断サービスを開発し、提供しています。これにより、フレームワークを用いた評価や、競合他社比較を踏まえた課題の抽出、評価結果を基にした今後の対応策の検討が可能です。統合思考経営の実現にあたり、自社の現状把握にお役立ていただけます。