
後編 サステナブル経営(ESG対応)における 企業活動と「人権」の尊重
本稿では、「サステナブル経営(ESG対応)における企業活動と『人権』の尊重」について、前号(2021年11月号)と今号の2回に分けて解説しています。後編では、4.人権方針によるコミットメント、5.バリューチェーンにおける人権デュー・ディリジェンスの必要性および対応について解説します。
外部機関やステークホルダーがサプライチェーンにおいて評価する対象は、企業がどのようにリスクマネジメントを行っているかという点にとどまらず、サプライヤーを含むサプライチェーン全体で環境・社会問題にどのように対応しているのかという範囲にまで広がりつつあります。加えて、近年はグローバルな視点で人権・環境を顧みない事業活動を問題視する傾向が強まっており、企業にはリスクを特定し、対応することが求められています。
サプライチェーン上に環境・社会問題が発生するのを防ぎ、また解決するためには、自社だけで対応するのではなく、上流にある1次・2次・3次以降のサプライヤーや、下流にある卸・小売と協働することが求められています。サプライチェーン全体でサステナビリティ課題対応に向けてモニタリングと改善を行うことが、サステナブルなサプライチェーンを推進するにあたっては重要です。
サステナブルなサプライチェーンを構築するためには、サステナビリティ課題に取り組む現状を理解することが重要です。PwCが開発したサステナブルサプライチェーン診断ツールは現状の把握やリスク・機会の特定を行い、今後取り組むべき対応策の整理をし、外部機関やステークホルダーに開示することを支援いたします。
本ツールは、PwCに蓄積されたナレッジや国際スタンダードを反映した評価軸に基づき、企業の公開情報や関係者へのヒアリングを踏まえて、サプライチェーン全体における環境・社会課題への取り組み状況を評価します。
① 現状分析:開示情報をベースに取り組み実施有無の評価およびレベルをリサーチします。
また、関係者へのヒアリングにより、十分な理解を深めた上で、評価を精査します。
② 外部環境分析/重要課題の整理:サステナビリティ課題ごとに、バリューチェーン上の取り組み状況について、業界やサステナビリティ先進企業と比較して評価します。
評価にもとづき、自社で取り組むべき重要課題を特定・整理します。
③ 改善案の提示:診断結果をもとに、サステナビリティ課題およびバリューチェーン上での課題の解決に向け、実施すべき対応策を提案します。
気候変動、資源・廃棄物、水、生物多様性、人権といったサステナビリティ課題別に「現状把握」「目標設定」「取り組み」を0-5点で評価します。評価結果は、業界や競合とも比較することで、自社にて注力して取り組むべき課題を抽出できます。自社の現在のポジションや強み・弱みの特定につながります。私たちは、本診断の結果に基づいて、今後の対応策や対応実施により期待される効果などを整理し、提案します。
上記に加え、環境リスクと機会の把握を特定するサービスはこちらをご覧ください。
本稿では、「サステナブル経営(ESG対応)における企業活動と『人権』の尊重」について、前号(2021年11月号)と今号の2回に分けて解説しています。後編では、4.人権方針によるコミットメント、5.バリューチェーンにおける人権デュー・ディリジェンスの必要性および対応について解説します。
本稿では「サステナブル経営(ESG対応)における企業活動と『人権』の尊重」について、今号と次号(2022年1月号)の2回に分けて解説していきます。前編では、1. 企業の人権尊重(ビジネスと人権)を巡る潮流、2. 企業が尊重すべき人権とその在り方、3. 世界的潮流とハード・ローとソフト・ローの併存を扱います。
今回は、ドイツの連邦議会で2021年6月に可決された「サプライチェーンにおける人権侵害防止のための企業のデュー・ディリジェンス義務に関する法律」が日本企業およびそのサプライチェーンに与える影響について解説します。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な拡大は、サプライチェーンに甚大な影響を及ぼしました。不確実性が高い時代に必要とされるサプライチェーンのあり方を定義し、効果的なサプライチェーンマネジメント(SCM)実現に向けた施策を考えます。