Our Approach

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産業を俯瞰する視点の「高さ」と専門性の「深さ」を併せ持ち、新しい価値を提供していく

チーフ・ストラテジー・オフィサー
チーフ・イノベーション・オフィサー
桂 憲司
PwC Japan合同会社 代表執行役副社長


PwCはグローバルで新たに戦略領域を定めました。「社会における信頼を構築し、重要な課題を解決する」というパーパスは不変ですが、「では、その社会は何を求めているのか」をまず考え抜き、そこを起点に私たちが重点的に取り組んでいくべきビジネスの領域を設定したものです。

これらは社会課題から導き出したあるべき未来を目指していくための「ストーリー」だと考えています。これまでPwC Japanが取り組んできたさまざまなサービスが全てこのお客様視点のストーリーの中に組み込まれ、今後は私たち新しい経営体制のもとでその実現に向けて進んでいくこととなります。

戦略領域については急速に変化する社会課題に応じて今後も検討を深めていきますが、今回はその具体例をご紹介させていただきます。

まずは「Trust in What Matters」です。信頼の重要性については前章までに重ねて申し上げてきました。価値観が多様化する現代にあって、社会における信頼をどう築いていくか。その観点から、お客様の抱える課題解決の支援を通じPwCが培ってきた信頼に関する取り組みを、広く社会に生かしていきたいと考えています。

次に挙げるのが「Business Model Reinvention」です。企業は急激な変化への対応を迫られています。しかし、長年の努力によって現在の経営基盤を築き上げてきた企業ほど、逆に自らの力だけでそれを抜本的に見直していくことが難しくなるのではないでしょうか。将来を担うビジネスモデルを見極め、社内や株主などステークホルダーとの対話を通じてそれを不断に見直していく作業は、まさに「再発明」というべき難しさと、それゆえの高い価値を持つこととなります。もちろん、そこには信頼の観点が欠かせません。

「Sustainability」や「AI」にも言及する必要があるでしょう。例えば、持続可能性について考えるうえで象徴的な気候変動問題は、一企業もしくは一国家での解決は不可能です。これに立ち向かうには国境を超え、さらに産学官といった所属の枠すらも超えた連携が不可欠となります。世界中で研究が進むAIに関する議論も、国際社会全体で最適解を模索する必要があります。

コロナ禍の発生は、大きなイデオロギー変化をもたらしたと感じています。この未曽有のパンデミックへの対応も、国境そして産学官の枠を超えたグローバルの取り組みに発展しました。コロナ禍が収束に向かう現在、世界では再び分断の懸念が強まりつつあります。私たちはPwCのグローバルネットワークとの連携を深め、不可逆的に重要性を増すSustainabilityやAIに関する取り組みを通じて、分断を防ぐ役割を担っていきたいと考えています。

産業を俯瞰する視点の「高さ」と専門性の「深さ」を

PwC Japanではシンクタンク部門であるPwC Intelligenceや、先進技術の分析・実証を行うTechnology Laboratoryなどを創設してきました。

お客様の抱える課題は産業や業界の垣根を越えるようになっており、その解決策もまた、そうした垣根を越えた視点で検討していく必要があります。マクロ経済の視点から産業全体を俯瞰する「高さ」、そして先進技術における専門性の「深さ」を併せ持つ必要があると考えたことが、一連の取り組みの背景にあります。

PwC Japanはグローバルで複雑化する法規制・ルールへの対応に直面する企業をサポートしてきました。規制の背景にある国家間の交渉経緯などを読み解き、日本企業のグローバルな活動を後押ししています。今後はそうした蓄積から生まれる知見を政策提言活動などに生かし、産業全体を俯瞰する視点の高さを持った取り組みをさらに進めていきたいと考えています。

Technology Laboratoryで取り扱っている先進技術も大きな可能性を秘めています。しかし、単に技術が進歩するだけでは不十分で、それが社会で広く使用されるようになるためには、さまざまな観点からの検証、特にルール整備に関する取り組みが欠かせません。私たちは外部の専門家や組織と連携し、生成AIや3次元空間情報、量子技術といった新しい技術の社会実装に向けた研究を進めています。先進技術は今この瞬間も驚異的な速度で進化しており、それに対応し続けるためにはPwCの中に存在していない外部の視点をどれだけ取り込めるかがカギとなります。

また、社会課題が常に複層的なテーマを抱えるということは、その解決策を担う人材もまた多様かつ幅広い分野に点在していることになります。そのため、自前主義にこだわっていては複雑化する社会課題を解決することは難しいという認識のもと、Technology Laboratoryの発足にあたっては当初から外部専門家との連携を想定していました。私たちが自らの取り組みを客観的に振り返り、進むべき方向性を絶えず修正していくためにも外部の視点を取り込むことが不可欠だと考えています。

Technology Laboratoryは、PwCグローバルネットワークのさまざまなラボと緊密に連携しながら先端技術に関する幅広い情報を集約し、各産業・ビジネスに関する豊富なインサイトを蓄積しています(写真下はグローバルのAsia Pacific Digital & AI Leader来訪時)。

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データの価値を社会に還元

ここまで新たに設定した戦略領域の概要や、特徴的な取り組みについてご紹介してきました。これらを踏まえ、PwC Japanとして今後注力していくビジネスの方向性についてご説明します。

最初に挙げるべき分野はデータです。戦略領域の中でもAIについて言及しましたが、生成AIはそのアルゴリズムが持つ可能性だけでなく、「どんなデータを学ばせるか」が非常に重要になるという点を広く知らしめました。 PwC Japanは幅広い業界のお客様とのビジネスの中で多様なデータを取り扱っています。信頼を付与する各業務の中で培ってきた実績を生かして情報漏洩やデータの悪用などといった負の側面に十分な対策を講じ、外部のデータとも連携しながら、その価値をお客様に還元する取り組みをさらに進めていきます。

信頼性の高いデータと生成AIの組み合わせは、単にAIが人の作業を代替することで業務効率を向上するといったレベルを大きく飛び越え、企業の戦略策定や経営の方向性を示唆するといったレベルまで届きうるものになるでしょう。そのためには個社の枠を超えて業界や産業全体といった単位でより多くのデータを利用可能にする必要があります。PwC Japanはそうした生成AIプラットフォームの構築を目指します。

次に挙げるのがマネージドサービスです。お客様から特定の事業を引き受けるこのビジネスは、ITや会計の領域ですでに広く展開されています。私たちの考えるマネージドサービスは、海外進出や事業開発などテーマに応じて経営の中枢に関係する部分を引き受ける取り組みです。お客様の持つデータやプロセスを分析し、その大前提となる戦略やガバナンスの策定から、最終的にはその実行まで一貫して手掛けます。ここで挙げた全ての領域に対応できるPwC Japanの総合力があるからこそ、高い付加価値を生むサービスになると言えます。

また、PwC Japanは広く社会に人材を輩出する企業になっていきたいと考えています。産学官連携において私たちが橋渡し役をすることで充実したエコシステムの構築を目指すと同時に、そこに必要とされている人材を供給するプラットフォームとしての役割を果たしていきたいと思います。

では、それを実現するためにPwC Japanとしてどのような手法を考えているのか。高度な専門性を持ったプロフェッショナルが成長し、PwCの枠を超えて活躍するための仕組みをどう整えているかについて、次章でご説明いたします。

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