地域課題を解決するNPOの運営基盤強化を支援 ―持続可能な社会をつくる、企業と公益法人の連携の形―

2022-12-08

休眠預金の指定活用団体である一般財団法人日本民間公益活動連携機構(以下、「JANPIA」)は、「誰ひとり取り残さない持続可能な社会作りへの触媒に。」というビジョンのもと、NPOをはじめとする民間公益団体の社会課題解決や持続的な経営基盤強化を支援するため、企業との連携に取り組んでいます。PwCあらた有限責任監査法人(以下、「PwCあらた」)はその理念に共感し、2021年から企業連携の取り組みに参画しています。

関連記事:

2022年夏には、PwCあらたの社内公募により集まったプロボノメンバーが自身の専門スキルと知識を生かしながら、地域社会の課題解決に取り組むNPOをご支援しました。

活動を支える経理基盤を整える、経理業務の効率化とマニュアル整備

NPO法人フリースクール木のねっこは、広島にあるNPO団体で、学校に通えない、通いたくない子どもたちに学びの場を提供しています。少ない人数の運営スタッフがさまざまな業務をこなす必要があるため、1つの業務に時間をかけることが難しく、経理に関しては子どもたちの保護者が担当するなど、人材や専門知識の不足が課題となっていました。一般的な経理アプリを導入して管理をしてはいるものの、「うまく使いこなせない」「現金のやり取りが多いために預金通帳との連動が難しい」といった課題も抱えていました。「うまくいっていないのは分かるけれど、どこをどう改善すればよいか分からない状況でした」(スクール理事長・岸岡さん)

そこで、PwCあらたの公認会計士である小出麻椰と實政恭平は、オンラインでのミーティングやメールで木のねっこのスタッフとやり取りを重ねながら、課題の詳細を明らかにするところからお手伝いしました。そして、少ない人数でも効率的に業務を行えるように、勘定科目体系を整理し、乖離が生じやすい現金の運用をフォーマット化しました。そのうえで、担当が変わっても内容がきちんと引継がれるように、業務マニュアルを作成しました。また、アプリ同士を接続することで預金口座を連携させるなど、可能な限り自動化する工夫も提案しました。

8月にはフリースクールの子どもたちに「『会計士』という職業について知ってもらいたい」という想いから現地を訪問し、子どもたちに学びの場も提供。「会計とは?」「会計士のお仕事とは?」をテーマに、特別授業を実施しました。

フリースクール木のねっこで実施した特別授業の様子

さらなる活動の広がりを支えるために、業務プロセス改善と自動化を実現

NPO法人 岡山NPO センターは、引きこもり、生活困窮、虐待など、さまざまな困難にさらされている子どもたちに直接支援を提供することを目的とした「KOTOMO基金」の運営事務局を担っています。実際に現場で活動するパートナー団体に対して、事前申請のリードタイムなく、活動報告に基づいたスピーディーな資金助成を行っています。

これまでは、月によっては70件以上寄せられることもある活動報告の内容を担当者が目視で確認し、支援内容の特定や、ウェブサイトへの支援報告掲載を実施していました。しかし、「活動内容の確認作業をもっと効率化したい」「ウェブサイト上の記載をもっと分かりやすくしたい」といったニーズを抱えていました。

担当したPwCあらたの糸川信吾、伊奈真弓、上野史久は、既存の作業プロセスについて丁寧にヒアリングを行い、活動報告としてウェブ上に開示したい情報の整理を行いました。そこから、登録NPO団体の活動報告に使用している入力フォームの項目を精緻化することにより、入力フォームの内容をウェブに掲載するプロセスを半自動化することができました。「自分たちだけでは気付いていなかった、言語化できていなかった不具合や実態について、客観的に意見をもらえたことで、効率化することができたと思います」と岡山NPOセンターの北内さんは語りました。

PwCあらたの上野は、企業のDX推進において豊富な業務経験を有しています。そのうえで、「難しい関数やツールは使わずに、もともと使用していたフォームをベースに、担当が変わっても持続可能なシンプルな仕組みを構築しました」と振り返ります。「チームで相談しながら進めることで良いアイデアが生まれ、成果につなげることができました。自分にも役に立てることがあるという自信を持つことができました」(PwCあらた 糸川)

担当したPwCメンバー全員で岡山を訪問

PwC Japanグループはこれからも、「社会に信頼を構築し、重要な課題を解決する」というpurpose(存在意義)のもと、多様な専門スキルや経験を持つ人材のスクラムにより、持続可能な社会の実現に向けた課題解決に取り組んでまいります。

Our Stories

20 results
Loading...

知る・想う・つながることで社会が変わる さまざまな角度から見える「こどもの学びの格差」、コレクティブインパクト創出のカギとは

PwC Japanグループは、「社会における信頼を構築し、重要な課題を解決する」というパーパス追求のもと、株式会社三井住友フィナンシャルグループ、富士通株式会社と協働し、企業の社会貢献活動推進担当者、事業開発担当者や、NPOをはじめとするソーシャルセクターの担当者を対象に、連携のきっかけづくりを主眼としたイベントを初開催しました。

セミナーレポート テクノロジーが加速度的に発展する中で、私たちは次世代の教育とどう向き合うべきか

PwC Japanグループは2024年7月23日、教職員や自治体関係者を対象にした次世代教育に関するセミナーを開催し、「テクノロジーが加速度的に発展する中で、私たちは次世代の教育とどう向き合うべきか」をテーマに、これからの社会に求められている教育環境について議論しました。

Loading...