健康経営の頂点「ホワイト500」に2年連続で認定-私たちは、職員とご家族の健康を守ります

経済産業省と日本健康会議による年次認定制度「ホワイト500」をご存じでしょうか。職員とそのご家族の健康を管理し、長く安定して働ける職場をつくる「健康経営」に取り組む大規模法人のうち、上位500社に与えられる称号です。PwC Japan有限責任監査法人は2024年3月11日、2年連続でこれに認定*されました。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行や人的資本開示の義務化に伴い、健康経営に取り組む企業が急増しており、ホワイト500の認定取得は年々「激戦」となっています。

今回は、当法人の健康経営をリードする「健康経営推進事務局」の高潤玉さん(左から2人目)と宮西藍子さん(同6人目)が、取り組みの背景や活動の実態について語りました。

健康経営推進事務局メンバー (同10人目は久保田正崇執行役副代表)

健康経営推進事務局メンバー(同10人目は久保田正崇執行役副代表)

-そもそも「ホワイト500」は、どのように認定されるのでしょうか。当法人が健康経営に取り組み始めた背景もあわせて、教えてください。

高さん:「ホワイト500」への道は、経産省が毎年行う「健康経営度調査」から始まります。各社は数十項目にわたり、健康経営の目的や戦略、職員への浸透、生活習慣の改善策、女性・高齢職員の健康課題への対応、人事部や健康保険組合との協力体制などを回答します。これらが審査されて各社に「偏差値」が付き、その上位500社が晴れて「ホワイト500」に認定されます。

審査は厳しく、各施策の改善などが「不十分」と評価されると脱落するので、認定企業の顔ぶれは毎年変わります。今回は過去最多となる2,988法人の中から連続認定をいただけ、とてもうれしいです。

宮西さん:当法人の職員はプロフェッショナル意識が強い分、長時間労働でも頑張り続け、健康を損なうケースがあります。職員が長く安定して働け、ご家族とともに成長と幸福を日々感じられるように-ウェルビーイングの実現をめざして、私たちは2017年から健康経営に取り組み始めました。

とはいえ、「健康」の価値観は百人百様。健康経営で最も難しいのは「職員とそのご家族をどう巻き込むか」です。職員が「なぜ会社が一方的に、個人の心や体に干渉するのか」と不快に思うことがないよう、私たちは職員へのリサーチを通じ、潜在的なものも含め健康ニーズを伺ったうえで、施策を推進しています。

-リサーチをきっかけに始まった施策には、どのようなものがありますか。

図表 1「スマートライフアンケート」の結果

高さん:例えば、全職員への「スマートライフアンケート」は健康状態や食事、運動習慣、睡眠時間などを毎年尋ねるものですが、これが最も役立ったのはCOVID-19の流行の真っ只中でした。

「原則在宅勤務」の中、「十分な睡眠をとれている」との回答率が50%台から70%台に上がったのです。これは、当法人が現在までリモートワークを続けるきっかけの1つとなりました。

また、「日常的に運動をしている」との回答率は40%台を推移しており、高い水準とはいえません。そこで健保と連携し、簡単なエクササイズの動画や、歩数に応じてポイントがもらえるウォーキングプログラムなどを企画。楽しく運動習慣をつけていただいている人が増えてきたように感じます。

宮西さん:健康の価値観は人それぞれでも、「病気や怪我を防ぎたい」という思いは、多くの方々の共通認識ではないでしょうか。よって、私たちは「予防・改善」をテーマにした活動を重視しており、その一つがスマートライフアンケートで寄せられた悩み・要望に応える「健康Webinar」です。

2023年は「睡眠」「男性更年期障害」「子宮頸がん」などを扱い、最近は花粉症に悩む方々に、時間とお金を節約できるオンライン配薬を紹介しました。各種Webinarは職員の健康意識を高め、健康診断の数値改善にもつながっています。例えば、子宮頸がん検査は健診を受けられた方の約70%が受診され、全国平均の40%台を大きく上回っています。

健康Webinar 「身近で恐ろしい子宮頸がん」の一場面

健康Webinar「身近で恐ろしい子宮頸がん」の一場面

-職員やそのご家族のニーズに寄り添う活動だからこそ、法人全体で健康意識が高まってきたのですね。

高さん:活動の検証は、経営層とも行っています。なお、今回の健康経営度調査で、当法人は「健康経営の戦略」と「従業員への浸透」で業種トップの評価をいただきました。経営会議でも、年間を通じて積極的に「職員のウェルビーイング」を議題に取り上げ、職員の健康課題や戦略の向上などが活発に議論されています。

当法人の井野貴章代表執行役は「当法人の内部統制の根幹は『職員の健康』で、これを守ることが経営層の責任」と話しており、健康経営戦略マップの策定・発信などにも積極的です。トップ自らが健康経営の理念・方針を体現していることも、法人の健康風土を高めています。

宮西さん:心の健康を高めるため、職員が称え合い、また助け合う仕組みも多く、仲間への感謝を「ポイント(各種特典と交換可能)」で贈れる独自のピアボーナスプログラムはその一つです。また、当法人の久保田正崇執行役副代表がスポンサーの「Working Parents Network」は、両親学級やキャリア相談会、ワンオペ育児アンケートなど、子育てに悩む職員・ご家族向けイベントを行っています。

ハード面では、当法人の大手町オフィスには常駐マッサージ師の本格的な指圧が受けられる「リラクゼーションルーム」や、仕事をしながら体幹を鍛えられる「バランス椅子」などがあります。職員が仕事の合間に誘い合って利用するケースも見られ、大変人気です。

マッサージ師による本格的な指圧 / オレンジの座面で気分も上がるバランス椅子

マッサージ師による本格的な指圧/オレンジの座面で気分も上がるバランス椅子

-最後に、今後改善したい分野や、強化していきたい取り組みをお聞かせください。

高さん:健康経営度調査では、生活習慣病が疑われる方々などへの「保健指導」の評価が最も低かったので、改善をめざします。関連して、定期健診後の精密検査受診率も高めたいですね。

また、「メンタルヘルス対策」を強化したいです。自身が健康か否かの判断は、健診数値などの客観的評価より、心の状態や生活の質を踏まえた「自己評価」によるところも大きいと思います。業務効率化ツールやモニタリングなどにより「長時間労働」は改善傾向ですが、休職から復帰された方々へのフォローも含め「不調を感じたらすぐ相談でき、重症化を防ぐ体制」を整えていきたいです。

宮西さん:今回の健康経営度調査から、設問に「仕事と育児・介護の両立支援」も加わり、法人として職員が長く働ける環境をどう整え、サポートしているかが問われるようになりました。私たちは健康経営の先進企業を日々調べ、素晴らしい施策は先方にインタビューさせていただき、当法人に合う形で導入しています。ぜひ、現在の取り組みの全体像を、ウェルビーイング-PwC Japan有限責任監査法人における取り組み-でご覧ください。

私たちは職員・ご家族の「健康コンサルタント」として、より良い法人づくりに貢献していきます。