
デジタル経済課税は、企業の方々にとって最も関心の高い分野の1つとなっています。私がリードしているデジタル経済課税チームでは、OECDや各国から公表される情報をいち早く皆様にお知らせしています。同時にその内容が日本企業や納税者の方々へどのような影響が及ぼすのか、どのような対応が必要なのかを分析することで、企業の皆様への支援策を検討し、実際に多数の支援を提供しています。その中で、テクノロジーの活用は重要なテーマであり、デジタル課税導入後の税務情報管理体制構築支援サービスのような税とテクノロジーのコラボレーションも重要なポイントです。
デジタル経済課税への対応には、親会社によるグループ全体の税務情報の収集・分析・報告という側面があり、税務ガバナンスの構築支援に通じるテーマです。企業にとって、税は経営課題の1つと言えます。税務のコストやリスクを管理し、ESGやSDGs戦略を達成するための情報開示(レポーティング)を行い、専門的かつ高度に実行するためには、企業は税務ガバナンス体制を整備・運用していく必要があります。また、データを活用した税務リスク管理では、Tax Risk Data Analyserを通じて税務業務のDXを支援し、長期的には税務調査の社会的コストの低減となるようなサービスを提供しています。
ESGは、投資家の投資意思決定に係る判断基準の重要な一部を形成しています。「環境」と「税」の観点からは、炭素税や環境税の重要性も年々高まっています。欧州では国境炭素調整、日本では炭素税や排出権取引制度導入の議論が本格化しています。気候変動問題における、こうしたカーボンプライシングの制度動向や企業内でのインターナルカーボンプライシングの活用について、私たちはPwC Japanグループとして取り組んでいます。
◆略歴
2010年10月から2013年9月にかけてPwCオランダ法人アムステルダム事務所に出向。現地に進出している日系企業に対して、オランダおよび日本の税務アドバイス、欧州企業による日本投資に関する税務アドバイスを提供。
帰国後は主にクロスボーダーM&A、買収後のポストディールリストラクチャリング、企業再生案件を経験。その後はグループ税務ガバナンス改善支援、デジタル課税、ESGタックス、税務リスクのデータ分析に携わるなど、多岐にわたる業務に従事している。
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