深化するSX 第3回:実践に向けた企業変革

  • 2024-09-17

連載コラム「深化するSX」の第2回「サーキュラーエコノミーを加速させるシステミックトランスフォーメーション」では、システミックトランスフォーメーションの概要について、モビリティ業界のEVビジネスを例に説明しました。第3回「実践に向けた企業変革」では、システミックトランスフォーメーションを実行するために必要な企業変革について解説します。

深化するSX―実践に向けた企業変革―

Scope3の削減、ひいてはサーキュラーエコノミーに企業が取り組むためには、戦略、実行、開示、それらを支える社内インフラなど多くの機能を具備する必要があります。また、外部サプライヤーの管理、内部組織の進捗管理、算定や開示に加え、収益化のための事業開発も必要です。それらを支えるデータ、ITインフラ、多大な投資に対する経営資源を再配分する戦略機能も重要です。

これらの機能は、企業内の単一組織が担当するのでなく、複数の組織を跨いで実行しなければならない局面がいくつもあります。

さらに、Scope3の削減やサーキュラーエコノミーを実現するためには、サプライヤー、ベンダー、顧客、ビジネスパートナー、時には業界団体と協働する必要がありますが、その渉外担当部署はそれぞれ別です。

そのため、システミックトランスフォーメーションの実践には、産業および企業間の連携以前に、企業内の協調が不可欠となります。その実現のため、企業は以下の2つの機能をしっかりと具備する必要があります。1つ目は「全体俯瞰機能」で、各組織が目指す北極星となるビジネスプランや、組織連携のあるべき姿を提示する機能です。システミックトランスフォーメーションの絵図もここで描かれます。もう1つは「調整機能」で、全体絵図の実現に向けた各組織の活動内容やタイミングを、実態を踏まえつつ細かに調整する機能です。

これは日本企業で活躍するミドル層が、自律的に横連携してあるべき姿を実現していくモデルであり、トップダウンの指示が働きにくい日本企業が具備すべき経営モデルだと考えています。

Scope3削減の実践例をご紹介します。企業の横連携と言えば、企業内の関係部署を集めて全社タスクフォースチームを組むことがあります。確かに横連携の場であることは間違いないのですが、自部署の事情、経緯、責任範囲を重視するあまり、全体最適化は妥協の産物になってしまうことがあります。例えば、多大な脱炭素投資をいかに回収するか、サプライヤーやユーザーとの取引価格をどのように設定するかは、組織を跨ぐ非常に重要な問題です。

そこで、企画部門のリードの下、関係組織と協力して自社ビジネスにとって望ましいScope3削減およびサーキュラーエコノミーのプランを段階的に描き、社内に周知することが考えられます。そうすることで、各関係組織が同じ目標・絵姿を目指して活動できる状況を整えるとともに、その活動を通じて関係組織間の意識合わせが行われ、組織を跨ぐ問題提起も活発となります。これを企業内のシステミックトランスフォーメーションと呼ぶこともできるかもしれません。

私たちPwCは、コンサルティング、会計、法務、税務、M&Aの総合力を駆使して、産業および企業のシステミックトランスフォーメーションをサポートしていきます。私たちのセンターオブエクセレンスをそのハブとして、ご活用いただければ幸いです。

執筆者

中島 崇文

パートナー, PwCサステナビリティ合同会社

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上田 航大

シニアマネージャー, PwCサステナビリティ合同会社

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井上 マリア

シニアアソシエイト, PwCサステナビリティ合同会社

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篠塚 嶺

シニアアソシエイト, PwCサステナビリティ合同会社

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