改正内容
本省令による、会社計算規則(平成18年法務省令第13号)の改正の内容は、以下のとおりです。
1.損益計算書等における「売上高」の表示について、売上高以外の名称を付すことが適当な場合には、当該名称を付すこととする(会社計算規則第88条第1項第1号)。
2.注記表における重要な会計方針に係る事項に関する注記について、「収益及び費用の計上基準」(会社計算規則第101条第1項第4号)には以下を含むものとする(会社計算規則第101条第2項)。
(1)当該会社の主要な事業における顧客との契約に基づく主な義務の内容
(2)(1)に規定する義務に係る収益を認識する通常の時点
(3)(1)および(2)以外に、当該会社が重要な会計方針に含まれると判断したもの
3.注記表における収益認識に関する注記について、表示すべき事項は以下とする(重要性の乏しいものを除く)。ただし、金融商品取引法第24条第1項の規定により有価証券報告書を提出する大会社(会社法第444条第3項に規定する株式会社)以外の株式会社にあっては、以下(1)および(3)の事項を省略することができる(※1)(会社計算規則第115条の2)。
(1)当該事業年度に認識した収益を、収益およびキャッシュ・フローの性質、金額、時期および不確実性に影響を及ぼす主要な要因に基づいて区分した場合における当該区分ごとの収益の額その他の事項
(2)収益を理解するための基礎となる情報
(3)当該事業年度および翌事業年度以降の収益の金額を理解するための情報
(1)から(3)について、重要な会計方針に係る事項に関する注記の規定(会社計算規則第101条)により注記すべき事項と同一であるときは、収益認識に関する注記の規定による注記を要しない(会社計算規則第115条の2第2項)。
(1)および(3)について、連結計算書類を作成する株式会社は、個別注記表における注記を要しない(会社計算規則第115条の2第3項)。
(2)について、個別注記表に注記すべき事項が連結注記表に注記すべき事項と同一である場合において、個別注記表にその旨を注記するときは、個別注記表における注記を要しない(会社計算規則第115条の2第4項)。
4.注記表に区分して表示すべき項目として、会計上の見積りに関する注記を追加し、注記の内容とすべき事項を定める規定を追加する(会社計算規則第98条第1項第4号の2、会社計算規則第102条の3の2第1項)。
(1)会計上の見積りにより当該事業年度に係る計算書類または連結計算書類にその額を計上した項目であって、翌事業年度に係る計算書類または連結計算書類に重要な影響を及ぼす可能性があるもの
(2)当該事業年度に係る計算書類または連結計算書類の(1)の項目に計上した額
(3)(1)および(2)のほか、(1)の項目に係る会計上の見積りの内容に関する理解に資する情報
なお、(3)の事項に限り、個別注記表に注記すべき事項が連結注記表に注記すべき事項と同一である場合において、個別注記表にその旨を注記するときは、個別注記表における当該事項の注記を要しない(※2)(会社計算規則第102条の3の2第2項)。
また、以下の注記表においては、上述の会計上の見積りに関する注記を表示することを要しない(※3)(会社計算規則第98条第2項第1号、第2号、第5号)。
(1)会計監査人設置会社以外の株式会社(公開会社を除く)の個別注記表
(2)会計監査人設置会社以外の公開会社の個別注記表
(3)持分会社の個別注記表
なお、改正企業会計基準第24号「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」において、関連する会計基準等の定めが明らかでない場合において採用した会計処理の原則および手続を、重要な会計方針として開示する取扱いが明確化されたが、会社計算規則第101条(重要な会計方針に係る事項に関する注記)は改正されていない。しかし、法務省は、関連する会計基準等の定めが明らかでない場合においても、当該採用した会計処理の原則及び手続が計算書類を理解するために重要であると考えられる場合には、「その他計算書類の作成のための基本となる重要な事項」(会社計算規則第101条第1項第5号)に該当し、その概要を注記する必要があるとする考え方を示している(※4)。
施行期日
公布の日から施行されます。
経過措置
改正内容の1から3は、2021年4月1日以後に開始する事業年度に係る計算書類および連結計算書類について適用し、同日前に開始する事業年度に係るものについては、なお従前の例によるとされます。ただし、2020年4月1日以後に終了する事業年度に係るものについては、早期適用することができます。
改正内容の4は、2021年3月31日以後に終了する事業年度に係る計算書類および連結計算書類について適用し、同日前に終了する事業年度に係るものについては、なお従前の例によるとされます。ただし、2020年3月31日以後に終了する事業年度に係るものについては、早期適用することができます。