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2022-12-06
※2022年10月に配信したニュースレターのバックナンバーです。エネルギートランスフォーメーション ニュースレターの配信をご希望の方は、ニュース配信の登録からご登録ください。
近年、エシカル消費やサステイナブル消費の取り組みが活発化するなど、消費者の意識や⾏動、ニーズの変容が進んでおり、消費者が商品を購⼊する際には価格や利便性のみならず、環境・地域・社会への影響や、社会課題解決への貢献を判断基準とするケースが増えつつあります。消費者が企業による社会課題解決に向けた取り組みに参加することや、それらを応援すること、あるいは賛意を表⽰するために当該企業の製品を積極的に購⼊するようにシフトするケースも、同義に捉えることができます。
消費者の購買⾏動において顕在化したこれらの社会課題解決ニーズは、価格やポイントといった「⾦銭的インセンティブ」に対し、財が有しうる新たな価値としての「⾮⾦銭的インセンティブ」と捉えることができます。この⾮⾦銭的インセンティブは、有形の商品に限らず、無形の必需財であるエネルギーも例外ではなく、電⼒・ガスの購⼊選択時にも⾮⾦銭的インセンティブが働くことが、PwCの市場調査※1などを通じて明らかになってきました。
エネルギー産業では現在、コロナ禍、ウクライナ情勢、円安影響などを背景とした燃料費⾼騰や需給ひっ迫により、電⼒価格の上昇・変動リスクが増⼤しており、需要家や⼩売電気事業者などを含め、産業全体が疲弊しています。これらは、脱炭素化やエネルギー⾃給率の向上、エネルギー供給の分散化、レジリエンスの向上と同様、喫緊に解決すべき社会課題そのものであると⾔えます。
上述の社会課題に対し、直近では節電ポイントや電気代抑制⽀援などの政策の導⼊が検討されています。こうした短期的な⾦銭的措置は即効性を有しますが、サステイナブルな課題解決措置としては限界があります。根本的な解決を図るためには、前述のとおりエネルギーに内在する⾮⾦銭的インセンティブを訴求し、新たな付加価値を提供することが⼀案と考えられます。⾮⾦銭的インセンティブとしては、再エネ電源の⽣産地を選んで購⼊・消費することを通じた脱炭素、地⽅創⽣、地域活性化への貢献が挙げられます。換⾔すれば、これらの⾮⾦銭的インセンティブという新たな付加価値を有した再エネ電源を提供することが、今後のエネルギー産業の進展にとっても重要なファクターと⾔えるでしょう。そして、これらを具現化する施策の1つとして、「電⼒×ふるさと納税」が挙げられます。
近年、法⼈需要家の間では、コーポレートPPAとして再エネ電源を選択し、⻑期にわたり相対で契約・購⼊する取引が広がりを⾒せています。他⽅で、国内電⼒需要量の約4割を占める⼀般需要家は、特定の料⾦プランを選択することで間接的に再エネを購⼊できるものの、直接的に再エネ電源を購⼊したいというニーズを充⾜する枠組みや⽅法は発展途上です。
「電⼒×ふるさと納税」の基本的なビジネスモデルは、⼀般需要家である個⼈(寄付者)がふるさと納税制度に参加し、再エネ電源を調達・保有する各⾃治体にふるさと納税(寄附)を⾏うことで、当該⾃治体からの返礼品として⾦額に応じた再エネ電源からの電⼒量(kWh)を、⼩売電気事業者を介して消費するという形になります。このモデルを、参加するステークホルダーのニーズ(ゲイン)から捉え直すと、下記図表2-1および2-2のとおりになります。
出典:「再⽣可能エネルギー“⾥産地消”型 地域産業共創⽀援―電⼒×ふるさと納税制度×配電事業制度」(PwC Japan グループ)
https://www.pwc.com/jp/ja/industries/eu/renewable-energy-support-co-creation.html
このモデルは脱炭素化やふるさと・地域への貢献という⼀般需要家のニーズを満たすと同時に、従来の供給側主導で投資・調達するという需給構造から、需要側が⾃ら選択して消費するという需要家ドリブンの再エネ需給構造への転換を可能とします。供給側からすれば、再エネ電源の維持・新設や、地域産業の創出に要する投資、資⾦を全国から呼び込むことができるモデルと⾔えます。
需要量(供給量)が⼀定以上に増加した局⾯では、供給側には地域に内在する再エネをはじめ、種々多様な分散リソースやバックアップを組み合わせるなど、気象条件による稼働率変動や夜間需要にもレジリエントに対応するコーディネーターとしての機能が必要となってきます。この点において、電気事業は電⼒の調達・⼩売という商品提供ビジネスから、プラットフォーマーとしての機会を提供するビジネスへと発展・展開していくことになると⾔えます。このような機能を具備することで、前述の社会課題解決に加え、地域内の需給バランス安定化から、全国規模での再エネ適地の偏在解消に寄与することも期待されます。
さらにこのモデルの発展形として、地域の配電網を維持・管理するプレイヤーが配電事業制度を活⽤し、地域に眠る再エネ電源を掘り起こすことで、域内の電⼒P2P取引促進から、配電網内のエネルギーマネジメントを通じて蓄積したデータを活⽤し、新産業創出にもつなげる形も考えられます。こうした取り組みが地域再⽣事業として⼀定の要件を満たせば、企業版ふるさと納税制度(地⽅創⽣応援税制)に基づき、企業は当該地域・⾃治体への寄附を通じて税務メリットを享受しながら、前述の社会課題を解決するエコシステムの構築に参画することも可能となります。
個⼈・企業版ふるさと納税制度や配電事業制度、アグリゲーター制度は、貴社が有する再エネ普及促進、脱炭素、地⽅創⽣などに係る経営資源(設備、技術を含む)と組み合わせることで、貴社の顧客を含むステークホルダーの潜在的課題やニーズを満たすツールとして活⽤することが可能です。PwCコンサルティングでは、こうした経営資源と上述の制度を組み合わせた業種別のビジネススキームやマネタイズモデルの構築・設計・実装をご⽀援しております。新たな付加価値創出にご興味がある⽅は、お気軽にご相談いただければ幸いです。
※1 【再⽣可能エネルギー普及促進に向けた実態調査】
https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/thoughtleadership/survey-for-the-promotion-of-renewable-energy.html